ザ・タンク

閉ざされた空間で、次第に追い詰められる宇宙飛行士の恐怖です。

実話に基づくと言うのも怖い。
2012年。南極基地のタンクに6人の男女の宇宙飛行士が、
471日間という長い長い模擬訓練を行います。

物語は、最初1分で結末がバラされます。
実験の結果を受けた査問。
実験を指示した上層部をの責任を追及する映像と、
実際の南極基地タンクの471日を追って行く映像で
出来ています。

退屈な日々。
宗教にのめり込む1人。
不倫する2人の男女。
途中、酸素の供給が途切れるアクシデント。
足首を怪我するクルー。
1年が過ぎ、ホームシックもつのります。
そして471日目の最終日を迎えた日。
突然、事件が起こる。

しかし、特に目新しいことは起こらない。

【予想の範囲内】
ソリッドシチュエーションスリラーなら、当たり前。
予想を超える展開がないのが残念です。

この映画では、実験をする側の「悪意」が、不気味でしたね。

（2017年制作・アメリカ）
こういう訓練て実際あるのだろうか？
「実話に着想を得ている」とテロップがあり、2012年航空宇宙局NASAは〜と、
語り始めているのだから、本当なのだろう。
しかし、優秀な人材を、火星の無重力体験するわけじゃあるまいし、ただのへき地である所の
南極に471日間も密閉して、酸素が不足だろうがケガ人が出ようが連絡はつかず、
挙句、ほぼ全滅しました、失敗でしたって・・。
シミュレーションとは言え、ひどくないですか？

優秀な人材とはいえ、病気持ちも人もヤバイ感じの人もおり、6人だけの生活、
どんどんおかしくなってゆくのは、実験するまでもないと思うな。
2012年の段階でまだこんな非人間的なことをしていたのだろうか。
実験なんだから、カメラや通信機能はあるはずだ。
漫画の「11人いる！」だって、ギブアップ用の装置はあるのよ。
『火星の居住計画なんて初めから存在しない』
そうか、これは人間の命を紙屑のように扱うどこぞの大きな組織に対する皮肉なのね。
最終的に責任者が査問会に呼ばれて、責任を追及されるが、そこでも醜い押し付けがある。
亡くなった者は帰ってこない。尊い命だのに。

映画の出来としては、時間の経過を表現するのが曖昧、
冒頭に結論ありきで、観る方は結末を知っての鑑賞となる。リーダーのウィルに存在感がない。
6人の物語というより、責任者に翻弄されただけの気の毒な6人の顛末。
楽しくは見れないしドラマ性や感動のない凡庸な作だった。

★チェック

※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。

レビューを表示する

肝心の、クルーたちの精神状態が追い詰められていく感じがですね…イマイチでした。

空想の友達と会話を始めるクルーとかわざとらしいし、それ以外のクルーは別にまともだし。
ストレスで叫んだり病気になったりするのは、まあ仕方がないでしょう。そこまで異常じゃないから、スリラーになってない。
だから序盤に実験後の不始末の審査会を持ってきて、クルーたちの生活と交互に見せているのかもしれないけど、このやり方、「アイデンティティ」ではひねりとどんでん返しがあるから超有効だったけど、この作品でそれをやる意味はなかったと思う。

なんだか、大雑把なんだな、全部が。
男も女も髪型すら変わらないんだもん、ほんの一週間くらいの話に見える。
女性は髪が伸びなきゃおかしいし、スキンヘッドの男性は頭をバリカンしているシーンとかを入れたり、体重がうっかり増えたクルーを出したり、不倫カップルが盛り上がってから冷めるまでを描いたりと、もっと工夫してリアルさを出した方がよかったんでは。

クルーたちの家族への思いを演出するのも、下手。
ラストでリーダーの男性の娘がいきなり出現してもね…もっと序盤でエピソードを描くべきだったんではないの。感動的にならないよ。
脚本がいまいちでした。手抜き？

サスペンスやホラーで脚本がいまいちだと、鑑賞後に不満がたまるなぁ…という作品でした。

意外と展開に無駄がなくて悪くなかったと思います