俺物語！！

高校生離れした顔面と巨体を持つ剛田猛男（鈴木亮平）は、豪傑かつ硬派な日本男児なれど、心根は優しく純粋な高校1年生。その外見のせいで女子には恐れられているけれど、男子からの信頼は厚かった。そんな猛男は、親友のイケメン・砂川誠（坂口健太郎）と一緒にいたある時、街中で危機に陥っていた女子高生・大和凛子（永野芽郁）を助けます。大和に一目ぼれした猛男だったが、後日、3人で再び会った際、大和は砂川のことが好きなのだと察し、落ち込みながらも大和と砂川の仲を取り持とうとする猛でした。

少女漫画に出て来そうもないむさ苦しい男、いかつい顔面と屈強な肉体を持った男が主人公という設定が面白いです。
時に自分を犠牲にしてまで相手の恋を応援するという、もどかしくも切ないラブ・ストーリー。
善人キャラばかりで、相手を思う優しさに溢れています。
役作りのため、体重を３０キロも増量したという鈴木亮平、何をやらせてもハマりますね。
思いは言葉に出さないと伝わらないだろうと思いつつも、気づかせる展開が良かったです。

主人公の剛田猛男くん（鈴木亮平）も、猛男くんに恋する大和凛子ちゃん（永野芽郁）もピュアの一言に尽きますね。
もちろん、猛男の親友の砂川誠くん（坂口健太郎）も本当にいい子で、男同士の友情を見せてもらいました。
物語冒頭のシーンで、猛男がクラスメートの男子たちから凄く好かれていて、慕われているのが分かります。
同性から好かれる。これ、人物を見極めるのに重要なポイントですよ。
猛男は、その見かけ（巨体でゴリラっぽい）で、随分損をしていますよね。
なのに、一目で猛男の本質を見抜いた凛子ちゃんは男を見る目があります。
猛男がフラれ慣れているのと、きっと凛子ちゃんも砂川くん目当てだと思い込んでしまったのが、すれ違いの原因です。
「言わなくても分かると思うけど」って・・・砂川くん、もっと早く猛男に気づかせてあげればよかったのに。
でも、砂川くんのメールに導かれながら凛子ちゃんの足跡を追いかけて行くのは、猛男が凛子ちゃんの気持ちに少しずつ気づいていくのに効果的でした。
観ている私も凛子ちゃんの一途さに感動しました。
それと、砂川くんが言い寄る女子たちにＮＯ！と言っていた理由も素敵。
登場人物がみんな良い人ばかりで、気持ちがホッコリしました。
猛男の両親も愛情と思いやりに溢れている人たちで、猛男が純情で真っすぐに育ったのも納得です。
うちの娘もこういう人と結婚できたらいいな。

あんまり期待せずに観ましたが、面白い！
この映画には悪人が出てこない。
気持ちよく観れる。
イケメン役も嫌みが無い、本当にイイ男だ。

いつしか不器用な猛男を応援しながら観てました。
心の中で何度、激励したことか。
それだけにあのラストは良かった。

それにしても鈴木亮平さんは凄い！
「天皇の料理番」では病人役でやせ細っていたが、
この作品では３０ｋｇも増量して巨漢となっている。
今は「変態仮面２」でムキムキのマッチョになっているそうだ。
ダイエットが大変だとか言っている僕は真似ができないなぁ。
あ、ダイエットは成功しましたが。

今年観た映画のベスト３に入ります。

９５点

古典的な日本人の美徳【尽くす】
という言葉を思い出しました。

剛田猛男も自分を投げ打って【尽くす男】です。
川に流される子供を見れば、飛び込んで助け、
自分より親友、砂川誠(坂口健太郎)の恋を優先します。

そして猛男の一目惚れの相手、大和凛子(永野芽郁)も、
猛男に毎日、毎回、ケーキを焼いて【尽くす】のです。
ケーキが本当に美味しそうで困りました(笑)
チーズケーキ。
ザッハトルテ。
シュークリーム。
チョココロネ(パンだけど)
そして極めつけは？
ハート形のマカロン。
そしてお握り弁当もありました。

ヤマトがタケオのために【コツ】を聞きに行った、
ケーキ屋さん。パン屋さん。肉味噌の味付けは総菜屋さん。
【尽くしてる】んですよ、必死で。
このあたり流石、女の子目線で書かれてますね。
(別冊マーガレット連載)

ヤマト(永野芽郁)親しみやすく可愛かった。
砂川(坂口健太郎)イケメンが嫌味でなかった。
タケオ(鈴木亮平)渾身の［鈴木亮平劇場］
30キロ増量伊達でナイ。アッパレ！！
タケオみたいに、ゴリラそっくりの外見に恵まれない男子よ！！
諦めるな！
思いやりや人間力を磨けば、好きな子に、
思われるよ、きっと。

たまたま、今日、家内が実家の物置きの中を整理していて「嗚呼！花の応援団」の第７巻をみつけ、わたしのところに持ってきた。
で、あまりにも面白くて一気に読んでしまった。
この映画を観たのは、その直後だった。

この映画の主人公の剛田猛男は青田赤道と似ている。鈴木亮平はこのとき３２歳で学生服を着ていた。青田赤道は大学３回生だから２１歳くらいだと思われるが老けていてオッサンに見える。で、青田はキレイな女性を見ると理性を失い、すぐに真っ裸になって襲いかかるが、惚れるとすぐには襲いかからない。キャバレーのホステスに惚れて「1000杯飲んでくれたら〇〇さしてあげる」と言われると1000杯飲んで急性アルコール中毒になったりしている。
剛田は純情な巨漢だが、青田も純情なのである。
ただし、剛田は少女漫画の主人公であり、青田はどおくまんのマンガの主人公。

どおくまんのマンガにはデリカシーというものがない。人間の自己中心的な欲をそのままモロに描いていて、そこが面白いのだが、下品と言えばこれほど下品なマンガは他になく、編集者にしてもこれの連載を決定することにはそれなりの決意が必要だったろうと思う。どおくまんにしても、よくもあれだけ恥も外聞もない作品を描けたもんだと思う。
で、それが描けたのも、編集者がそれを出版する気になったのも、実はそこに少女漫画の台頭があったかららしい。
ヒラヒラしたレースの服を着て長い髪をなびかせて目からも身体からもキラキラひかる星を発しながら恋に悩む登場人物たちのデリケートな雰囲気が男たちの漫画の世界にまで押し寄せてきて、この映画の主人公の親友の砂川 誠みたいな男でなければ恋をしてはいけない・・ってな感じになってきて、じょーだんじゃねえ！ っと開きなおったのがどおくまんだったようだ。

で、この映画の原作を描いた河原和音にも、実はそういう反骨があったのかもしれない。巨漢の剛田とイケメンの砂川を対比させ、剛田に主役をやらせたのは、そういうことだったのかもしれない。
河原和音は北海道滝川市出身らしいのだが、父親はピアノの先生だったようで、そのお父さんの弟は札幌でコンセルバトワールという高級ピアノ教室を経営している。家内もそうだが、ピアノの世界というのは少女漫画丸出しみたいな世界であり、舞台にあがるときは常にヒラヒラした服や背中の開いたドレスを着る。これは、そういう世界への反骨精神から生まれた作品なのかもしれない。
そう思うと、ちょっと好感が持てる。