極道恐怖大劇場　牛頭

　これはかなりツボにはまりました。人前ではあまり大きな声で言えません（言うと変な人と思われそう）がとても面白いし、かなり怖い作品です。
　作品全体がズレまくっています。その「ズレ」が恐怖への連鎖反応を生み出しています。つまり「ズレ」→「意味不明」→「不気味」→「不安」→「恐怖」という感情のサイクルが生まれるようです。ただしこの感情のサイクルは私の感じたことなので、他の方に当てはまるかどうかは分かりません。

　やくざホラーということでアクションホラーを想像していたのですが、ほとんどアクションらしきアクションはありません。摩訶不思議な異次元ワールドが展開されていきます。「名古屋怖いよ〜」。「名古屋で携帯が通じなかったらどうしよう」。これは恐怖です。（名古屋の皆様すいません）

　カンヌで上映されたとありますが、名古屋の特殊性や関西弁で名古屋人に扮する間寛平が「あんた名古屋の人間ちゃうやろ」と語る不条理さや、酒屋の奥さんが外人など、日本人ならニュアンスが伝わるベタだけどねっとりとした怖さは異国の方々には伝わらなかったように思うのですが・・・、どうなんでしょう。

　吉野きみか、最近ＡＶへ出演とかで巷を賑わせていますが、すでにこの作品で全く脱がないもののかなり大胆だしエロティックな演技を披露しています。もしかしてこの作品へ出演したために吉野きみかの中で何かが弾けてしまったのではないか、そんな気もします。


　小説を映画化しても失敗することが多いですが、逆にこの映画は文字にすることが難しいのではないでしょうか。まさに映画ならではの映画です。

　エンディングテーマも『崖の上のポニョ』のテーマに負けないほどインパクトがあります。これは必聴ですよ。

三池恐るべしっ！！！
ヤクザホラーとは何ぞや？？
名古屋の片田舎？で若いヤクザが奇妙な人々と遭遇し不条理な体験をする、ある種幻想譚ともとれる内容ですが、良く云えばカフカ＋リンチ＋清順の世界なんでしょうが、ナンセンス過ぎるのでやっぱり違うんでしょうｗ

まぁ、この作品も相当イッてもーてますが、とにかく石橋蓮司と吉野公香の体当たり演技に要注目ですね。
あんなこと、こんなことさせながら観てる方が薄ら寒くならないのはさすがの演技力です。
両者各々のクライマックスシーンでは『○○が壊れるやん・・』と思わず顔をしかめてしまうかもしれません。

そして本作では新たな都市伝説が作られました。
ヤクザ犬、ヤクザカーにヤクザ処分場、カンペ外人、モンモン皮。
勿論牛乳の成分が実は・・・・なんて、保険所に成分調査を依頼してしまう『呪われた都市伝説』シリーズがあらたにリリース確定かも。

また関西人なら木村進と間寛平の２ショットに昔懐かしい『あっちこっち丁稚』を想起され思わず下着を赤フンに着替える方も少なからずいらっしゃるかもしれません。
富田恵子の搾り出しシーンでは桑原和男のしわくちゃ垂れ乳姿が重なり思わず「神様ぁー」と叫んでしまうでしょう。
大物俳優陣の顔見せも豪華で丹波哲郎、長門裕之、火野正平等もキャラはやっぱりどこか”変”なのです。
と云うか町で出会う人間全てどこか”変”ですから、この町では迷い込んだヤクザの方が”変”な人間になるんでしょうか。

とにかく、終始普通ではない不気味な違和感を感じまくりながら、笑い転げてしまうと云う摩訶不思議な独特の世界観が魅力の本作、是非お試しあれ。
独特の世界観と云えば司会のカルーセル麻紀が童○をベッドで襲ったりと、やりたい放題の伝説のエロ深夜番組もありましたね。

ハハハハハハハ爆爆爆　なんじゃこりゃ　さすが三池や
ホラーとやくざ映画の　脱構築！　それも徹底してるね

曽根晴海大好きだぜ　彼が息子のために製作したものって　曽根の兄い金持ちなのか　親ばかなのか　それでカンヌまでいっちゃうんだから　とりあえず大推薦！

コメディーとホラーとは同根ものと・・・とまでは言わないまでも近接的な関係にあるというのはよく言われることだ。楳図かずおがホラーマンガとギャクマンガとを共に書いているのは有名な話だし、そもそも日本のホラーマンガは日野日出志という極めて特異な作家を例外とするなら多かれ少なかれ笑いの要素と接していると感じる。

世紀の怪作と言うべき『牛頭』もこうした観点から観てこそ初めて意義があるのであって、単なるドタバタ喜劇だとか出来の悪いホラーとしてしか感じられないのならそれは見方の悪さとなのだと思う。そう、この作品の真価は、大真面目にホラー(的)な作品を作りそれが結果としては大爆笑ものの喜劇となることを確信犯的にやっていることにあるのだ。中途半端なギャグが全くないところや、演じている役者達が一人として笑っていないことからそのことははっきりとわかる。

デヴィッド・リンチの、特に『マルホランド・ドライブ』と比較しているレビューがあるようだが、私もその比較は失礼なことだと思う。ただし、どちらがどちらに対して失礼なのかは言わない。片や笑ってしまうようなことを本人はその自覚無く大真面目にやっており、片や大真面目なことをやってはっきりと意図的に笑わせようとしているのだから、どっちがなどと言うことは言わずもがなの話だろう。

そして、エロです。

ヤクザとホラーを組み合わせただけでも充分ナンセンスが成立すると思っていたので、
このナンセンスっぷりは、ちょっと過剰な気もしました。

終盤直前に軽くファンタジーが入ってる気がします。
主役の彼のキャラに純情を感じたからなのでしょうか。
でも、私は彼にあまり“ヤクザ”を感じなかったので、
ヤクザホラーというジャンルに期待していた私としては残念なキャストでした。

そして、
終盤までは、ナンセンスを減らして、ホラーを増やしてほしかったなーと思い、
終盤のエロで、そのエロも減らして、ホラーを増やしてほしかった…
と思っていたら、ミゴトな、エロとホラーとナンセンスとヤクザの融合を
観せてくれました（笑）

それにしても哀川翔氏、まさかそこまでやるとは(笑)
私は彼が黒幕、いや、脇役と見せかけた真の主役だと思います。