画家と庭師とカンパーニュ

歳をとって変わってしまっても、変わらない部分がある。
偶然の小学校時代の同級生との再会。
立場は違えどすぐに二人は気の置けない仲になる。

子供の頃のやんちゃな思い出が、すっかり“くたびれたおじさん”になってしまった画家の心に新しい風を吹かせていく。
“画家”と“庭師”になっている二人には共通の話題は少なくても、まるで少年に戻ったように笑い転げることができる。
そして、この日々は画家にとって何よりも忘れられない宝物となる。

かけがえのない親友に贈る手紙のような映画でした。

評価７８点（１００点満点）
おだやかな流れの中に幼な馴染みの画家と庭師が育んでゆく友情をカンバーニュ（田舎）の美しい田園風景をバックに描いたいかにも仏映画らしい渋い秀作。玄人好みの作品といえよう。

パリで名をなし、田舎に帰って来た画家が庭師を募集したところやって来たのが幼な馴染みのジャルダン。そこから二人の友情が始まるのだが、お互いの過去をさりげない会話で表現しながら違う道を歩いてきた二人の人生のエッセンスをもひきだしているあたりは実に見事な手法だと賛辞を贈りたいところだ。
最初は少しよそよそしく、そしていつしかお互いを必要とする関係になるまで、新しい友情を育もうとする少年ような熱意が微笑ましい。
庭師と奥さん、画家と妻、画家と娘、画家と愛人の関係も描かれているが、特に自由奔放に生きてきた画家の人生の晩年にさしかかった時のこの寂しさはちよっと身につまされてしまう。
そしてやはり人には避けて通れない「死」というものが確実に近づいて来るのだ。遅かれ早かれ。
中高年層にお薦めしたい作品。

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映画館で観て、泣きました。
映画やドラマでは滅多に泣かない私が、号泣してしまいました。
上映が終わって外に出てからも止まらなくて、ツレが困惑してしまったほど・・・

淡々とした優しいタッチの映画です。
物語が進むにつれ、主人公の画家の心理に自然と入り込んでいき、感情を追体験しているような感じでした。

ラストのパーティシーンで号泣してしまったのですが、それはきっと、画家が友人の死を乗り越えて絵を完成させる過程、映画には描かれていない部分をとても自然に連想することが出来たからではないでしょうか。
画家の悲しみ、喪失感、言葉では表せないほどのつらさを受け入れ、それを昇華させていく気持ちの流れを、映画の中には描かないことによって観る側に連想させる。
ありふれた手法かもしれませんが、それがとても効果的に働いていました。

久しぶりに、心動かされる作品に出会えました。

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なんだか知らないうちに、穏やかな気持ちになる映画でした。
ラスト近く、病に侵された庭師の男が、自分の畑で、横たわりながら野菜の手入れをしているシーンで泣けてきました。
ただ、淡々と毎日を生きている、その営みが、無意識に相手の人生に影響を与えている。それだけで、生きている意味があると思いました。

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　画家と庭師の物語。
両親が亡くなった画家は田舎に戻ってきた。そして荒れ放題の庭の手入れに募集を掛けたところ、やって来たのがなんと小学生の頃、悪さをして退学になった悪友だった。
　それこそ何年ぶりの再会でしょうか。画家の家は薬局だったが、稼業を継がずに画家になった。裸婦像でヒットして売れる画家にはなったが、モデルに手を出し、離婚騒動になり別居中。庭師は結婚して30年近い。自分の妻を『奥さん』と呼ぶ。それだけ愛しているようです。義務教育を終えると国鉄に勤め、退職するまで線路に砂利を敷いていたそうです。奥さんと知り合ったのは国鉄のダンスで。お互い踊れないので仲良くなったとか。
　同じ年なのに画家は少し若く見え、庭師はちょっと老けて見える。そしてお互いに「キャンバス」「ジャルダン（フランス語で「庭」）」と呼びかわして、時々会話が噛みあわないが、微笑ましい光景です。

　そんな庭師の体調がすぐれず、倒れる。そして余命わずかと知った画家は、自分の事にしか興味がなかったのが、人の事を気遣えるようになり、別居中の妻ともよりが戻りそう…。入院していても仕方ないので庭師は家に戻る。そして約束通り一緒に釣りに行ったりと画家は庭師の為に尽くす。奥さんの肖像画を描いて欲しいと頼まれ描いている時に庭師の訃報が…もう、この知らせを聞いた時、画家よりも観ている私の方が泣けた。

　お腹が痛いと言い続けていたのに、軽いヘルニアだろうなんて簡単に考え、便秘が１週間も続いていたのに、いつものことさで片付け痛いのを我慢していた庭師。もっと我儘に『痛い！』と言い続けていれば早期発見で死なずともすんだろうと思うと、庭師の我慢強さに腹が立った。

　久しぶりに、いい映画を観た〜と言う感じで見終えた感動作です。