青い塩

ただのラブストーリーではなく、闇社会の絡んだ異色ラブストーリー。
足を洗った元伝説的ヤクザ、ソン・ガンホ演じるドゥホンは、故郷の釜山でレストランを開こうと通い始めた料理教室で、無愛想な少女、セビン（シン・セギョン）と出会います。
不器用なドゥホンの暖かさに、気持ちがほぐされていくセビン。
実はセビンは、ドゥホン監視に近付いた有能なスナイパー。

何かと過激描写の多い韓国映画にしては、ヤクザ映画につきものの血生臭さや、泥臭さは感じられず、スタイリッシュではあるものの、コミカルさを加えたタッチは、終盤でコケました。
タイトルの通り、青の使い方が印象的です。
プサンの海岸、夕景、夜景や、冷え冷えとした透けるような塩田はスタイリッシュです。

ソン・ガンホの不器用な可愛らしさは相変わらずですが、セビンの 正体を知っても、それを受け止めてしまう度量。それでもセビンを信じて守ろうとする姿が切ないです。
単純な男女の恋愛と言うよりも、もっと大きな無償の愛と言った方がふさわしいのかもしれません。彼女を暖かく包み込むような目線や雰囲気はソン・ガンホだからこそ出せるのかもしれません。
ヒロイン、セビンも複雑な心情をうまく出しています。
彼の温かい人柄に触れ、だんだん柔らかくなっていく姿は、とても自然で引き込まれます。

しかし、いつもの、緊張感溢れるこれでもかと見せられる作品を想像していると裏切られます。
かなり都合が良すぎるラストは、脱力感に襲われました。まぁ、「イルマーレ」のイ・ヒョンスン監督ですから、これも範疇なのかもしれませんが。

懲りすぎという気がしないではありませんが、一風変わった面白みがあり楽しめました。
ただ組織のシステム、主人公のヤクザ時代の凄さが余り理解できず、いまいち物語にのめり込めませんでした。
お約束の残酷描写が影をひそめ、「恨」の感覚、韓国映画に（勝手に）期待する汚らしいまでの暗さを含めた「らしさ」が感じられなかったのも肩透かしでした。
しかしタイトルにもなっている「青」の効かせ方が素晴らしく、スタイリッシュな映像・演出は非常に好意的に受け止められました。

暗い過去があるにも関わらず彼女がここまで今風（少なくともヴィジュアルは）なのですから、男はソン・ガンホに頼らなければ仕方が無いでしょう。
重過ぎればバランスが取れませんし、若いイケメンでは物語全体がペラペラに成りかねません。
ソン・ガンホはコミカルで可愛く、適度に凄味も影もあり、シン・セギョンの薄さを充分過ぎるほど補っています。
中年男の友情とも愛情ともつかない感情表現にイヤミが無く、彼女の正体を知ってからみせる肩肘張らない度量も自然で好感が持てました。
刺客との格闘シーンが、珍しく格好良かったです。
ひとつ、身辺の危機を承知の無防備（マンションが外から丸見え）は不自然でちょっとひっかかりましたが、これは演出なんだから仕方が無いんでしょう（笑）
得難いひとり、代わりの無い存在、好きですねぇ。

ところで、重要であるべき食事シーンが活かし切れていませんね。
度々登場させているのに、殆ど印象に残らないのは何故なんでしょう。
（コッポラ、トー、パン・チョーホン監督等の力量を再確認です。）

「青」で始まり「青」に終わって欲しかった。
このラストは要りません。

既に映画の中身については皆さん書かれていますので、ちょっと違う視点で攻めてみます。

注目はタイトルの「塩」ですね。ヒロインのセビン（シン・セギョンssi）が塩辛い味付けが好きなこと、塩に麻薬を混ぜる場面があること、ドゥホン（ソン・ガンホssi）と対峙する場面が塩田であること、そして台詞にも「塩辛いのは体に悪い」「だけど、なければ死んでしまう」など、塩に絡めた巧みな演出が作品に彩を与えています。また、英題の「Hindsight」ですが、“後知恵とか今にして思えば”といった意味合いの単語を使っています。これは、本作の重要なカギとなるセビンが銃弾に塩を使って細工をしていたことから引用したタイトルだと思います。

ラストの評価は色々あるみたいですが、長編ドラマの最終回だと思えば韓ドラ的なラストだと思います。


おまけ�@：劇中ドゥホンとセビンが見ていた映画は、2011年興行成績第2位の「サニー」です。11月2日にレンタル開始となりますので要チェックです。
おまけ�A：印象的な塩田の撮影場所は、忠清南道安眠島の斗山塩田です。
おまけ�B：「イルマーレ」に続いて本作もハリウッドリメイクが決定しているそうです。同じイ・ヒョンスン監督作品でしかも11年ぶりに撮った本作がどのように味付けされるのか楽しみです。

ソンガンホが好きで必ず見ます。（といっても劇場にはいかないが）　
今回もいつものガンホキャラです。味がある男というか・・・。

元やくざと、わけありっぽい、無愛想な美少女が、料理教室で隣同士。ってあたりでもうひっぱります。

サスペンスでもあるんですが、料理に関する映画でもあります。
上から目線でもうしわけないいい方だけど、じゅうぶん見る値打ちはあると思います。

ソン・ガンホは、決して韓流のイケメン系では無く、演技派俳優で
韓国映画では色々な役柄を演じれる俳優です。
今回はヤクザ映画ですが、タイトルの「青い塩」通り、青を基調とした映像で
スタイリッシュな味付けがされていて、
北野武監督が作っているヤクザ映画に近いものを感じます。
内容は
ヤクザ映画の鉄板、引退しても安穏な生活を送れず、巻き込まれてゆく
パターン系の映画ですが、中年男性と若い女性の「ラブストーリー」がベースで
この2人の間が、プラトニックな関係のままで進行して行きます。
ソン・ガンホ演じる、引退したヤクザのドゥホンは献身的な愛情を持って
セビン（シン・セギョン）を守り、セビンもドゥホンの危機を救います。
2人の恋の行方にやきもきするところはありますが…。

この設定であれば、ラストの展開には少し疑問を感じます。
パターンとしては、悲恋モノのラストのが良かったんじゃないかって気がするのは
私だけでしょうか...。