追いつめられて

サスペンスの古典とも言える「大時計」のリメイク映画、といっても舞台をペンタゴンに移して内容は一新されています。「サスペンスの傑作」といわれたこの映画は、公開当時にはかなりハラハラさせられたんですが、今改めてみると演出のテンポが既に時代遅れですね。事件が起こるまでに費やす45分もの時間は、その後の展開への伏線が散りばめられているとはいえ長すぎます。それでも、中盤から後半に掛けて主人公を追い込んでいくストーリーは他に類を見ないほど良くできたものですし、二転三転する立場的な優位性というか事件解決に向けての心理的な主導権の移り変わりは実に面白いです。またタイムリミットを表す映像表現には単なる時間ではなく、視覚的に表現できるモチーフを使用していますので、映画ならではの緊張感が作られます。確かにやや時代遅れな感じがする映像展開になってしまいましたが、物語そのものが持つ緊張感は今も色褪せることがないです。

現代のどんでん返しは、観客に全く違うものを連想させる伏線を与えておいて、観客が納得できる方向で上手く騙す手法が主ですが、この映画のどんでん返しには伏線がありません。いや伏線がないと思っていました。その面でそれまで作られてきた映画とは一線を画すものだと思っていたのですが、今回英語の堪能な友人と見ると「伏線あったよ」とあっさり言われてしまいました。どうも字幕では端折られている部分にラストを臭わせるところがあるらしいです。これは意図的なんでしょうかね。英語に堪能な人が羨ましいです。

政治的な駆け引きの面では同監督の「13デイズ」に繋がるものがありますし、現代風騙し映画のサスペンスとしては「リクルート」に繋がっているものを感じる映画です。色褪せてしまった部分はあるけれど、主人公を追い込むストーリーは評価して、5段階評価は、3。

レビュー数が少ないですね。マイナーなのかなぁ？もっとも、『アンタッチャブル』と同時期の作品なので、ケビン・コスナー自体はそろそろメジャーになってた頃の公開作ではあります。

国防長官の愛人だった恋人が殺され、その犯人にされそうになる海軍将校の顛末を描いたサスペンス。巻き込まれ型の典型的なプロットですが、真相究明と保身の間で奔走する主人公の姿がスリリングです。まだコンピュータが発達してない時期だからこそ生まれる展開は、今観るとちょっと古めかしくはありますけど。

≪鑑賞予定の方は読まない方がいいかも≫
ラストに待ち構えるドンデン返し、というか二段オチも見事。否定派もいらっしゃいますが、僕はこういうの好きです。というより、このテの作品の中でも上位に入るんじゃないかと思うくらい。何気に伏線も張られているので、観返す楽しみもあります。

今となっては、ケビン・コスナー主演というだけで食指が動かないという人も多そうですけど(笑)、まだ若々しくて全盛期のようなオレ様感はないので、受け入れやすいんじゃないでしょうか。食わず嫌いせず、ぜひどーぞ（誰に言ってんだろ？）。

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　ケビン・コスナーは好きな俳優のひとりですが、案外観ていない映画があるので、機会があれば観るようにしています。この映画も初見。

　冒頭、俯瞰したワシントンの遠景を背景に、波乱含みの緊張感漂う音楽とテンポのよいクレジットの出し方がいい。政治の中枢ワシントンでの華やいだパーティシーンや、訳ありの美女との恋。荒れ狂う夜の海での軍艦のデッキ上の緊迫した場面、週末に遠出した美男美女ふたりのヨットシーン等々、嫉妬と怒りのあまりプライス国防長官が浮気した愛人スーザンを過失で殺してしまうまでの、波瀾を予兆する変化に富んだ序盤が、結構好きです。

　プライス長官は直属の部下スコット・プリチャードの入れ知恵で、自らの犯行を隠蔽し、スーザンの正体不明の恋人を噂のスパイに仕立てて彼に罪を着せ、射殺する計略を巡らす。長官の下で仕事をしていた海軍中佐トム・ファレルは、実はスーザンの内密の恋人で、長官に命じられ自分で自分の捜査をする羽目になる。彼がこの窮地をいかに切り抜け、真実を明らかにできるのかがプロットの中心。

　長官たちの悪辣ぶりとトム・ファレルの必死の攻防は、緊迫感があって、なかなかスリリングで面白いのだけれど、プロットの展開上、納得し難い点がふたつ。部下スコットは権力欲の塊で、プライス長官を陰で操り、蛇のように狡猾でしたたかなのだが、トムが真実を突き付け、長官に見捨てられると、あっけなく自殺してしまう。自殺するにしても、充分機会はあったのだから、むしろトムか長官を射殺してからの方が、彼には似合っている。あるいは、銃を取り合って、暴発によって死亡するとかだと納得できるのだが…。長官ならともかく、スコットがあっさり自殺するなんて、中途半端で拍子抜けだ。

　２つ目は、トムが本物のロシアのスパイだったという、驚きの結末。伏線がはられていたとしても、それまでの言動は全くスパイらしくないし、トムを演じるのが清潔感のあるケビン・コスナーなので、ロシアのスパイだなんて急に言われても、とってつけたようで説得力はない。この点を除けば、愛する人を殺され、いわれのない陰謀に巻き込まれた海軍中佐役を好演。また、冷酷な野心家スコットを演じたウィル・パットンも熱演だと思う。

　

　

序盤で事件が起きるまでが長すぎ。
伏線の張りすぎとでも言いましょうか。

後半から手に汗握る展開でスリリング。
写真がコンピュータ解析されていくところなんて邦題どおり。

この頃のケビン・コスナーはかっこいいし、ラストはそうきたか！って感じ。

よく出来たサスペンス作品。

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海軍将校のトム(ケヴィン・コスナー) は、美しい女性スーザン(ショーンヤング) に出会い恋に落ちる。その後ペンタゴンに迎えられたとトムは国防長官のプライス(ジーン・ハックマン) と愛人関係にあったことを知り愕然とする。
そんな折あることで間男の存在に気づいたプライスは嫉妬からスーザンを殺害、
事件を隠蔽するために犯人はソ連のスパイだと言うことにする。
この事件の捜査を受け持ったトムは謎を解いていくうちに犯人が自分だということに気づき自分で自分を追い詰めると言う話です。
愛と友情、そして権力を巻き込んだ巨大組織がトムを追い詰めていく。
ペンタゴンの腐敗とスパイ事件をミックスした傑作サスペンスです。
ラスト1分見てるもの裏切るビックリどんでん返し、あなたは驚かずいられない！