甘い毒

（1994年製作・アメリカ）
「売上上げろ！」と会社でビシバシ！ムチを振るう美貌の女（リンダ・フィオレンティーノ）。
なにやら金の亡者の雰囲気。家に帰ると夫（ビル・ブルマン）が、
「麻薬の取引で70万ドル手に入れたぜ、やったぜ〜、さぁ、乾杯だ！」
夫がゴッキゲンでシャワーを浴びてる間に、その大金をすべて持ってリンダはトンズラ。

──ちょっとここで一時停止。みなさん、夫が8500万円相当もうけたと、あけすけに
打ち明けてくれたのだから、そのお金で仲良く暮せばいいと思いませんか？
何も持ち逃げしなくとも。ピッ・・。ま、次を見てみましょう。

リンダはベストンという田舎町にやってくる。
その町のバーに入ると、「いかにも都会から来た女」なリンダにマスターさえ酒を出そうとしない。
そこへ（ヘラヘラと）（いかにも単細胞の）若者ピーター・バーグが話しかける。
いかにもなやり取りのあと、リンダとピーターはお決まりの激しいSEXへ。
そしてピーターはリンダ女王の下僕となるのであります・・。
──いやぁ、ワタクシ、（一般論ね）SEXの時、没頭しないで体の一部が覚めているのは男性の方だと思っていました。
（危険な侵入者に早く気づく本能として）。しかし、このリンダさんは、刺激的な体勢の中でも、あれこれいろんな対応出来ます（笑）。
あ、きっとリンダさんはピーター君をまったく愛してなかったのですね、だからよ。
利用しただけだったのですね、（ラストを知ってるだけに憐れでなりません・・）
ヤバイと思いつつリンダの策略にはまって、迷いとためらいを道連れに犯罪者コースを歩むピーターの末路は！、
きれいな女はこわいです！利口な女は恐ろしい！セクシーバイオレットは墓場なり！

この作品、社会にでたばかりの男性社員の研修用にしたらどうでしょうか？
気をつけましょう、甘いささやきと美貌の蜜、教訓教訓！
面白かった作品ですがオススメ度は中の下くらい。気分転換にどうぞ！

　「アンフォゲタブル」（96）が面白かったので、他のジョン・ダール監督作を観てみようってことで本作をチョイス。うん、これも大変面白かったです。「アンフォゲタブル」ではヒロイン役とは言え活躍度としては「脇役」「添え物」に過ぎなかったリンダ・フィオレンティーノが、こちらでは堂々の主演、しかも最強のファム・ファタル、男を狂わせる悪女を演じております。もうね、呆れるほど悪い女ですわよ。よーくそういうこと思いつくよなーって、悪知恵働かせるのに頭がグルグル高速回転してる。でも、「蜘蛛女」（93）ほど怪女じゃなくてどこまでも女らしい狡猾さと非情さってところが、彼女らしい小粒ぶりでしょうか（笑）。まんまと男を罠に嵌めて「してやったり」って時もウフフフってぐらいの笑い方で憎々しい。その点、蜘蛛女レナ・オリンなんかでっかい口おっ広げてアッハッハッハ〜って高笑いだもんね。ありゃほとんど化け物です。そこが最高なんだけど。

　「アンフォゲタブル」でイイなと感じたのは、この作り手の“繊細”な感覚、人の感情の機微を大事にしてそこを軸にストーリーを回しているってところなんだけど、本作でもやはりそういう筋立てになっている。夫が稼いだ大金を持ち逃げしたリンダが、潜伏した田舎町で純朴な男と出会い、やがて彼を利用して夫を殺そうとする。いくら愛する女のためとは言え、真っ当な人間が人殺しなど出来るわけもないのだが、そこをリンダがあの手この手で男をたらしこんで追い込んでいく様がこの作品の見どころ。彼女の愛を渇望している男に、「私は気安く愛を口にしたりしないけど、本心では貴方のことを愛しているのよ」って、まるっきりの嘘を100％の「真実」みたいに伝える工作なんか、凄いですよ、もう。恋愛中の方々、参考にしてください（笑）。その時、彼女はベッドの下に隠れて男を待っているのだけど、手元に雑誌のクロスワードパズルの頁が開かれているのが、うわ、演出細かいなぁって感心した。こういう女だもん、ただ寝そべって待つんじゃないのね、パズルで時間つぶしてたっていう抜かりの無さ。シーンとしてはベッドの下で息を潜めているだけで済むのに、こういうリアリティの積み上げ方は好きです。

　クライマックスも、何がどーなったって事実より登場人物たちのエモーションが交錯する様が面白い展開。ちょっと無理矢理な感じはあるけど、なんとか上手いこと風呂敷畳んでラストに持っていきます。まぁ、かなりトンデモな女の話だけど、女同士の友情物語なんかよりは見やすいかなぁ、個人的には。友達にはなりたくないけど、傍から見てる分には面白いヒロイン。ゆけゆけリンダ、どんとゆけって感じです。

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軽快なジャズのテーマ曲が流れ、そして女の低い声。
その言っている事は......あっ嫌だなもう、やな女だ。
全く期待していなかったのですが、もうこの冒頭部で痺れました。

リンダ・フィオレンティーノの悪女、いやそんな優雅なものではなくこれはビッチとしか言い様がないか、もう笑うしかないようなそのビッチ振りがなんとも痛快。おばあちゃんのパイでタバコ消したりして非情です（笑）。バーで男が『俺のは馬並』なんて言うと、いきなり『見せて』。その後がさらに凄い。その暴走ぶりに快哉を叫ぶ女性がおいでじゃないでしょうか。
適度にコミカルなシーンを折り込みながら（ほとんど喜劇とも言えるけど）彼女の凄まじい言動を追いかける。ラストがいまいち決まっていないのが惜しいが、後味は悪くない（それでいいのか）。
捻りやスリルはほとんどないに等しく、サスペンスとしてそう評価できるものではありません。突っ込んでくださいといわんばかり箇所がいくつもあり、いかにも作り物といったところなどもあります。しかし、すべて許します。

気に入ったのは、滞在する町のいかにも田舎町といった描写を積み重ねるところ。バーでの対応、新聞を買って読む彼女に声を掛ける道行く人々、会社に黒人が尋ねてきたときの人々の反応、車の事故後の彼女の言葉に対する刑事の『映画のように』という台詞等々、この映画の中での効果はともかくこういうのは好きです。
現地調達の探偵もいかにもその町にふさわしい人柄の良さそうな男、この探偵との一幕はコミカルで楽しい。衣装も若奥様風にしたりでなかなか芸が細かい。

田舎町の男を演ずるピーター・バーク、旦那役のビル・プルマンとともになかなか結構でした。リンダ・フィオレンティーノ、お鼻の辺りが難点のようだが、とってもいい、70点。

そうそう大事な事を、そんなに直接的なエロさはありません。

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リンダ・フィオレンティーノ、イイ女ですねぇ。私、特に「悪女好き」というワケじゃ無い（と思う）んですけど、このヒト確かに悪女が似合うし、私の贔屓女優の中でもリンダはかなり「ど真ん中」に近いのですね。まぁ「悪女」って一体どんな女のこと？ってのも考え出すとかなり難しいんですが、取り敢えずこの映画でリンダが演じるヒロイン（？）ブリジットみたいな女のことを言うんでしょう。嘘つきでエッチで強欲で傲慢で残酷。これでルックスがダメだともう救いようが無いんですけど（笑）、リンダが演ると全てが許せちゃうし、それどころかそういう「欠点」が全てプラス・ポイントに変化して「他に無い」魅力に感じられてしまうんですね。だから「悪女」なら誰でもイイわけでは勿論なくて、「悪女が似合うイイ女」が素敵だ、と申し上げておるワケでして（笑）。
もう一つ重要なことは、「悪女」というのは「アタマがいい」と言えると思うんですね。いくらルックスが素敵でもこれだけ欠点目白押しじゃ普通は男だって敬遠しますが、不思議に男にモテるのは何故かと言うと、相手の男をよく見定めてどこまで自分の「本性」を曝け出すかを計算出来てるからモテるんですね。相手がどこまで自分にマイッているかをキッチリ評価して「欠点」が「魅力」に感じられる程度に「本性」を表す、という「戦略」がしっかりしている。そして実は相手を見定めるだけでなく自分の「欠点」も正確に把握しているからこそそれが可能なんですね。出してはいけないところでは「ボロを出さない」。これはアタマよくないと出来ない芸当ですし、女優の「演技力」とか歌手の「歌唱力」と同様の「才能」でもある。「正直こそ美徳」とか「素顔の魅力」とかの価値観とは対極の世界ですが、私には大変魅力的に感じられます。少なくとも「嘘もつけない正直女」よりも「悪女」のほうが間違い無く「エロティック」だと思うんですね、私は（笑）。
この映画ではハッキリ言って出て来る男どもがアホ過ぎますからリンダ、いやブリジットも「フン。この程度の男なら」ってカネふんだくってさっさと逃げ出す（ちょい悪男で夫のビル・プルマン）とか、セックスだけ楽しんでおいて夫を殺す役に利用する（田舎町で拾ったコドモ男のピーター・バーグ）とか、もう「悪女」のやり放題なんですけど、やっぱりリンダってイイ女だし「オレなら彼女の可愛さを引き出して愛してやれるのに」な〜んて妄想抱いてしまう（笑)。少なくとも作者（脚本、監督）はそこを狙ってリンダを起用してこの映画作ってると私には思えてしまうんですねぇ。

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冒頭会社でのシーン
高飛車で高慢ちきな　でも　仕事が出来そうな女上司が　部下を罵り罵倒している。
なんていけ好かない女だ・・・。
家庭では　良い妻なのかと思いきや　夫が麻薬の取引（しかも命がけ）で稼いだお金を　いとも簡単に盗んで逃亡・・・。
夫は勿論　必死で探しますよね〜！
逃げ込んだ町は　田舎。
その田舎で　一人の男を性の対象として選び　虜にして　夫殺害を企む。

とにかく　最初から最後の最後まで　すごーく　嫌な女！
騙される田舎の男も男だけど　なんで　あんな女に惚れるかなー！あ〜腹が立つ！！！

悪女好きには　たまらない映画なのでしょうか？

少し毒のある女性は　魅力ですが　あそこまで悪人だと引いてしまう・・・。

まぁ　美人じゃないと成立しない物語ですね・・・。

後味悪し・・・。