ベイビーブラザー

階級社会の英国で最下層に属するであろう若者たちが人種偏見も本当になくて不器用だが情にも厚く
家族を心底から大事にしているように見える。特に異人種間の恋愛については建前でなく本音で偏見も無く自然であることに驚いた。
米国のpoliticaly correctnessみたいに建前の平等ではない。
もちろん彼らの選択できる職業は限られているだろうしとりまく環境もDRUGやそれに関わる犯罪者たちに囲まれて最低である。
多分シリア難民増加により一番影響をうけるのがこの層だと思われる。
映画の最後でそれでも保険なしの彼らを受け入れ診断し必要と思われる措置ができるのは衰えたりといえども英国のNHS(national health system)のお陰であろう。

父親の違う兄弟３人。
母が死んだ。
長男１８歳は以前から母に捨てられ底辺で孤独に生きていた。
次男１４歳は施設を飛び出し、里親に預けられていた１０か月の弟を誘拐。
兄が母親と決別したときに母から持っていけともらった大金の入ったバックを
兄の部屋から盗みだし、顔も見たこともない遠くインバネスに住む父親の元を目指す。
兄に見つかるも、説得して一緒にインバネスを目指すことになる次男君たち３兄弟。
列車の中で知り合った少女二人も加わってのロードムービーが始まる。

きっと母親は男に依存するダメな女性だったのだろう。
それでも彼らにとっては唯一の母親だ。
特に次男くんの母への思いは深く、兄弟愛も強い。
ただただ、兄弟で一緒に住むことを望んでいた次男くん。
知っている大人は父親しか思い浮かばず
父の元にいけば、必ずや彼らを受け入れてくれ
兄弟が一緒に住むことが出来ると
信じて疑わない姿が純粋で痛々しい。
ハッピーエンドを望んだが、現実は実に厳しいのだ。
それでもこの旅で得られたものは、兄弟の絆。
兄は弟を想い、弟は兄を慕う。
この兄弟が幸せになれる日が来ることを切に願ったラストだった。

兄を演じたアーロン・テイラー（今は改名してアーロン・テイラー＝ジョンソンを名乗り、すっかり大人のイケメンさん）と
弟を演じたトーマス・サングスター（メイズランナーやゲームオブスローンズと大活躍） は
なんと同い年！
１４歳を演じたトーマスくん、幼さが残る表情など、なんとも可愛らしすぎる！（笑）
羊の件は微笑ましたかった。

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主演のサングスターくん目当てでレンタルしましたが、お話含めて楽しめました。
確か本人20歳で14歳の弟役を演じたはずですが、まったく違和感ありませんでした。
後半の坊主頭にはビックリしましたが(笑)

ただ家族愛を求め兄弟皆で暮らしたかっただけなのに。
無邪気に笑ったり兄を頼る姿は凄く可愛かったです。
メイズ・ランナーでは見られない魅力を知れました。

健気な気持ちだけでは皆幸せな現実には変えられない。家族も離れ離れ。
だけど兄の心は動かせた。
ハッピーエンドとはいえない終わり方ですが、もう少し大人になったら理想の未来に少しは近付けていたらいいなと思います。

羊のシーンはきっとクスリと笑うと思います。

家族の支えもない子どもたちではうまくいかない現実に涙が出ましたが、ただ悲しいだけじゃなく兄弟の絆にはじんわりときました。
個人的に観て損はない映画でした。