ノッティングヒルの恋人

　最近これほど笑った恋愛映画も珍しい。本人が大真面目であればあるほど観客には面白いというコメディのベタ−メタ基本構造がよくわかった。ロンドンの下町、ノッティングヒルの売れない書店経営者がビバリーヒルズの住人と運命的な恋に落ちるなんていうありえそうも無いお話が生み出す笑いがとても楽しい。

　主人公たちがなんでお互いに深く惹かれあうのか、これが最後まで不可解なのだが、まあ、恋とはそういうものだということにしておけばいい。

　本作は、ハリウッドの頂点にいる大スターが密かに持つ劣等感やストレスを、巧みな会話で自然に語らせたあたりが、コメディの中にもほろりとさせるものがある。

　主人公たちを取り囲む個性豊かな（一部豊かすぎる）面々も魅力的でとてもいい感じ。「ローマの休日」の場合は王女と新聞記者二人きりの恋の物語だったが、こちらのほうはやたら仲間たちと「スタッフミーティング」するところが面白い。それだけこのウィリアムーという男が優柔不断で優しいということなのだろう。全然マッチョでないところがいい。友人たちがエキセントリックなのに対して、ウィリアムは物静かで知的、またアナもヤンキー娘という感じがなく、大人しめだ。おそらく「ローマの休日」の品のよさを倣ったのだろうが、この二人では、アン王女とジョー・ブラッドレーみたいな雲の上のお話よりはだいぶ地面に近い。

　今まで、ジュリア・ロバーツもヒュー・グラントもあまり好きではなかったが、この映画の二人はとても輝いている。脚本がうまいのだろう、役者の味を絶妙に引き出している。なるほど、脚本は「ラブアクチュアリー」のリチャード・カーティスだったんだ。この人、ミスター・ビーンのシリーズも手がけていて、この手のコメディはお手のものなんだな。

　というわけで、アメリカ映画なのにテイストは限りなくイギリス。もちろん、舞台がロンドンの下町ということもあるけれど、小粋な会話のユーモアセンスがそう思わせるのだろう。あ、でも、明るい青空はやっぱりハリウッド的かな？　これを見るとノッティングヒルに行きたくなること、請け合い。

　久しぶりに聴いたシャルル・アズナブールの”She”、とってもいい、いい！　名曲です。サントラ欲しい。こういう音楽の使い方をされるとわたしは堪りません。

この映画、ラブストーリーとコメディのバランスが本当に、
ちょうどいいです。
ラブストーリーが観たい人も、コメディが観たい人にもお勧めできます。
映画ができて、十数年経ちますが、ぜんぜん色あせていません。

ジュリア・ロバーツが自身をまんま反映させたような、
ハリウッドスター、アナ・スコットという映画女優。
ヒュー・グラント（ウィリアム・タッカー）は、あまり儲からない本屋をやっており、男前だか少し抜けていて、優柔不断だがいい人という、お得意の役柄。
他の登場人物のキャラクターもそれぞれが、すごく練りこまれていて、本当にいそうな気がするくらいです。
特に、ヒューの同居人を演じている、リス・エヴァンズが最高。

脚本と製作が、後々にラブアクチュアリーの脚本、監督を務める
リチャード・カーティス。好きなはずだなあとしみじみ。

この映画、最高にいいのが、主題歌です。
エルヴィス・コステロのオリジナル曲ではないのですが、
この映画の盛り上がりとテーマにぴったり。

のようなストーリーで大好きです。
情けない優男風を演じらせると、ヒュー・グラントはホント適役ですよね。この作品ぐらいから彼は復活してきましたね。
最後に清潔そうなカーディガン姿で、普通の女の子のようなジュリア・ロバーツがかわいかった。
グラントのルームメートがかなりのインパクトありでおもしろかった。
何度でも見たい映画の部類に入ります。
こういう単純なラブ・ストーリーは素直に受け入れられる単純明快な私です。

はじめて観たときは、ジュリア演じるヒロインの描写がやけに希薄で、なんともバランスの悪い作品に思えた。それがテレビ放映なども含めて何度か鑑賞するうちに、「ああ、なんかイイかも」という印象に。
それって多分、ヒロインの背景を深堀りしていないのが、意図的にだからだと思う。よく考えれば、魑魅魍魎がばっこするハリウッドセレブの日常を本気で描いてたら、きっと違う作品になってるもんね。（サスペンスかおバカコメディか、あるいはサイコホラーなんて可能性も…）
ヒロインをあえてアイコンにすることで、ウィリアムやその友人たちの愛すべきキャラクターが、より際立ってるんだと思う。アンバランスさが、心地いいファンタジーを成立させる“キモ”になってるんだろう。
この映画、ライトに見えて実はけっこう奥が深いのかもしれない。

ヒュー．グラントに対するイメージ変わりました。こんな誠実な男性の役もとっても似合う。私の大切な人とイメージが重なって、入れ込んで見てしまいました。ジュリアの演技も自然で共感が持てて、身離れしてない役なので、とてもよかったです。
この二人がこんなに似合うなんて予想しなかったので、期待以上のできです。映像もとても美しいし、挿入歌もいい曲ばかり、、監督の美的センスのレベルが高い。イギリス人の監督なのかも、、ジュリアの選択を通して、本当のしあわせって何？というメッセージもあるみたい、、とにかく映画らしい映画でした。
脇役の人も主役の二人も演技は１２０点ですね。
ラブコメとしては、今まで、見た中でトップレベル。全般に出演者のキャラが誠実で、アメリカ映画より、日本人にはしっくりくるのかも。あそうそう、ジュリアとヒューが二人とも、他のどの映画より、キレイだったです。