暴力脱獄

ポールニューマンの魅力に圧倒されます。
「暴力脱獄」というタイトルですが、内容は全く違います。
配給会社が作品をアイマスク着用で観た後
会議室で居眠りしながら作ったタイトルでしょう。
こういう素晴らしい作品を観そびれることがあるとすれば、原因は
タイトルからくる、「なんかつまらなそう、、、」
という先入観でしょう。
　この映画最大の見所はポールニューマンの笑顔です。
この笑顔に魅力を感じない人は根っからの悪党でしょう。
自分が善人か悪党か確かめたい人には必見です!

　

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『ＣＯＯＬ　ＨＡＮＤ　ＬＵＫＥ』原題こそ最高にクールなのに、邦題の『暴力脱獄』って最悪。だって暴力って言葉こそ、ルークの中に微塵も見つけられない、正反対の言葉。ミスリードされませんように。

何が原因なのかはっきりとは分からないけど、ルークは社会の堅苦しいルールに従うのが苦手。おそらく生まれ持った真に純粋で心優しい性分のせいだろう。結果理不尽な権力に抵抗し、損をする事も幼いころから繰り返しあったのではないかと想像する。
母親はそんなルークを心配しながらも愛おしんでやまない。

誰もが力関係の中で少しでも有利に立ち回る刑務所生活でありながら、ルークは強い物に擦り寄る事もなく、人のことなど気にしない。みんなが嫌がる労役をハイペースで楽しんでこなしたり、ゆで卵５０個を１時間で食べる賭けをしたりはゲームのようで、とても愛嬌がある。最初は胡散臭く思っていた囚人のボスも次第に彼の魅力に取り付かれていく。

ルークの魅力、それは嘘も私利私欲もないところだろう。だから彼の人生には暴力も駆け引きも必要ない。自分の望むところに従い自由に生きたいと望んでいるだけだ。しかし監獄生活には理不尽な威圧、制圧が満ちている。
唯一彼を理解してくれていた母親の訃報を受け取った時、彼は反省小屋（半畳ほどの独房のような）に入れられる。身内の訃報にいたたまれなくなって脱獄を図ることを予防する為だ。この非人間的な扱いを境に、彼は脱獄を繰り返す。
飄々と服従する事を避けていたルークが、はっきりと抵抗する事を選ぶのだ。これが管理社会に憎悪や暴力を生む構図なのかもしれない。
脱獄しては捕まり、捕まっては又逃げる。そのたびに厳しさを増す罰と制裁。逃げる事が目的ではなく、屈服をしないという信念を貫くことが彼の目的なのだ。決して諦めないボクシング試合と同様に。
ひたすら不器用で頑固な変わり者、でも、とても愛すべき男。
そんなルークをポール・ニューマンが魅力いっぱいに演じている。
群れの中でこそ威張れる同房のボス、憎たらしさ一杯の所長、看守も見事。近年的でないストーリーと、役者の魅力が溢れた作品でした。

　体制に屈服しない、その自由を愛する姿勢から誰もが愛さずにはいられない個性の持ち主なのに、社会に居場所がなかったために投獄された男ルークの脱獄記。看守や囚人仲間まで魅了せずにはいられない、フレームアウトしたルークは、それを押さえつけようとする勢力、刑務所長や監視官らのほうがよほど奇異なサディストに思えてしまうほど、言い方を換えれば、それほどルークは陽性な男気に満ちている。あくまでも、鎖（社会や体制、決まりやしがらみ）から解き放たれようとするルークは、刑務所から何度も脱獄を試みる。逃げおおせても、社会はルークにすれば刑務所と同義だ。また、入獄する。罰則も増える。しかし、自由を手にするためには、決して諦めない。この気概の小気味よさ。次第に魅了されていく画面のこの男は、囚人なのだ。この作品以降に、ジャック・ニコルソンが『カッコーの巣の上で』でアカデミー賞主演賞を取ったのなら、プロットは違うとはいえ、自由と自己の魂のために反抗し抜いた男の演技で、ポール・ニューマンが取れなかったのは、返すがえすも惜しい。その後も競演に恵まれて幾多の名作にも恵まれたポール・ニューマンだが、彼のピンでの個性がこれほど異彩を放った作品はない。助演にも素晴らしい個性が揃っている。ニューマンのベストといっていい。

いまポール・ニューマンの作品をまとめて観ている。青春期の代表作　暴力脱獄。ちゃちな器物損壊で懲役二年。よっぽど裁判官への心証が悪かったのだろう。ポール扮するルークはただただ脱獄を繰り返す。何の算段もなく、あたかも逃げることが目的の如くに。母の死をきっかけにエスカレートしてゆき連れ戻される度に体力、気力を失う姿は痛々しい。彼に何があったのか映画の中で描かれることはない。ルークの輝く若さ美しさが失われてゆく。消費されてゆく。それをルーク自身が臨んでいる如くに。囚人の日常はリアルに描かれる。救いのないけつまつなのにエンドクレジットのルークの笑顔に救われ、彼が望んだのは母のもとへ行くことだったのか？とただただルークが痛ましい。

「暴力脱獄」という邦題がまったくもっていただけない。
私は自分のライブラリーの中では原題の「Cool Hand Luke」にしている。
この映画はアメリカではよく知られた映画で、「ガッツのある男」の代名詞のようになっている。
たしかジャッキー・チェンの映画の中でもこれをパクッた場面がある。（監獄が舞台の映画。題名は忘れた）
「ハスラー」や「スティング」などとともにポール・ニューマンの代表作だと思う。見たこと無い人は必見。
ポール・ニューマンのファンになり、彼の映画を見まくるきっかけになります。