イントゥ・ザ・ワイルド

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自分を探す。
何もかも捨てて・・・
家庭環境は裕福で幸せそうに見えても、心は砂漠の様に枯れ淋しい青年。
自分探しの旅で出会った人たちは皆良い人たち。
彼はそこで何かを学び、もう少し大人になって欲しかった。
貧しくその日を必死に生きている人だって多いのです。

キツイかも知れないが、彼の死は自分自身の甘さからだ！と思った。

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観なければよかったと思う重さ
観てよかったと思えるテーマ

物質社会の
飽食の時代の
先進国に生まれた
繊細で優秀で勤勉な読書家の青年が
自分の解釈で持って哲学を構築していく
先人の記した書物の中に答えを求め
それを確かめるかのように
疎ましく煩わしく争いの耐えない
醜い人間の作る関係に疑問を抱き反抗し
虚飾にまみれた世俗を捨て
荒野へ一人旅立っていく

ヒッピーでも
ニートでもなく
自ら望んで社会の外へ

こういう現代人は確実に増えていると思う
この極端さや究極的な生き方でないにしても
経済情勢　家庭環境　人間関係
その連鎖的な悪化や劣化に伴って
多かれ少なかれ
人の心は蝕まれ
簡単に逃げたり　安易に役割を捨てられない
もうすでに重い荷物を背負わされた若者に
ありえる未来の一つだと感じた

彼は真理に添った
本来の人間らしい生き方を求め
生きるために旅に出た
それは死を覚悟しての旅であり生き方であったのか
私には量れなかった
もしそれが生きるためであるとしたなら
命に対する責任を全うしたと言い切れるだろうか

叡智を得て彼は幸せだったと締めくくれない
真理にたどり着き彼は本望だったと終われない

授かった命は
もともと選んだものでもなければ
自分で決めたものではない
だからこそ不自由でままならず
全うするほかない

生きたいように生きる自由が
人生の選択の一つとして確かにあるとして
好きにすることはいいのかもしれない
それでも
まっとうしなければいけない生を
束縛と苦渋と不自由の中でさえ
生きぬき
たどり着いた先の叡智であり真理であるべきではないか

先人達の書物はそれを説いてはいないだろうか

自然の中で自然と己と闘い暮らす
荒野に一人
それは本来の人間を取り戻すことになるのだろうか
本来の人間とはそういう生き物だろうか

全てのことを捨て
人　一人　としての自分と対峙する
その時間であり人生として
生きるための選択であり
そこに死を覚悟していないのであれば
劇中
彼に関わる何人かの人が
静かに短く諭すように
彼は若く　未熟で　理論武装であり
方法はきっと　きっと　他にもあったと思えてしまう

それでも彼は旅立った
荒野へ一人
恐らく彼は幸せだったと感じたに違いない

そのことが今
社会に向かって投げかけることの意味は
大きくて深い

けれど
書を持って旅に出る
書を捨てて旅に出る
この違いは恐ろしく大きい

生きるだけ生きて
自分で見つける人生の真理があるということに
人は一人では生きられないという現実に
人間であることの本来性を
私は感じずにいられない

評価８６点（１００点満点）
ショーン・ベン監督の腕が冴えるなかなかの秀作でカメラワークも見事でアメリカの雄大な自然をバックに青年の孤独と戦う姿を追っている。

大学を主席に近い成績で卒業した青年クリスが物質的な世界からの自由を求めて放浪の旅にでかける。車も免許書、クレジットカード、現金までも捨てて「荒野へ」と旅立ってゆく。正しく「究極の自由」である。なにが彼をそうさせたかは、妹の語りで徐々に明らかになってゆくのだが、複雑な家庭環境も大きな要因となつている。
彼は実に純粋な青年ではあるが、決して人嫌いではない。旅の途中で幾度となく別れ難い出会いを繰り返してゆくが、クリスは最終目的地としてアラスカの荒野を目指す。そこで一人で「生きる」ということが彼にとっての最大の喜びであり、真の自由の満喫なのだ。

クリスの生き方にはいろいろと異論もあろう。長期休暇を楽しむ目的なら実に素晴らしい計画であろうが、クリスはエンドレスに荒野で生き続けようとしているのだろうか。人間社会に戻って、両親を許してその胸に飛び込む日が来るのだろうか。別の見方をすれば実に愚かで無謀な青年と言えなくもない。本作は人と出会い、自然と触れ合うことによって確実に成長してゆく青年クリスを鮮やかに描き出しているところに監督の非凡さを感じる。

予期せぬ形で「死」と向かいあうことになったクリス、その目に浮かぶ涙はなんだったのだろうと考えさせられる。クリスが残した一言「幸せが実現するのはそれを誰かと分かち合えた時だ」が印象的。主演エミール・ハーシュが１８Ｋｇの減量までして挑んだ体当たりの演技が光る。

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1992年、アラスカの荒野で青年の死体が発見されます。
青年の名はクリストファー・Ｊ・マッカンドレス。死因は餓死。

原作は、ジョン・クラカワーが綿密な取材を経て彼の足取りを追い、
その死の真相に迫るというベストセラー・ノンフィクションです。
原作本にしても映画にしても他者の手によって描かれているため、
その解釈はあくまでも作り手によるもの──そういう意味では、
クリスの死は永遠に謎のままでしょう。

虚構に満ちた社会を受け入れられず、自然と共に生きる孤独を選んだクリス。
自分でもどうしようもないほど敏感で繊細な感覚を持って生まれた人がこの世には存在します。
でも、そういう人はほんのごくわずか。
そうではない大勢の人の中で理解されずに苦しみ、両親を恨み、自らを否定する。
クリスの根底には純粋に「冒険好き」という要素があり、一見ポジティブに見えます。
でも、映画では両親への復讐という色合いの方が強く描かれているように感じました。
両親に対する憎しみは、その憎しみを向ける相手以上に自らに強い嫌悪感をもたらします。
厳格な道徳観を持っていた彼は、両親を憎むことに対する罪悪感をも抱いていたのでは
ないでしょうか。
彼は言葉では両親を「いない」と語っていたけれど、本当は違う。
本当に両親を必要としていない人は、旅の途中で思い出しもしないはずです。

全てを捨てて荒野で生きる「強さ」を身につけようとしたクリスは、
「強いことよりも、強いと感じられること」と呟きます。
これはいろいろな場面で当てはまる言葉かもしれません。
クリスの生きた足跡をたどって、彼の人生の選択が善いか悪いかを問うよりも、
私自身がなにを感じ、なにを思い、なにを考えるか──そのほうが大事。
自分の心の奥の、ずっと奥底まで覗き込んで考えてみたい。
そんなふうに思う映画でした。

ラヴァさまが２００８年ＮＯ１かもとおっしゃていたので、恐れながら？レンタルしてみました。どんな内容かは全く知りませんでした。
確かに心にじんわりくる、良い映画でした。

ワイルドは「凶暴」ではなく「荒野・野生」でした。
現代社会の欺瞞性に絶望し、社会生活を否定した主人公は放浪の旅に出る。
最後にはとうとう人を寄せ付けない究極の世界、アラスカの荒野で暮らすことに・・

たった一人ぽっちの自給自足の生活を続けるうちに、とうとう彼は人生の幸せは何かということに気づく。
そのとたん、彼は孤独と死の畏れを知る。

彼の２年間の放浪の旅、現代社会を否定して真実を見つけようとした旅。若者の特権である無茶な旅がしっかりと描かれていました。
自然の風景も美しいが、旅先で出会う人々が、各々苦しみを背負いながらも生きている姿も感動できました。
実話ということですが、本当に彼は真実を発見できたのでしょうかね。だとすれば、本当に無念だったでしょう。

良かったです。

お勧めします。