ツォツィ

正直、ストーリーとしては？？だったけど
映画自体は自分とはかけ離れた世界でかけ離れた人生を送っている人について、ちょっぴり考えるきっかけになるもの。

それにしても赤ちゃんが与える力のすごさは万国共通だな・・・。

ヨハネスブルグ。治安の悪さは世界的にも有名である。
貧富の差。加えて、エイズ蔓延による絶望感、アパルトヘイト時代の不満の反動、武器が簡単に入手できる環境であることから、実に簡単に殺害行為が引き起こされるようになってしまっている。

この映画を観て、スタンフォード監獄実験を思い出しました。
実験結果は
「元々の性格とは関係なく、環境により人格に変化が現れる。」
「狭い空間で常に一緒にいると、次第に理性の歯止めが利かなくなり、暴走してしまう。 」
ということが証明された。

主人公のツォツィは、あのような環境で生きてきた。いや、生き抜いてきた。
生きるために獣になった。
生きていくために封じこめなければならなかった感情、それが小さな命の存在により、その封印が解かれることになる。
愛するものであったり、守ならなければならない存在がいるだけで人は変われる。

ラストシーンのツォツィの涙。
彼はやっと人間に戻れました。

魂の叫びの代弁である曲と共に私の心を揺さぶり続けました。
この映画で流した熱い涙を忘れることはないでしょう。

アフリカの貧困街の本名を名乗らないツォツィ（不良）と呼ばれる少年が主人公です。人を平気で殺め金品を略奪するグループのリーダー。

何故名乗らないのかと言う事で友だちと不仲になり、そしてストーリーが展開していくと友人までも殺してしまうツォツィには暗い過去があるんですね。
略奪した車に赤ん坊が乗っていた所から、ツォツィが母性？みたいな物を感じ「人間とは」を考え、人間らしい感情に芽生えていきます。

本編のラストシーンを観てエンドロールになり、私はその後について考えていました。すると、特典映像に違うラストシーンが２通りあり、それぞれ堪能しました。

監督曰く、あえて観客に考えて貰うためにラストシ−ンを途中で切ったらしいです。素晴らしいですね！　
私はこういった後で色々と考える事の出来る映画が大好きです。
それにしても、０６年のアカデミー外国語賞を取ってからＤＶＤになるのがすごく遅かったですね、何かあったのでしょうか？

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プレスリー・チュエニヤハエ、素晴らしい演技でした。
まるで最初と最後では別人のように見えました…
実際にツォツィのような少年がたくさんいるヨハネスブルグ。
こんな不幸な子どもが１人でもいなくなるように願わずにはいられません。

主人公ツォツィが得たくても得られなかったものはまぎれもなく愛です。
この映画は人は生きるために愛が必要だという事を描いた作品だと思います。
愛を得られなかった悲しみや怒りを、赤ちゃんへ愛を与える事で癒そうとする姿には、
思わず胸が熱くなりました。

↓ネタバレアリ

ヨハネスブルグ。世界3大凶悪都市の１つであるこの街。
その街で活動する少年ツォツィ。
彼は暖かい家庭も、家も、教育も、お金も、守ってくれる人も、愛も、
何一つ持っていません。
彼の持っているのは憎しみと怒りだけ。まるで獣のようなツォツィ。
そして似たような境遇の少年たちと徒党を組んで、冷酷な強盗や殺人を厭わない。
全ては生きるため。暗く冷たい荒んだ眼つきは何者も寄せ付けず、その爪と牙は
血にまみれています。
まだティーンの少年が、奪うこと、殺すこと、盗むことだけしか知らないなんて
なんと悲しい事でしょう。

そんなツォツィを揺り動かしたのは、まだ無垢な赤ちゃんでした。
とても不思議な光景でした…　かつての狼少女など、獣が置き去りにされた
赤ちゃんを育ててしまう話がありますが、ツォツィの行為を見て、ふとそんな事を
思い出しました。
この赤ちゃんを通して、だんだんにツォツィの凍てついた心が溶けていきます。

ラストのツォツィは怒りと憎しみの鎧を脱ぎ去り、赤ちゃんと同じくらい
あどけない無垢な少年の顔へと戻っていました。

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私、なぜこれを借りたのか・・・
多分、ジャケット借りです（苦笑）
あらすじを読んだ覚えも無く。

観始めた時「なんだ、‘不良‘の話か」
と思いました。

実際そうなのですが（笑）


テンポは良く、あっという間に観終わった印象が大きい作品でした。
酒びたりで暴力的な父親
病気で寝込んでおり、子供に自由に会う事も許されない母親
そこから飛び出した少年の物語です。

小さい時に十分な愛情を貰えず
家があるのに、帰れずに一人他の家の無い人々とドカンで過ごす少年。

その少年が大きくなれば
想像通り、暴力や盗みで何でも手に入れる少年になる。

でも、彼は実は誰よりも愛情を欲していて
誰よりも家族の暖かさに憧れを持っている。

そういう風に私は理解しました。


自分のやってきた事が過ちだと気づいた時点で
人間は誰でもやり直せると思うし。
生きていれば罪を償う事だってできる。

最後のエンディング
私は、彼が死なずにすんで
涙が出てきました。


他に2パターン。全部で3パターンのエンディングがあったようで
一つは彼が警官に殺される。
もう一つは逃亡する。
そのどちらでもなく、このエンディングだった事に私は改めて感動しました。