レイヤー・ケーキ

元々はガイ・リッチーが監督予定だったとの事で、ある意味ファミリー的なマシュー・ヴォーンが監督でも、本質は変わらない作りです。
『ロック・ストック＆トゥー・スモーキング・バレルズ』、『スナッチ』と同様の独特のテンポで、登場人物が複雑に絡み、重すぎず適度な軽妙さ緩さで、英国の断層的な裏社会（題名のレイヤー・ケーキの意）を描きます。

ガイ・リッチー的視点だと、ジェイソン・ステイサムという選択もあったかもしれませんが、主演はダニエル・クレイグ。
この後、６代目ジェームズ・ボンドに抜擢されるのですが、文句なしにクールな名無しの権兵衛（？）を演じていて、ガイ・リッチー的作品にアクセントを添えています。
脇を固める布陣も、個性溢れる面々を揃えています。悪そうな面構え達にニンマリです。

騙し騙され足元すくわれ、甘くない裏切りだらけの闇の断層社会（レイヤー・ケーキ）を主人公・名無しの権兵衛は切り抜けられるか？
そのラストにも英国的？センスが光ります。
ガイ・リッチー的〜が好きな人にはお薦めです。

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　最近まったく振るわない「スナッチ」のガイ・リッチーが監督するはずだったが、急遽、降板し、別の監督がメガホンをとった作品。

　ストーリーは「稼ぐだけ稼いだら、足を洗って悠々自適に暮らす」と考えている主人公。だけど、裏社会は甘くは無く、抜けようと思うほど、何かに絡め取られる主人公一行の物語。

　なんとこの主人公、僕は映画の最後に「はっ」と気づいたんだけど、名前がない。そういえば全く名前で呼ばれていなかった！

　ギャング映画なんだけど、殺戮シーンや残虐シーンは控えめ。そのかわり臨場感あるカメラワークで魅せてくれる。

　が、しかし、「スナッチ」や「ロック・ストック・トゥ・スモーキング・バレルズ（長い題名だ！）」に比べると、かなり評価は辛くなります。残念。
　
　その理由で「スナッチ」はギャングをカッコよく撮っていたけど、この映画では、リアリズムを追求する余り、ギャングをカッコ悪く撮っている。まぁ、テーマが階層社会だから仕方ないけど。

　それにしても、せっかく撮るんだったら、みんなカッコよく撮ってほしかったと思います。

時が経つのを忘れるくらいおもしろかった。
全部見ても３０分くらいにしか感じなかった。
久しぶりにそういう映画を見たって感じです。

テンポが「スナッチ」に似ていると思うのは私の気のせいでしょうか？主人公が数々の危機をすり抜け泳ぐように世渡りしていく姿が妙にクールでハマリました。ラストがなんとなくありがちな
展開と思いましたが、それでも最後まで爽快感を損なわない痛快な活劇でした。

ギャング映画は好きでよく見ていますが、その中でもかなり上位にくる１本です。ギャング映画とはいえ、過激なわけではなく、私たちの日常とさほど変らないかなくらいのトーンがリアルでいいです。（一部過激なシーンと思われる箇所がありましたが、スタイリッシュな音楽にのってサラッと見ちゃいます）
ロンドンの町も美しく、決して派手ではないもの、暗さは一切無く全体の映像がスタイリッシュに仕上がっています。

新ボンドのダニエルはこの映画から抜擢されたとも言われていますが、なにしろ心情を表す演技は抜群にうまいです。余談ですが、ボンド役の役作りのためにすごく体重を増やしていたんですね、驚きました。この映画では元々いい体はしているもののスレンダーなので、また少し違ったダニエルを見ることができました。ボンド役に選ばれた時、自ら制作にも加わることを条件にしたそうですが、そういう意味でもこの映画がかなり参考になっているのかと思います。カジノロワイヤルを見た方は、きっと「あれ？このシーンひょっとして」って思えるところがあるかも・・・・