雲の中で散歩

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　キアヌ・リーブスが一番美しかった頃ですかね。「スピード」でメジャー級の人気者になった後の作品ですけど、これ以降、「マトリックス」まであまり役に恵まれてないですよね。自分で変な役ばかりやりたがってたような気がしますが・・。
　主人公のポールは特に何ができるわけではないのに、ただひたすら人がいい男。その人のよさが、周囲の人間を少しずつ変えてゆく。そんな物語に、キアヌは少しミスキャスト気味かも・・・。「スピード」での精悍な警官よりも、その前のぼや〜っとした感じの方が良かったような・・・・

　広大な葡萄園を舞台に、男女の情熱的な恋を描いたちょいと洒落たロマンティックなラヴストーリーですね。

　「雲の中で散歩」というタイトルから、なんかファンタジーっぽい印象だったのですが、「雲の中」というのは、ビクトリアの実家である大ブドウ農園の名前なんですね。そこで繰り広げられる暮らしの、なんと美しいこと！ブドウの収穫とワイン作りシーンの楽しさは酒を飲まない（飲めない。酒と女は苦手です、いやホント）私でも、思わずワインを飲みたくなっちゃいますね。

　孤児ゆえに家族に対する恋慕の気持ちが強いという役柄をキアヌはうまく演じてます。もしかしたら、彼は本当にこういう人なんじゃないかと思わせますね。
　私も、基本的にいい人で（だから、ホントにそうなんだって！見かけで判断しないで頂戴！）昔、かみさんの友達の中絶手術に同行したことがあります。本当の父親は、知らん顔なので、私が彼氏代わりに、手術の同意書にサインもしました。
　待合室での、周りの視線が居たかった・・（関係ないか）

　葡萄園が焼失してしまうくだりでは、切なさが募り、元根が無事だったシーンではこみ上げるものがありました。
　昨今のスピード感に慣れた身には、テンポが遅い気もするのですが、こんなにゆったりと時間の流れる映画もいいもんだと思いますよ。

　キアヌ・リーブスの作品の中では、一番好きですね。

キアヌはチョコレートのセールスマン。昔ナパに遊びに行ったとき、ものすごく暑くて死にそうになって帰ってきたので、「チョコレートなんか持ち運んで、溶けないの？」というのが第１の疑問だけど、秋から初冬にかけての設定なのでＯＫなのでしょう。

ぶどうの収穫後、既婚女性が樽の中にはいってぶどうを踏むシーンはすごく官能的です。「モンドヴィーノ」では中年のおじさんがぶどうを踏むシーンがありましたが、このぶどうで作ったワインはちょっと飲みたくないですね。

今みると「作りすぎ！」と思うところも多々あるけど、ロマンティックなラブストーリーです。キアヌもすごく素敵。

印象画を思い出させるようなパステルカラーの映像がとてもきれいでした。カルフォルニアのワイン産地ナパバレーが舞台とのことでしたが、アメリカにこんなきれいな景色があるのか、まるで原作となったイタリアがそのまま実現されたかのような、素敵な風景でした。それにしても、Sweet Novemberしかり、キアヌはどうしてあんなにパステルカラーの景色が似合うのでしょうか。ストーリーだけでなく、素直に映像を楽しめる映画です。

幸福感に浸れるロマンチックなラブストーリーです。
舞台となっている葡萄畑が美しくて、それだけでも幸せな気分です。

精悍なという言葉が似合うキアヌ・リーブスですが
この映画ではいつもと違う顔を見せてくれています。
優しくて自然な笑顔がとても新鮮に映ります。

親を欺くための代理の夫や恋人が、本当の恋に落ちてしまう・・
というのは、映画やドラマの世界ではありがちですが
これだけうっとりと幸福感に包んでくれればそれもいいと思います。

葡萄の収穫やワイン作りのための葡萄踏み。
歌での愛の告白シーンなど、印象深く素敵なシーンに溢れています。

またひとつ好みの映画に巡り合えました。

正直言ってこれこそがキアヌだなぁ〜と思いました。下手に「殺人鬼」とか「悪役」にチャレンジしない方が良いなぁ〜と。

私のイメージはどうしたってこんな感じなんですよね、キアヌって。「孤独の雨」が似合うんですよね。そして現代・未来ではなくこんな感じのほんのちょっと昔のお話。綺麗な風景とゆったり走るクラシックカー、日傘を差した長いスカートを着ている御婦人方。
設定もまたハマってます。孤児で孤独、家族の愛情に飢えている・・・。直向に愛情を捧げ、誰にでも優しく、そして繊細。これってキアヌのイメージそのものなんですよ。笑顔にどこか憂いのある感じ。観ているうちに「幸せになって欲しい」と素直な気持ちで観る事が出来る映画です。本当に心から「笑顔を作らなくて良い日」が来て欲しい・・・。いつの間にかポールと同じ表情で観てしまってました。