アリスの恋

スコセッシ全作踏破中。やっと借りられた。

ということでスコセッシはほとんど全作観ているが、女性を描いた映画はこれしか無い。

しかし、画面の中で一番生き生きしているのは息子のトミーだ。
11歳と言ったら我が家の息子と同い年。
嬉しければソファの上で飛び跳ねるし、頭にくればソファを蹴っ飛ばす。
同じところにじっとしていられない。
お小遣いが無くてもギター弾いたり馬に乗ったりガールフレンドと冒険したり、楽しいことはいっぱいある。

そうそう、男の子ってこうじゃなくっちゃ。男の子は可愛い。
この子役はとっても上手だ。この映画の一番の収穫はこの子。
名前はAlfred Lutter III。

ママがおめかしして帰ってきたのを観てドアをパタリと閉めるところとか
犬のジョークを延々と喋るところとか、
ママがスーツケースを足の上に落っことして痛がるところとか、
笑いどころがてんこ盛り。

こんなに上手いのに、役者にならなかった。
名門スタンフォード大学を出て、今は西海岸で会社を経営しているそうだ。
「むかしジョディ・フォスターと一緒に映画に出たことがあるんだ」なんて、
きっと誰にも言わずにいるんだろう。
カッコいいぞ、もしそうなら。

久しぶりに男の子の姿を生き生きと描いた映画を観た。シングルマザーの自立映画というより
父親のいない息子と母の友情物語といったほうが私にはしっくりする。主役は二人なのだ。
こういう映画、好きだなぁ。音楽もエルトン・ジョンだし、1970年代の雰囲気が溢れてる。
ハーヴェイ・カイテルのイカレぶりといい、クリス・クリストファーソンの骨っぽさといい、
この男の子の可愛さといい、スコセッシはやっぱり男を描くのがうまかった。

メイキングもなかなか面白い話をしていて必見だ。

意外なことにこの映画の監督は、マーティン・スコセッシです。
1975年(アメリカ)
ごく普通のラブストーリー、ごく平凡な女性が主人公です。
主役のアリスはエレン・バースティン。
夫を事故で亡くして、途方に暮れたアリスは、自分の夢(故郷のモントレーで歌手になる)
モントレーを目指して、オンボロ車一台にボストンバッグ１つで向かうのでした。

途中で仕事を探して移動して、また仕事を探す。
生意気な一人息子のトミー。
息子ってまだオチビ(11歳位かな？)でも、母親にとっては、話し相手だし、コンパスなんだなぁ。
彼なしでは前へ進めない。

この映画は未亡人の苦労はなしですけれど、アリスがウェートレスをしてる店の常連客の
デヴィッド(クリス・クリストファーソン)が本当に素敵でした。
妻子に逃げられた牧場主の役なんだけど、こんなセクシーな男に想いを寄せられて、
好きにならない女性がいるでしょうか？

クリス・クリストファーソン。
有名なカントリー歌手で、有名な俳優です。
「スター誕生」の何回目かのリメイクで、バーブラ・ストライサンドの相手役の、
飲んだくれのロック歌手役でした。
この映画を観たとき、なんて素敵な男性なのかと思いました。
レディ・ガガの相手役のブラッドリー・クーパーに匹敵する男性でした。
この映画でも、アリスに勿体ないくらいセクシーでしたね。
彼がギターを弾きながら、ほんの数フレーズを歌います。
お金を取れる声、雰囲気、声のチカラ！
聞き惚れます。
対してアリスの歌。
(エレン・バースティン、下手、お金を稼ぐ声じゃない。)

トミーのギター教室の友達に、まだ12、3歳のジョディ・フォスターが出演してます。
最初の町で言い寄ってくる青年にハーベイ・カイテルが出てます。
好青年かと思っていたら、お約束のキレっぷり。
スコセッシ監督作品の常連、ちゃんと役割りを果たしてくれます。
(監督も出演してるとありましたが、分りませんでした)
町一番のダイナーの活気と美味しそうなメニュー。
ウェートレス仲間の人間模様。

アメリカっぽい映画で面白かったです。

すべての出演者の演技がすごく自然で無理がない。
エレン・バースティン演じるアリスは全く美人ではない。
よくその辺にいる普通のおばさんだし、ごくごく平凡な主婦。
アリスは平凡な人たちの等身大、だから見ていて感情移入しやすく、共感もできる。
突然の夫の死に戸惑いながらも、笑ったり泣いたり、息子をしかったり、（ラジバンダリ。。。はしないか。。）、必死に生きていくアリス。
ときには声を出して泣きたいときもある。(アリスの場合はちょっと泣き過ぎの感があるが。。）
ときには息子に八つ当たりをしたいときもある。(トミーはかなり変わった子供だし、小憎らしい感じもするが。。）
ときには誰かに抱きしめてもらいたいときもある。（なんでアリスはもてるのだ？？）
そして、ダイナーの面々がいい。　個性的でユニークで愛すべき人たちだ。
大きな盛り上がりは特にはないのだけど、淡々とした日常の中にアリスの心の動きがよくわかり、どんどん引き込まれていく作品だ。

エレンの歌は決して上手ではないし、素人くさいのだけど、その歌声は妙に心をくすぐられる。

特典では、最近のエレンとクリスが当時を振り返って制作エピソードを語ってくれてます。　こちらもお見逃しなく！

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アリスは夫の死を境に経済的自立を余儀なくされ、昔のよき独身時代経験した歌手で生計を立てようと一人息子と車で旅立つ。バーで歌ったときハーヴェイ・カイテルの暴力男と知り合った。彼が近づいてきたときの世の中楽しくてしょうがない風の笑顔のすんばらしいこと。思わず、警戒心ほどいてしまう。しかし近寄ったら最後本性を出しでアリスを脅かす。やっぱりねえ。でもこの演技の別人のようなのをみてちょっと感動。と同時に劇中の男は暴力振るってないでその演技力生かせば？と思ってしまったほど。

そこから逃げ出してたどり着いたのは場末のレストラン。案外純情なアリスはそこでのあまりに下品なやりとりに閉口。そんな彼女に思いを寄せる農場主。結局彼と結婚する事になるのだが、、、、、それにしても先輩ウェートレスは何故にそこまで最悪の汚言吐き放題？彼女の置かれた境遇をアリスを理解させるためか？ほんとに興ざめです。

どれとどれが、といわれたらすぐに出ないけど、似たような話が沢山あるありふれた物語。でもこの作品が多くの人をひきつけるのはお人よしで頼りなく惚れっぽいアリスのキャラクターでしょう。乱暴な夫のご機嫌ばかり伺って男がいないと生きていけないと公言していたけど、息子と二人、きびしい世の中に丸腰でほっぽり出され、徐々に逞しくなっていく彼女。
母親へのクールな視線のちょっと困らせ屋の息子がとても良いスパイスとなっている。包容力ある農場主は男の強さは傲慢や腕力とは違うことを教える。アリスのような女性を愛すべき存在と位置づけたような作り方、不幸話のようだがホワワンとした主人公のお陰で全体的には前向き。私の好きさ加減が評価とすれば、どうかお幸せにで★3弱くらい。
◆２００レビューおめでとうございます、ニギさん。そしてハネケのレビュー読んでくださり感謝です。これからもどうぞ宜しく！

tsutouさんが全部、私の感じたことを書いてくれてるので、何も書くことはないくらい。
ハーベイ・カイテルとジョディ・フォスターの若いときが見れて良かったです。

女性の自立というには、疑問が残るけど、いままで、男がいなきゃ私はダメなのといってた人間が、１段階上ったという感じですね。