マッシュ

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　子供の頃、深夜ＴＶで見ていたような気がします。この作品が映画として公開されたのが、中学生の時だったかな・・・
「戦闘シーンのない戦争映画」
みたいな宣伝文句だった気がします。

　ロバート・アルトマン監督は、一風変わった作品を撮る人だなと思ってましたけど、亡くなられていたことを知りませんでした。「今宵、フィッツジェラルド劇場で」が遺作と言うことになるのかしら。「ロング・グッドバイ」なんか好きだったのにな・・・。

　「２４」のジャックのパパ、ドナルド・サザーランドとエリオット・グールドのコンビの従軍外科医師が、はちゃめちゃなことをするブラック・コメディですけど、子供の頃はこのブラック・ユーモアって言うのがよくわからなかったな・・・。日本には、あんまりそういう土壌が無い時代だったのかもしれませんが・・・。
　流れてくる「自殺のすすめ」だの、放送の締めに
「良い戦争を」
だの、ふざけているように見えても、戦争の馬鹿馬鹿しさみたいなものは充分感じることができます。
　MASH というのは、移動野戦外科病院 ( Mobile Army Surgical Hospital ) の略だそうです。

　この作品中の舞台は１９５０年代の朝鮮戦争になってますけど、この作品が公開された１９７０年は、ベトナム戦争の真っ最中。そういう時期に、こういう異質な戦争映画がをアメリカで作られていたと言うことを考えると、なんだか感慨深いものがあります。


　吟遊旅人さん、お帰りなさい。レビュー再開されたことをみんな喜んでいます。mixiの方もいろいろ騒ぎがありましたが、「ラヴァデス」は承認制・非公開とすることで、メンバーのプライバシーやなんかを守る体制になってます。おかげで、表では言いづらいこともさらせてしまう、妙に居心地の良い場所になってますので、是非、のぞきに来て下さい。って、非公開だからコミュに入らないとのぞけないよ！

　実は、この映画大昔に観ただけで、内容はうろ覚えなんですね。ただ、吟遊旅人さんが、この作品でレビューを再開されたので、メッセージとして送りたかったので、アルツハイマーな脳味噌を振り絞って、思い出しつつレビューしました。

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　こんちゃんさん、吟遊旅人さんのレビューに惹かれて久しぶりに再見。記憶していたよりも遥かに面白い、これは傑作でした。
　コメディというのだから隙あらば笑おう、と前傾姿勢をとっているときっと肩透かし、そんな爆笑するような作品ではないので、そういう期待は禁物です。
　ほとんど特典映像で入っていた映画評論家の話の受け売りですが、主人公の軍医たちは狂った戦場の片隅にいて、必死におふざけを繰り返すことで正気を保とうとしているのだ（本当はもう半分狂っているのかもしれない）、と考えると、この笑えない“コメディ”が従来の反戦映画や軍隊コメディとは一線を画すとてつもない魅力的な映画に思えてきます。
　爆笑はないけれども語り口はリズミカルで、たとえば前半のロバート・デュヴァルとサリー・ケラーマンの気持ち悪いカップルにはけっこう笑えました。デュヴァルは信仰、ケラーマンは軍紀と強力な建前の持ち主なのに、結局ふたりは獣のように交わって、その喘ぎが部隊中に放送されてしまうのですから。歯科医の「最後の晩餐」など、シニカルで反権威的で馬鹿馬鹿しいギャグの一方、シリアスかつ流血夥しい手術シーンが交互にやってくることもあり、笑うに笑えないのです。
　吟遊旅人さんが不愉快に感じられたのは、ケラーマンの演じる女性将校が髪を染めているかどうかを検証するために、下の毛を皆で確認しようとするお下品なシーンだと思いますが（このシーンの撮影時にはアルトマンも素っ裸になっていたというエピソードが特典映像にあり爆笑）、確かにやりすぎで嫌な感じも漂う場面ながら、その後ケラーマンが皆に溶け込んでフットボールのチアリーダーとなってピンボケな応援を繰り返したり、トム・スケリットといい仲になったりする流れを含めて考えたほうがよいような気がします。
　後半のフットボールの試合などなんとなくただのコメディになってしまい、少しダレた感じもしますが、退屈はほとんどしませんでした。笑えないけれども面白い、知性溢れる素晴らしい反戦映画の傑作です。８５点。

　こんちゃんさん、いつぞやは真摯な書き込みをありがとうございました。その後の驚異的な投稿量に驚いています。吟遊旅人さんにもいといろお気を使わせてしまいすみません。最近の事情は皆目分かりませんが、コンスタントに書いていただきたいと願っています。

　朝鮮戦争を題材にしながら実はベトナム戦争を批判していたという反戦コメディ映画。（ふーむ？）

　これは間違いなくコメディ映画だし、戦争中だというのにもうメチャクチャなことをしているんだけど、わたしは笑えなかった。一カ所もゲラゲラ笑うようなところはない。でもけっこう面白かったのだから不思議。映画そのものの面白さよりもメタレベルで捕らえてしまうような映画だ。つまり、ベタな地点に入っていけないのだ。全然感情移入なんてできないし、むしろ遙かに距離をおいていくようなドラマで、見ているうちにどんどん登場人物たちとの距離を感じてしまう。そして、こんな不謹慎な戦争映画を作ってしまった制作者たちの意図に驚嘆せざるをえない。

　戦闘場面はまったく映らないけれど、次々野戦病院に搬送されてくる瀕死の兵士たちの血まみれの様子がリアルに戦場の悲惨を映し出す。頚動脈から血がびゅーと噴出しているのなんか、ほんとだったら病院に来る前にほとんど即死だと思うけど、映画的にはあり、のシーンなんだろう。いかれた主人公が軍医という設定にしたところがこの映画の（というか原作の）ミソだ。軍医の目から見た戦争の悲惨。いや違う、実際の戦闘に参加しない軍医が好き放題して既婚の女性兵士と寝てみたり無茶苦茶なことばかりして、戦争をシニカルに見る。このあまりのシニカルさに呆れてしまうのだ。しまいには戦争と全然関係のない話へと展開したり。しかし、日本が場面に登場したりすると、朝鮮戦争って日本も加担していたんだということを思い出さされる。真面目な奥の深さがあるかと思えば、女性将校をからかうやりかたは品がなさすぎて笑えない。どころか、腹が立つ。あれを見て笑える男は嫌いです。

　そうそう、なんといっても若き日のドナルド・サザーランド、彼が生き生きと演じているのが印象的だ。今から思えばほんとに若いし、無名だったのだな。



　あっちへ行きこっちへ行き、と物語はふらふらさまよい、結局のところ、こんな戦争で死ぬのはバカだぜ、と歌って終わり。いやぁ〜、恐るべき映画です。

アメリカ映画と赤狩り　　　その5　　　　リング・ラードナー・ジュニア　(1915-2000)

( ネタばれあり)

この映画、１９５６年生まれの僕には、高校生になって映画をよく観るようになった時期と重なる、世代的にドンピシャの作品です。
と言っても封切りではなく、公開して１年以上たってから名画座で観たのですが、テアトル７２という、今はない映画館で観たこと、その時の劇場の雰囲気、７０年代初頭のアメリカン・ニューシネマのおおらかで自由な作品を楽しんでいる空気まで思い出となっています。　また当時角川文庫で出ていた原作小説(　アメリカ帰国後を描いた続編までも　)もいまだに持ってますし、テレビドラマ化されたのも観た記憶があります。

朝鮮戦争時のMASH(　移動野戦外科病院　)を舞台とした戦争笑劇(ファース)で、本作はクラシックと言える有名作品ですが、ぼくには青春の作品でも、もはや４０年前の映画で、そういう作品ほど意外と若い世代の方はごぞんじないものなので、解説めいたことを述べます。

「　ボナンザ　」「　コンバット　!　」などを撮っていたテレビ出身の監督と、出演者も何人かはテレビ出身か、映画ではさほど名の知られていない新進気鋭の若手による群像劇でしたが、『　いちご白書　』と競り合った末に、カンヌ映画祭のパルムドール(大賞)を獲り、大ヒットした作品です。

その監督はロバート・アルトマン。　当時４５歳、本作でブレイクして大監督になりました。

今回観て、主演の３人がStaring ではなく、Co-Staringと表記されてるのに驚きました。

ホークアイ(鷹の目)ピアースを演じるのは、ドナルド・サザーランド。　カナダ出身の名優ですが、最近はジャック・バウアーを演じた息子のほうが知名度が高いかな。

デュークを演じるトム・スケリット。　助演での大きな役が多いですが、一番有名なのは『　エイリアン　』の船長役でしょうか。

トラッパー・ジョンを演じたエリオット・グールド。『ボブ&キャロル&テッド&アリス』とか『ロング・グッドバイ』『カプリコン１』など７０年代を代表するスター俳優でしたが一時低迷、「フレンズ」のロスとモニカの父親役とかテレビ出演が多くなってますが、『オーシャンズ』シリーズに出てました。　本作当時は、バーブラ・ストライサンドと結婚してました。

バーンズを演じるのは、ロバート・デュヴァル。　『アラバマ物語』がデビューで、『勇気ある追跡』などにも出てますが、『ゴッドファーザー』出演で有名になるのは本作の後。

そして” ホット・リップス　“　を演じるサリー・ケラーマン。
今の感覚で言えば、彼女に対してなされることはかなりのセクハラで、そこが嫌だという方もいらっしゃるでしょう。
しかしこのホットリップスの愚かで欠点だらけだが根の善良さのあるキャラクター、明るいおおらかな色気が、この映画のカラーを決定していると思います。

ヘリコプターから太ももを露わに降りてくるシーンからして華があり、最初は嫌われ者だったのが、うちとけて仲間になっていきます。
「　アメリカ映画のセオリーは登場人物が成長か変化するものだが、この作品の主人公は最初から最後まで変化しない」と脚本のリング・ラードナー・ジュニアは書いていますが、唯一変わるのが、このホットリップスです。　自由で人間らしい女性に変わっていきますね。

さて、脚本のリング・ラードナー・ジュニア。

父は作家のリング・ラードナー。　父と同じく新聞記者になり、ヘッドハンティングされてデビッド・O・セルズニックのブレーンとなります。
原作本を下読みする仕事をしていた時に、人種差別的だからと映画化に反対した作品が、かの『　風と共に去りぬ　』。

『　スタア誕生　』のエンディングに何か決め台詞をと言われて考えたのが「　私はノーマン・メインの妻です　」で、その後数回のリメイクでも踏襲されることとなった。

シナリオライターとなり２７歳の時『　女性　NO.1 』でアカデミー脚本賞受賞。
スコット・フィッツジェラルド夫妻、ドロシー・パーカー、ダシール・ハメット、リリアン・ヘルマンら作家と友人となる。
ニューディールの自由な時代の下、アメリカ共産党員となり、第二次世界大戦中は、同盟国ソ連との友好、対枢軸国向けの宣伝活動を行う。
一転、戦後赤狩りでダルトン・トランボらとともにハリウッド10と呼ばれる立場となり、
それまで勤めていた２０世紀FOXをダリル・F・ザナックに解雇され、撮影所出入り禁止となる。
そして非米活動委員会への証言拒否により、一年間投獄されました。
(　赤狩りを告発していた議員J・パーネル・トーマスが脱税により、同じ刑務所に投獄されるという皮肉なことも起きる)





　( つづく　)

時代背景とか知らないで見るとただのおふざけ映画ですね。
ベトナム戦争の頃に作られた映画ですか・・・
そんなことがわかるのもレビューのおかげです。

悲惨な戦闘シーンを盛り込んで反戦映画を作るのは
まぁ普通と言うかそれほど難しく無いんでしょうが
全く戦闘シーンなしで反戦メッセージというのはすごいですね。

血まみれの兵士が運び込まれては、多くの人が亡くなっていく
そんな野戦病院の傍らで、フットボールねぇ・・・
本当にそんなことやってたんでしょうか？
余裕と言うか、なんと言うか・・・

下品でふざけたコメディで笑えない。
なのに、結構面白い。
吟遊旅人さんのおっしゃる通りですね。

この作品をただ面白おかしく笑って見てる
男性が多くないといいんですけどね。