大脱走

※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。

レビューを表示する

　子供の頃から何度も観て、そして何度観ても飽きない不朽の名作です。

　高校生の頃、大晦日にフジテレビが「紅白歌合戦」の裏番組として放映したことがあり（何年か続いたような・・・）母親と、
「大脱走だ！」
「紅白歌合戦！」
と言い争いをしたことを思い出します。
　父親が、この作品が大好きだったので、最後には母親が折れてくれたのですが・・・。だから、この作品を観ると父親を思いだしてしまうので、もう１０年くらい観ていなかったのですが、
「もう、いいかな・・・」
とレンタルして久しぶりに観たのです（結局、父親のことを思いだして泣きましたが・・・）

　スティブ・マックイーンが主役で、めちゃくちゃかっこいいと言うことに異論を唱える人は居ないでしょうが、戦争映画と言うよりは、人間ドラマとも言うべき群像劇で、ドラマ性が高く、キャラやストーリーが見事に作り込まれているので、女性や子供にも薦められる作品だと思います。
　
　ほとんどと言って良いほど戦闘場面はないので、近年の厭戦的な作品とは違う、娯楽エンタメ大作です。脱走のための巧妙な準備と兵士達の人間模様がこの映画の柱となっています。
　実話に基づいてはいますが、上手にフィクションの部分をミックスして、とても上質なエンターテインメントに仕上がっています。ジェームズ・ガーナー、ジェームズ・コバーン、チャールズ・ブロンソン、デヴィッドマッカラム（ナポレオン・ソロですな）ジョン・レイトン（霧の中のジョニーかな）やドナルド・プレザンス等々、当時は若手といえどもすんごいオールスター・キャストです。
　「自由への讃歌」とも言うべき作品で、痛快無比ですが、これを観て
「かっこいい！」
と思ったからといって、戦争を肯定する人間というわけでも無いので、楽しめばいいでしょう。

　トンネル掘りの名人だけど、閉所恐怖症（笑）という役のチャールズ・ブロンソン（う〜ん、マンダム・・・今の若い人は知らねえか？）は、若い頃本当に炭坑夫だったんですよね。

　男しか出てこないんですけど、むさ苦しい感じもなく、笑いの要素もあります。
　マックイーンがバイクで疾走するシーンや、最後に独房でボールを当てるシーンは映画史に残る名場面であることに異論はありませんが、個人的にはトンネル掘る音に合わせて歌っていたり、歌い疲れた奴がご機嫌にベッドに戻って来ると、ベッドの板がトンネルの支柱用に抜かれていて、転げ落ちるなんてシーンが好きです（何度観ても、笑い転げます）

　ポール・ニューマンに憧れ、「傷だらけの栄光」でチョイ役をもらっていたマックイーンを見いだし、「荒野の七人」で準主役、本作で主役に抜擢し、スターダムにのし上がらせたジョン・スタージェスの役者を見る目（というか、大衆が求めるヒーロー像を敏感に察知した嗅覚）は本物だったのでしょう。（だって、マックイーンもコバーンもどっちかというと悪人ヅラでしょ？）

　音楽と言い、脚本と言い、映像の美しさと言い、（今の技術と比べちゃいけません）映画としての楽しさを、これでもかと言うくらい詰め込んだ作品でしょう。この作品のアラを思いつきませんが、アラを探そうとしちゃいけないと、自分の中で歯止めをかけてしまうんでしょうね。
　よふかしさんや、パロさんたちが、古い洋画の素晴らしさを力説する中（いや、ホントに素晴らしい作品はたくさんありますが）、私は今の作品も、それなりに楽しいし、捨てたもんじゃないと思うのです。
　でもでも、こいつは別格です。

「おもしろい映画教えて」って言われたときに、パッと思い浮かぶのがコレ。もう50年も前の作品なのに。

男だけの収容所が舞台、しかも脱走がテーマ。当然ロマンスもないし（ブロンソンとレイトンの関係は、当時のヘイズコード内でのゲイカップルの隠喩ではあるが）、政治的な意義も薄められているので、活劇の純度がとても高い。
敵・味方の白黒ハッキリ、脱走までは頭脳戦のスリル、脱走後は逃げ切るためのアクション＆サスペンスと、スポーツライクとも言えるおもしろさがギッシリだ。

実話がベースになっているから、もっと血なまぐさくもシリアスにもできるんだろうけど、ここはエンタメに徹して正解でしょう。冷静に考えれば決してハッピーとは言えない結末も、明日への希望が感じられて爽快。

もはやクラシックにカテゴリされる作品ですが、古いってだけで敬遠するのはもったいない。
今の映画に比べればゆったりしたテンポにも関わらず、3時間という長尺を感じさせない、稀有な超娯楽大作です。

それにしても、マックイーンをはじめ、この頃の男たちの顔ってゴツゴツして格好いいなー。まさに漢（おとこ）って感じがする。

本当に何回観たことでしょう。
確かＴＶ版は前編・後編に分かれて２週に渡っての放映で、次週までが待ち遠しかった憶えがあります。
ＤＶＤで観れば一気に３時間半が過ぎてしまいます。
オープニングからラストまで、各シーン毎に見所満載！
あれだけ名優を揃えながら、各キャラクターを余すところなく魅力あるものに仕上げ、３時間半の枠に収めるなんて、すごいです。
戦争物なのに、悲しい切ないシーンもあるのに、終わった後は上を向ける作品。なかなか無いですよ。
マックィーン、コバーン、ガーナー等々…素晴らしさは既に皆が伝えているので遠慮します。本当にカッコよくて素晴らしい！！
もう一人、注目してほしいのが、ハンネス・メッセマー演じるドイツ軍の収容所所長。
ドイツ人でありながらナチを嫌う所長。ある意味、いちばん「人」を感じました。
最も好きなシーンは、独房でひとりキャッチボールをするマックィーン☆ラストのね！

どうってこたない映画なんだけど　やっぱしマックイーンはかっこいいとか　ありゃ殺しのライセンスのお兄ちゃん出てる　とかの細かいことを楽しむあれやね

そこで脱走映画の秀作として　私目が推薦する
その映画のタイトルは　「合言葉は勇気」エギリス映画す

ブロンソンばかりがなぜもてはやされる…？　と生前のコバーン様が仰せになったかどうかは定かでないが、本作では間違いなくコバーンの方が「格が上」なのだぁ。バイクでブイブイいわしてるマックイーンの横で、なぜかチャリンコですいすいすい〜っと国境の向こうまで行ってしまう得体の知れない身軽な感じがとってもグー。
それにしてもこのテーマソングは名曲ですね。これを聞くと思わず地面に穴を掘りたくなります、なんてことはどうでも良いくらいに頭からシッポまでぎっしりアンコが詰まった感じの面白さです。