バルフィ！人生に唄えば

聴覚に障害をもつ純粋な青年バルフィと、彼との出会いを通じて人生を大きく変化させていく2人の女性の姿を描いたドラマ。
生まれつき耳が聞こえず、話すこともできないが、まなざしや身振り手振りで豊かな感情を表現するバルフィは、町の人気者。資産家の男性と結婚しているシュルティは、どこか愛情に欠ける夫との関係に悩むなか、バルフィと出会い、恋に落ちるものの、安定した将来も捨てきれず、夫とバルフィの間で揺れ動きます。
そして、バルフィの父親が病に倒れ、その治療費を工面するために、資産家の令嬢ジルミルの誘拐を思いつきます。施設に預けられ、家族からの愛情に恵まれず、強度の自閉症を患うジルミルは、幼馴染で心優しいバルフィに惹かれていきます。

聴覚障害を持つ主人公の一途な愛の遍歴を描いた珠玉の作品。
耳が聞こえず、話すこともできないけれど、眼差しと身振りで想いを完璧に伝えれるバルフィと、彼の自由を愛しながらも、世間体や両親のためにそれを選べなかったシュルティ。そして、心は幼い少女のまま大人になったジルミル。この映画のテーマは「心の声を聞く」ということなのかもしれません。
「心の声」を聴きつつ、今を懸命に生きていれば、それだけで十分。その人生は尊く、祝福されるはず。
心の声に従わなかった後悔をずっと抱き続けたシュルティ。そんな彼女の切ない思いがあったからこそ、バルフィとジルミルの人生は一層輝きを増したように思います。
手話に字幕もつかないので、まるでサイレントのコメディ映画のようなバルフィの動きに笑い、でも、ちゃんと切なさも伝わって来ました。
名作「雨に唄えば」「アメリ」などのオマージュが盛り込められているのも楽しいです。

※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。

レビューを表示する

TOHOシネマズのフリーパスでみました。

「どうせタダだから、寝てもいいや。」くらいのノリだったのですが、
２時間半と長いにも関わらず、のめりこんでしまいました。完全になめてたわ。
結果、２度も観てしまいました。

父の転勤でダージリンに越してきたシュルティは、耳が聞こえず言葉も上手く発せない青年バルフィと知り合う。
(ほんとは「マルフィ」という名前だけど、うまく発音できないから「バルフィ」になったんだって。）
バルフィに猛アタックされ、婚約者のいる身でありながらバルフィと恋に落ちてしまうシュルティ。
しかし家族に反対され、シュルティは婚約者と結婚する。

６年後、再会したバルフィはある誘拐事件に巻き込まれていた。
その事件の顛末と、シュルティが目撃した真実の愛とは。

「人生に唄えば」というサブタイトルがついていますが、
主人公がろうあ者なのでインド映画定番の歌うシーンはあまりありません。
そのかわり、古今東西の名画へのオマージュがたっぷり。

冒頭に出てくる施設は、ウェス・アンダーソンの「グランド・ブタペストホテル」に出てくるホテルにそっくり。
雰囲気的にはジュネの映画にも似てる。（このふたつは私はあんまり好きじゃありませんが。）

チャップリンのようなパントマイムや、「雨に唄えば」そのままのシーンも楽しい。
そういえばはじめの方で、群衆の中に一瞬チャップリンの姿が紛れ込んでいましたね。

バルフィを諦めさせるために、
シュルティのお母さんが自分の昔の恋人のところに連れていくシーンが「君に読む物語」とそっくりなのは、
バルフィ役の俳優さんがランアン・ゴスリングそっくりだからですよね。
ひょうきんなランアン・ゴスリングって感じの役者さんでした。

さて、「君に読む物語」ならば、一度引き離されたふたりは運命に導かれて一生を添い遂げるのですが、
この映画はそうはなりません。
親が勧めた相手と結婚したシュルティは無味乾燥な毎日を送っていて、
再会したバルフィに心動かされます。けれども人生には「遅すぎる」ということもあるのです。

誘拐された資産家の令嬢ジルミルとともに過ごすことになるバルフィ。
ジルミルは自閉症で、軽い知的障害もあるのですが、このような障害を扱ったインド映画は初めてでした。
ぬかるみで靴が汚れるのが大嫌いなジルミルが、バルフィと一緒にいたいという一心で
それを克服しようとするところは、心動かされました。
バルフィにとっても、いつの間にかそんなジルミルはとても大切な存在になっていたのですね。

ジルミルを演じている女優さんは元ミスワールドなんだそうですが、美人の上に難しい役を頑張っています。
もちろんシュルティ役の女優さんも超美人。インドって美人の宝庫ですね。

難点は構成（時系列）がややこしいこと。
老いたシュルティの回想として語られていますが、
バルフィとシュルティが知り合った頃と、６年後の誘拐事件の頃がいったりきたりするのでわかりづらいです。
もうちょっとすっきりした構成にしてくれればよかったのにな。
でも、最後にはパズルがはまるようにはなっています。

そういえば、ラストも「君に読む物語」とそっくりだわ。

いままで観たインド映画の中で、これがいちばんのお気に入りです。

ただただ長かったです。
音楽もダメでしたね。
そう言われてみれば[君に読む物語]に、
似ていました。
どうも、シリアスな物語を、コメディ・タッチで
描くところに、ついて行けませんでした。

前半はロミオとジュリエットばりのバルフィと美い女性シュルティとの悲恋を描き
後半は、自閉症の女性ジルミルとの愛を描いていきます。
耳が聞こえないバルフィは、そんな障害を感じさせないくらい能天気で明るい。
時にその能天気さが鼻についたのだけど(笑)、台詞が無い分、
全身で表現する演技は芸達者さを感じさせました。
物語は、時系列的なものがちょっとおかしくないですか？
ちょいと混乱してしまいました。
長いから余計かもしれませんね。

それにしてもインドの女優さんて美人な人が多いですね。
本作のシュルティ役の人なんて、絶世の美女という感じで目を見張るものがありました。
あと、インド映画の楽しみは、素敵なサリーの競演でもあるわけで、
シュルティの着ている色とりどりのサリーには、目を奪われました。

どんな人も人生は愛で満ちているもの、そんなメッセージを受け取りました。

舞台となる70年代のダージリンの風景にうっとり、
ヒロインの女優さんお二人の美しさにうっとり、
心洗われるピュアーなストーリーにうっとり。
うっとりしっ放しの150分でした。
主人公が聾唖ということもありトーキー映画タッチのお巡りさんとのおっかけあいっこのシーンは、チャップリンを彷彿させる見事な出来で観ていてウキウキしました。
みなさん演技がとっても素晴らしく、そりゃないだろ！的な強引なストーリー展開も
すんなり入って来るというか、迫真の演技に最後は大泣きしてしまいました。
笑いあり涙あり美しさありのインド映画、またひとつ好きな作品が増えました。