画家と庭師とカンパーニュ

素晴らしい・・・

素晴らしすぎる・・・

なんてこと無いうだうだ話しを聞いてるうちに、なぜだか笑みが溢れてきて、なぜだか涙が止まらない・・・

泣いて泣いてグチャグチャになって・・・

そして残るは、全てのありきたりで特別なものへの感謝の気持ち♪

□■□■□本作誕生の裏話□■□■□

この『庭師と画家とカンパーニュ』の脚本は、フランスのコメディアンにして名優のジャック・ヴィルレ氏を庭師に想定し、彼のために書かれたものでした。

ジャン・ベッケル監督の最近の2作品『クリクリのいた夏』と『ピエロの赤い鼻』は共にジャック・ヴィルレ氏が主演してるように、監督のヴィルレ氏に対する信頼は相当なもので、友とも言える関係にあったようです。

しかし、彼のことを想定していた本作の初稿を書き終えた2005年・・・ジャック・ヴィルレ氏は脳出血の為に急逝されてしまいます・・・。（そのとき、ジャン・ベッケル氏は68歳、ジャック・ヴィルレ氏は53歳。）

あまりにも若すぎるその死にショックを受けたジャン・ベッケル氏は、一時はこの作品の映画化を諦めますが、この脚本に対する想い（≒ジャック・ヴィルレ氏に対する想い）があまりにも強いため、ヴィルレ氏に代わる俳優を立てて撮影することを決めます。

そして、ジャン＝ピエール・ダルッサン氏にヴィルレ氏と同じ雰囲気を感じたベッケル氏は、この脚本がヴィルレ氏の為に書かれた脚本であることを伝えた上で、庭師の役をやってもらえないかとオファーをし、その事情（想い）を知った上でダルッサン氏は快諾されたそうです。

そうして、この作品はこの世に生まれました。

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映画単体としても素晴らしい作品ですが、この事情を知った上で観たので、ジャン・ベッケル監督のジャック・ヴィルレ氏への想いが伝わってきて、涙が止まらなくなりました。

満足度　97点

※日本語吹き替えと字幕とで2回観ました（´艸｀）が、あまりにも主人公2人がうだうだとしゃべりまくるんで、字幕では文字数制限もあってニュアンスが伝わっていない部分がかなりありました。また映像があまりにも美しいのにそれを見落としがちになる感じもありました。
字幕を見るスピードにもよりますが、個人的には日本語吹き替えをオススメします（°∀°）b

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「クリクリのいた夏」「ピエロの赤い鼻」同様、ジャン・ベッケル監督がフランスの美しい自然をバックに、幼馴染みの二人の友情を描き、生への賛歌といった感じの作品です。

故郷に帰った画家の家に、庭師の募集広告を見た男がやって来て、運命の再会。そこから友情を育んでいく話です。
地元で、妻と平凡な生活を送る庭師と、派手な生活をして来た画家。
話にこれといった起伏はないのですが、彼らは自分の人生に欠けていたものをお互いに埋めあうかのように友情を深めていきます。
ただひたすら、ほのぼのとした対話と映像が続くのですが、何故か心に響くのです。
懐かしい友人と新たな友情を築けるのは、羨ましいと思っているからなのかもしれません。

荒地と化した庭が、みごとな菜園に変身し、天候が変化し、季節が移ろい、野菜や草花が育まれていく。そしていつしか、彼は野菜に水を撒くことも覚えます。
庭師と少年時代の話や、家族の話をする中で、画家がいつしか癒されていくのですが、と同時に私も画家と同じ様な気持ちになりました。
自らの人生を振り返って考える画家の視線は、温かくて、ほろ苦くて、切ないのでした。

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その家は居心地のいいものだった
窮屈なキッチン　ごちゃごちゃとしたリビングの壁には
ありきたりな花の絵と子供の絵
何十年と積み重ねた男の生活の証し
何よりそこには愛があった

片や　送り届けたその男には何があっただろうか
新しい魅力　新しい刺激に振り回され
他人の成功　才能を妬み
妻や子に愛想をつかれ
家業から逃げだしてまで選んだ絵の道にも迷ってばかり

使用人となり下がった旧友を憐れむ男
気の毒に思われていたのは自分のほうではなかったのか

**

いいお話です。いいお話なんです。
死期目前にしながらも小さな農園で野菜の顔を眺める庭師。
描きたいのかも分からない抽象画が生き生きとした静物画に変わる。
涙してしまうのですが・・・・。何も　死なせなくてもいいでしょう？
死ななくても庭師は十分輝いてるでしょう？
安易なマジックにかかってしまったようで何か　悲しい。

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偶然再会した二人の昔の悪戯

誕生日ケーキのローソクに悪戯

見事に吹き飛ぶケーキと驚く生徒の中で、耳をふさぐ2人


性格も、生活もまるで違う二人

何にでも愛情を持っているようなジャルダン

どこか不器用さを感じるキャンバス

無機質な印象を受ける絵画ばかり画いていたキャンバスが、

ジャルダン亡き後画いた画は・・・


黄色い長靴、青い室内履き、大きな南瓜・・・

そして、ナイフと紐

「いつも持ち歩いてると役に立つと」
と、ジャルダンが言っていたナイフと紐。


何気なさ、さり気なさ、自然、そんな言葉が似合うこの作品

カンパーニュの景色とジャルダンとキャンバスの会話

やわらかい作品です。
やわらかくて温かいです。

ラストの絵画展、涙がこぼれました。

キャンバスに、あんなに優しい画を画かせたのはジャルダン
再会できて良かったね。


これはお勧めされて無かったら絶対に観て無い作品だったよ。
なおくん、有難う。




　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　pokorou

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だから地面の中がいい、それなら草木の根っこが導いてくれるから迷わなくて済むだろう・・・これは我が寿命を悟った庭師の言葉。
彼の話し方、言葉、優しい眼差し、すべてが癒し系の庭師、ジャルダン。
だから見知らぬ犬もついてくる。
優しい男だと知っているから毎日ついてくる。
奥さんを愛し、家族を大切にし、国鉄の砂利ひきの仕事をずっとやってきたジャルダン。
そして体に毒なことは初めからしない主義だ。
それなのに神様は彼に過酷な試練を与えるのか・・・

ジャルダンとは対照的な画家・カンバス。
妻とは別居中、愛人は常にいる、もともと金持ちだが、パリに出て画家として成功し、今もなお金持ちだ。
都会生活に疲れた彼が田舎（カンパーニュ）に戻っってきた。

同級生の二人。
小学生のころ、一緒にいたずらをした仲だ。
別々のそれぞれの道を歩んできた二人。
それでも、時は男の友情を消すことはない。
立場が違っても、二人は友達だ。
だから、お互いを秘密の呼び名、『カンバス』『ジャルダン』と呼び合うことで絆を深めていく。
（そこが何ともかわいらしいじゃないか・・）

ジャルダンがたくさん良い言葉を語ってくれる。
それをほほ笑みながら耳を傾けるカンバス。
彼の心は次第にジャルダンの素朴でシンプルな世界に影響されていくのだ。
生きるってことはこんな風にシンプルでいいはずなのに、人間ってどうしてこんなにも欲深になってしまったのだろう・・・ジャルダンを見ているとそう感じずにはいられない。

ジャルダンの好きなものばかり描き始めたカンバス。
彼の心もまたシンプルに生きることの喜びに目覚めたようだ。
その絵画たちがそれを物語っていた。
そして菜園に水すらまくこともしなかった彼が、水撒きを始めるのだ。
ジャルダンが根っこをちゃんとつかめるように・・・

男の友情って、実いいいものだ・・・"^_^"