ソーシャル・ネットワーク

これは話題になった映画だが、トータルで優れた作品かというと？かな。
アメリカ人、それも若い人には「へえ〜、こんないきさつが・・・」という興味深さがあると思うが、日本人にはそれほど面白い映画ではないだろう。
それでも、制作の動機には深い意義があるのだと思う。
マークがフェイスブックを立ち上げたのは、恋人に振られた悔しさが原動力になっている。その機会を提供してくれた双子のウィンクルボス兄弟を出し抜いたのも、ボート部員である彼らに対する嫉妬が底にあった。
「フェイスブック」は大事業となり、マークは最年少の億万長者となった。しかしそれでも、恋人を失った彼の心の隙間は埋まらない。そんな空しさをかみ締めるようなマークの表情を映しながら映画は終わる。
ＳＮＳなどネットワーク上のコミュニケーションによって、私たちは人とのつながりを感じるようになっただろうか？
ひょっとしたら、以前にもまして孤独を感じるようになっているのではないだろうか。
そんなメッセージが心の中に聞こえてくる。

2000年代に入ってからだから、つい最近、20代にして巨万の富を築いた「フェイスブック」の創設者のお話。
上のイントロダクション「青春群像ドラマ」というのは外れてはいない。
ある一方に天才的な才能を持ち、実際に経済的に成功した若者だけに、ちゃんと物語にはなる。
でも、そんなに面白くもなかったのも事実。

ふられた腹いせで、大学時代に女生徒を比較できるサイトを立ち上げ、悪評を買ってしまったマーク・ザッカーバーグ。
その能力を買われ、ある学生実業家に協力を求められるも、自ら別のサイト「ザ・フェイスブック」を立ち上げる。
アイディアを盗まれたと主張する実業家と、起業時に協力してくれた友人とも、関係が悪くなり……

なんでしょう？
ある一方の天才的な才能があるだけに、普通の感覚、他者を思いやる、空気を読むような感覚がない…ということだろうか？
でも、ただの世間知らずの若者が、商売として使えると思われた瞬間から、利用されただけのようにも思える。
友達ともうまく付き合えず、お金の件でもめたり、口のウマい商売上手の大人に簡単に魅せられて言うなりになってしまったり。
ただの未熟者、子供なんじゃないか？
多分、現実的なお金の価値より、数字だけで感情を動かされてるだけで、本当に仕事自体は好きな若者なんだろう。
気の毒だと思う。
（この映画だけみた限りでは）

ネット用語や経済の話は苦手なので私は流して見てしまったのだけど、所詮秀でた人間のことは理解できないってことだろうか？
フィンチャーの勢いのある展開は飽きさせずに見せるところはあるものの、何だかいまいち理解できない映画なのでした。
アカデミー賞って、やっぱりあまり興味もてないな。

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［ストーリー］
ハーバードのパソコンオタク、マークは、彼女にふられたのをきっかけに、
ハーバードの寮にすむ女子学生の美人投票のウェブサイトを作り上げる。
たちまち人気になり、逆に学校からは処分されることになるのだが、
それをきっかけにマークはエリート学生のグループに目をつけられる。
彼らはハーバードの学生を対象にしたプロフサイトを開発しようとしていたのだ。
マークはそのアイデアに乗ったふりをしつつ、独自のアイデアを盛り込んだプロフィールサイトを作り上げる。
エリート学生たちはアイデアを盗まれたとマークを訴える。
またフェイスブックに協力していた仲間たちも、マークの独走に離れていく。

［良いところ］
学生の考えることといったら日本でもアメリカでも、エリート校でもダメ学校でも同じ。
女の子のことばかり。
Facebookがこんなきっかけだったとは……。
という意外性は○。

［悪いところ］
ストーリーにいまひとつクライマックスがない。
しかし、このストーリーで最後まで飽きさせないで観られたのは、逆にスゴイ。

［評価］
★★★

面白い。面白いんだけど、アカデミー賞か?
うーん、淡々と進むストーリーが、観終わったあとの印象も薄くしていると思います。
ただ、最後の女性弁護士のセリフ、
「あなたは最低の人間じゃない。でも最低の人間に見える生き方を選んでる」
というのが、とても印象的。
人が、人生の折々でする選択。
その選択のひとつひとつがとても大切だということをしみじみ実感。
…あれっ? 意外といい映画だったのかな。

BD版のオマケは監督と脚本家のコメンタリーらしいですが、この映画を2回3回と観る気力なんてないですね。
実録モノ…しかも近年の話で関係者が殆ど存命じゃあ「エンタメ」としての質より記録物の様相が強くなって柔軟性に乏しいですよね。
これでは王様のナントカに負ける訳だ。
特に親友との相反と仕事上の軋轢からの控訴に関して触れるのに、その人を形成した「おいたち」については全く触れません。
存命の人を取り上げてしまう生々しさから、その血筋の事に関する事を扱うのはタブーだったんでしょうかね？。
全ての人物が実在の人（と言う話）なのに御伽噺の登場人物の様に木の股から生まれた程度のアイデンティティーしか感じません。
これならティンカーベルの方がキチンとその一本気で焼き餅妬きと言う「人となり」が設定されています。
天才こそが天才を知ると言う展開は非常に鼻を突きます。
この辺の弾みの無さが、ただでさえ希薄な説得力を更に薄め、観ている者に全く共感を生みません。
人を創るのは人です。
その人の周辺が描ききれない作品から人の意識の表裏と混沌、悲哀が感じ取れる訳も有りません。
全ての人が紙芝居の落書きの様に薄っぺらく、その場限りの絡み合いだけで「処理」されています。
最後のシーンのリロードで稀代の天才にして孤高の企業家の悲哀を見せているつもりでしょうが、ネットストーカーの創始者さえも「彼」だった事に観客が気付いて一笑いと言う寂しい結末でした。

映画館に見に行き、再びブルーレイも見てしまうほど私には面白く感じました。

他のレビューをしている方々があまりにも低い点数をつけているので驚きです。

一緒にみた友人も「難しかった」と言っていましたが、私にはシンプルに感じました。

以下はネタバレになりますが、一言感想です。
世界で数億人もの登録者を誇るfacebookは、世界中の人々と繋がる為に作られたのか？
否、たった一人の人に振り向いてもらいたいがために作られたのだ。