アマデウス　ディレクターズカット

まずタイトルの意味が解らなかったが、なんとこのアマデウスとはモーツアルトの名前だったのです。
正式名称はヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト。天才と言われて幼い頃からちやほやされたからなのでしょうか、とても品の悪い大人に育ってしまったようです。
　そんなモーツアルトの一生をドラマにしています。女遊びの酷いモーツアルトも下宿屋の娘と結婚することになってしまう。
その女性がとてもチャーミング。モーツアルトも観念して家庭を築くが、お金の使い方を知らないモーツアルトはアッと言う間に資産を使い果たしてしまう。
モーツアルトの妻コンスタンツェは、そんなモーツアルトのことをヴォルフガングと優しく呼び、生活の為に働くようにせかす。歳は彼より若いと思う。精神年齢は妻の方が上のようです。

モーツアルトに嫉妬する宮廷音楽家サリエリは表向きはモーツアルトの良き理解者として振る舞うが、実はモーツアルトの足を引っ張り亡き物にしようとしている腹黒男。
そのサリエルの晩年から話は始まり、モーツアルトとの関係が明かされる。

モーツアルトのドラマだけあって大好きなオペラ『後宮からの誘拐』『フィガロの結婚』『ドン・ジョヴァンニ』『魔笛』のハイライト・シーンを観ることが出き、とても満足です。
最後のシーンでは、サリエルへの憎悪とモーツアルトの音楽に愛され才能がありながら人生では失敗してしまった彼に同情せずにはいられませんでした。

劇場公開版を見ていないため比較はできませんが、
確かに長いです。内容も重いです。
でも、映像がすばらしく美しい。
モーツァルトやクラシック音楽など、
少しでもこの時代に興味がある人にとっては魅力的。
ストーリーもサリエリを主役に置くことで
サスペンスの要素を盛り込み、最後まで飽きませんでした。
モーツァルトの音楽は「軽い」とか「明るい」とか云われますが、
その深淵に潜む暗い闇が伝わってくるような作品でした。

「アマデウス」というタイトルからして、
モーツァルトの生涯を描いた作品と期待してみると、少し違います。
実は私もそういう期待をして見たのですが、
モーツァルトについてはほとんどと云っていいほどわからない。
彼の思想とか哲学とか、心の葛藤とか、
比較的わかりやすい（と素人には思われる）
ベートーヴェンに比べると、まったく掴み所がなく、
「女好きで下品で脳天気なくせに音楽に関しては天才的」
という以外わからない。
これは、サリエリの評価そのものですよね。
つまりサリエリは、ものすごく大雑把に分けると
私たちと同じ側にいる、ということになります。
本人は不本意でしょうけど……。

私は初め、「アマデウス」なのにどうしてもっと踏み込んで
モーツァルトのことを描かなかったのかなあ、と
不思議に思ったのですが、たぶん、こういう方法（サリエリ視点）
でしか描けなかったのでしょう。
だから私たちにも共感できたのであって、
もしモーツァルト視点だったとしたら、
たとえ奇跡的にうまく作品化できたとしても、
観客の多くには伝わらなかったのではないか、と。
少なくとも凡人の私には無理だったと思います。
モーツァルトの心の中も頭の中も、すべて理解し共感することなんて。

現在、私たちが名曲と評価し、よく耳にするモーツァルトの
有名な曲は、彼が生きていた頃には評価されなかった
晩年の曲が多いそうです。
あまりにも斬新すぎたために、当時の人びとには理解されなかったとか。
もし私がその時代に生きていたら、理解できない側にいたんだろうな。
そう思うと、サリエリの孤独や絶望が、
なおいっそう胸に迫ってくるように感じました。

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驚いた！
かなり評価の高い作品であったけど、以前観た割にはすっかり忘れていた。

ものすごい作品だった。
3時間という長さもすごいけど、
これは全編、男の愛と嫉妬の話だと痛感。

サリエリの「モーツァルトを殺したのは私だ」の独白から始まるこの作品。
宮廷作曲家として名声を得ていたサリエリが、
3歳でピアノを弾き、5歳で作曲をはじめたという
天才・モーツァルトの存在に嫉妬し、
モーツァルトに不運が起こるよう策略を繰り返す。
ラストには、前述の「モーツァルトを死に至らしめた」という告白で締めくくられる。


この話のすごいところは、
嫉妬に狂った末、サリエリが作り出した様々な策略は、功を奏して
誰もがモーツァルトの才能を正当に評価しないという状況を作るが
皮肉なことに、自分だけが彼の才能の本当の力を、
まざまざと思い知らされるという結果になってしまう、
人間の業とその呪縛みたいなものを描いている視点のすばらしさではないかと思う。


後半に近づくにつけ、サリエリのモーツァルトに対する
『嫉妬が変換された愛』の形に、
観る側は否応なしに気づかされるのではないか。


これは男が男に惚れた（しかも一方的に）愛の話なんだと思った。


そんでもって、これがこんなに長い映画になった理由は
モーツァルトの作ったいくつかの歌劇を、
映像的に表現することにこだわったからではないだろうか。
やはりこれは外せないのだろうが、長かった……。

それでもこの映画の完成度はかなり高いと思う。

モーツァルト役のトム・ハルスのコミカルな演技に
好感を持ってしまった。
すばらしい。

脚色たっぷりにモーツァルトの半生を描いている本作品。オペラのシーンだけでも見る価値があります。劇中に流れる曲はあまりにも有名なため音楽をかじったことがなくても全然楽しめます。古い作品ですが映像、音ともに大満足の仕上がりです。

勝手で良くないというんじゃなくて、
残ってる文献や手紙などから推測して、いろんな説があって、
それをどのように表現するかによって、全く違う人のようになってしまう、
それを楽しんだ映画でした。
（3時間はやっぱり間延びしてますね）

音楽の授業では神童モーツァルトとしか知らなかったけど、
こうして他の部分を知ると、
それが合ってるのか合ってないのかはともかく
モーツァルトも音楽室の肖像画の人じゃなく、生き生きとしてくる。
しかし、どうしてあんな暮らしをしていて、素晴らしい曲が生まれたのか不思議ですね。
あれは表面的なもので、もっと深い深い何かがあったに違いないとやっぱり思ってしまいます。

変な帽子をかぶって、当時のモーツァルトのオペラを観てみたい！