本陣殺人事件

犯行現場と思われる離れの座敷は内側から施錠されており、
犯人が侵入した形跡はあるものの出て行った痕跡が見当たらない。
凶器と思われる日本刀は日本庭園の石燈籠の根元に突き刺さっており、
周囲は積雪で覆われ足跡が全く見当たらない。

緻密に練られ幾度と試され完成した有名な密室トリックで、『東西ミステリーベスト100』で10位にランクインした原作のドラマ化作品。
子供の頃、夏休みになると放送されておりよく鑑賞していたことを思い出しました。

最終話でのトリックの謎解き映像に感動したものですが、犯行動機が当時はよく分かりませんでした。(・・。)ゞ
大人になった現在では気持ちは分かるものの、この犯行動機は現代の感覚では理解されないようになってきているのでは？とも思いました。

作品タイトル『本陣殺人事件』からも感じ取れる、田舎の因習や血縁・家柄の因縁といった横溝作品の世界観は伝承されなくなってきているのか？
少し前に山口県で起きた連続殺人事件を”現代の八つ墓村”と例えた記事を読むにつけ、
恐ろしさを感じつつも、一笑に付せそうな気もしてきますね。

いつも楽しみにひとりひそかに見てたんだけど、なんか妙に怖くて。主題歌がとても印象的であの曲を聞くと金田一を思い出します。

この本陣殺人事件は、今でこそインパクトはさほど無いトリックですし、当時エラリークイーンにはまっていた私としては、あまり驚きは無かった。
話はそれますが、何度も書いてるかもしれませんが、エラリークイーンの国名シリーズはすごいトリックばかりで、驚きの連続ですよ。読んだことない人にはぜひおすすめです。いろいろすごいのはあるんですが、特に私が初対面の人で、ミステリが好きだとおっしゃる方には、必ず読んだことあるかどうか確認し、それで読んだことないといえば、ぜひ！といって太鼓判押して進めるエラリー作品は、ずばり「ギリシャ棺の謎」です。これは衝撃だった。こんなにドキドキしながら、本当に犯人が予測できないミステリは早々無いです。古典ミステリの最高峰だと今だに思ってます。アガサと違ってエラリー作品はほとんど映像化されてないだけに、映像ミステリとしてのメジャー度はかなり低いようですが、本格推理という点ではアガサより上かなと思ってます。

話もとに戻して、横溝正史はおどろおどろしさがとてもいいですね。怖がりながら推理するのはこれまたオツですし。推理するときに逆立ちしたのは、古谷さんでしたっけ？石坂さんのは髪をぼりぼり無性にかいてたような。

ところで金田一耕助を石坂さんが再チャレンジするようでこれも楽しみですね。

金田一耕助は古谷一行に限るバイ

ＴＶ上第三話に登場する密室のトリックの検証のシーンが大好きで借りました。本陣は、角川・横溝ブームの時は映画化されていないので、中尾彬氏の金田一版の映画もありますが、私にとっての本陣殺人事件は、これですね。あの水車の回っている低音と琴糸の「キリキリ」という音が何かぞくぞくさせるのです。

初金田一は石坂金田一だったので
古谷金田一に馴染めるか心配でしたが
こちらの金田一も中々しっくりきます。
何気にこの「本陣殺人事件」を観てみましたが
原作ではこの作品が長編の最初のもので
初古谷金田一作品としては申し分なかったです。
古谷金田一は
石坂金田一に比べ
コメディ色がかなり少ない印象ですね。
頭かきかきフケごっそごそっていう
石坂金田一ではお約束のシーンは登場しません。
といってもコメディ色が物語にないわけではなく
その全てを一身に背負っていると言っても過言でもない人物が
それが「警部」
磯川警部です。
芸人か！？と思うほどの絶妙の間で
スットボケたセリフやツッコミを入れてくる
そのパーペキ具合がリスペクトすら抱かせるほど素晴らしい
シリアスでどんより沈みがちな物語を
要所要所で笑いで照らすバランスが見事でした。
物語といえば
金田一らしいという一言が相応しいもの
狭いコミュニティー
欲望と憎悪
因習のドロドロ
今回も圧倒的昭和がどんよりと物語を覆っています。
これがクセになります。
トリックも秀逸で見事だし
切なさ残りまくるし
金田一の黄金パターンは
この作品から出来上がっていたといっていいですね。
映画版よりはエンタメ性が抑えめで
それは死体や殺しの描き方に如実に表れています。
控えめです。

３話でひとつの物語を描いているので
じっくりと鑑賞するのが良しですね。
展開のスピードもそういう感じです。

新婚初夜に起こった惨殺事件
そうこの事件は
まぎれもなく初夜なのです。
色んなことが「初めてを迎えた夜」なのです。