隠し剣　鬼の爪

普通のテレビドラマみたいになっちゃってます。
監督も脚本も一緒なのに、この軽さはなんでしょうか…。
「たそがれ清兵衛」が特殊だったのかなあ。

役者本人が持っているポテンシャルの高さを最大限に引き出すシナリオって重要ですね。
「隠し剣、鬼の爪」では、みんな（常識的な範囲内で）優秀なんだけど、それ以上ではない。
なんか普通の勧善懲悪ものになってしまっている。
時代としての生活のリアリティはやや薄まっているし、
台詞の一部で現代の発音になってしまっている部分がある。

殺陣は個人の資質が大きくて、今回のキャスティングだと、
ちょっと無理があったぽい。
真田博之くらいうまくないと絵にならない。
映画を見ていても「はっ」としない。

登場人物の感情の動きの描写も物足りない。
主人公はもっと悩まないとつまらない。
「２匹目のドジョウを狙ってみました、しかも半分の予算で」という感じ。

東北が舞台なのはすごくいいと思うんだけど、前作に似すぎです。
製作者は「たそがれ清兵衛」の成功は忘れましょう。
いつまでもこだわっていると、逃れられなくて苦しくなる。
文部省や企業や映画会社が「同じようなのをすぐに作ってください、お金はたくさん出すから」と言っても断りましょう。

映画監督としては自分の中で新しいものを作るのが本分だと思うな。
こんな映画作っててもあまり楽しくないでしょう。
まあ、一つの息抜き、ごはんの種としてはいいのかもだけど。
まだお金必要ですか？

山田洋次監督作品を＜武士の一分＞から見始め今回が３部作目。
この作品が一番レビュー良かったが、確かにストーリーが深く起伏にとび非常に見ごたえがある！
他の２作品が薄く見えてしまう。
時代劇は今迄あまり好みではなかったが、良い意味でこの３部作が意識を変えてくれた。
山田洋次監督に感謝♪

評価：★★☆☆☆（2.5）

まずは今作について。ストーリーが散漫な感じです。恋愛話と上意討ちの話の繋がりが浅い印象。時代設定も、幕末ではない方がよかったように思えます。そして、家老役の緒方拳があまりにも悲しい。「水戸黄門」の悪役よりも薄っぺらい役で、見ていて辛かったです；−；
　山田洋次の時代劇三作品の中では「たそがれ清兵衛」＞＞「武士の一分」＞＞＞「隠し剣鬼の爪」と思いました。

　どの作品も、若い層に比較的受け入れやすく時代劇の魅力を伝えるという点では、それなりに成功しているように思えます。「ならぬものはならぬので御座る」という武士の世界を従来通りに厳しく描いても、そこに美意識を感じるのが現代の若者には難しくなって来ているでしょうから。
　ですが、やはり現代劇中心でやってきた俳優と、ＪＡＣ出身の元アクション俳優でNHK大河の主役もつとめた真田広之では、ちょっと比べられない感じでした。とはいえ、殺陣にしろ歩き方にしろ、お二人（永瀬正敏と木村拓哉）ともかなりの努力をされたことと思います。是非、今後に期待したいと思いました。
　それと女優陣なんですが、ちょっと今作の松たか子はイマイチです。でも、「武士の一分」の壇れいはなかなか良かったですし、「たそがれ清兵衛」の宮沢りえは評判通りよかったですね。
　数十年後、時代劇がなくなっちゃったら悲しいですから、若手の俳優さんにもこのジャンルで頑張って欲しいです＾＾）

この時代のオンナの人って本当に強く凛としているのがとっても素敵。
自分も見習わねば、って思う。
この映画は2つのストーリーが絡んで同時進行するの。
一つは永瀬正敏が演じる武士の家に住み込みで働く女の子（これが松たか子）が商家に嫁ぐんだけど、鬼姑にいじめられて病気になっちゃうの。鬼姑は物置みたいな暗くて寒い部屋に寝かせておくだけで病気は悪くなる一方。
永瀬はその商家に乗り込んで行って、松たか子をおんぶして連れ帰ってしまう。
ちゃんと看病してもらったおかげで彼女は元気になり「ずっと側でお世話をさせてもらいたい」って願うんだけど・・・って話。
もう一つは、永瀬と一緒に剣の道場に通っていた男が謀反の罪で牢屋に入れられるんだけど、脱獄してしまう。
藩は永瀬にその男を斬るように命令するんだけど、永瀬は武士だけど人を斬ったことがない。
そしてその男の奥さんは永瀬に「主人を逃がしてください」とお願いに来る。
永瀬に断られた奥さんは、その命令をしたお役人の家に向かい・・・って話。
この奥様は高島礼子。本当にキレイ。見とれてしまう。どうすればあんなフェロモンが出るんだろうか。
どちらの女性も好きなオトコの為に自分を犠牲にしちゃうんだな。
でもそれは犠牲とは思わんのだろうな、本人たちは。
そこまで惚れられる相手がいるってことは幸せなことねー。

人間のなんたるかをしっかりと見せてくれています。
映画のタイトルとジャケットの写真は、おっかないですが内容は大丈夫です。
他人に感謝される人生を歩み通す、強い信念。そこに感銘を受けました。時代は違っても、人間の本質は同じであるし、価値観が多様化している今、もう一度人生を見つめなおすキッカケになると思います。あらゆる分野で不祥事が多いですが、そんな方々にも是非みてもらいたいですね。そして、最後はほろっとさせられる場面もあり、大変好きな映画です。