ゲティ家の身代金

おもしろかった

母親の気持ちを思うとやるせないです。

※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。

レビューを表示する

常人とはかけ離れた、ギネス認定の億万長者の守銭奴ゲティ。
そんなジジィだからこそ、人間故の匂いは凝縮されていて、そんな臭みの充満した部屋にいれば、否が応にも影響されてしまいます。

実際にあった富豪の孫の誘拐事件。
守銭奴ジジィは身代金支払いを拒否!?不幸にもジジィの息子と結婚離婚した被害者の母親が息子開放に奔走するって内容は説明通り。

要は“金”ですね。
“金”に支配されたゲティとゲティの取り巻き、そしてマフィア。
信じるものは“金”のみ。

ゲティが美術品に金を費やすのも、そこに金額という価値が付くからであり、不変だから。
マフィアだって、ファミリーといいながらも恐怖支配。裏切りは横行し、あるのは“金”に対する執着。
ゲティに至っては、取り巻きのみならず、離婚を繰り返した妻達を含め、寄ってくる人間全てが、多かれ少なかれ、ゲティに沸く“金”でしょうし、その環境を考慮すれば、猜疑心の塊となる事も想像できます。
そんなに裕福とはなれない我々が、人を信じられず“金”のみを信じられる人間に嫌悪感を抱くのは必然ですよね。

でも、ゲティもマフィアも特殊な世界に身を置くからこその偏った姿。
常人である我々ですが、少なからず社会に身を置く中で、同じように感じる事もあるのでは?
私は仕事上で同じように感じるし、そういう人間臭さをプンプン感じる事が多々あります。

対して、“金”よりも息子への愛、家族愛を優先させる母親ゲイル。
マスコミの前で涙を見せない、断固たる決意で息子を助けるねく奔走する強くタフな母親です。
皆が恐れるゲティを前にして、堂々と意見を張るゲイル。
損得を考えない向こう見ずな行動は、これ差別でも何でもなく女性ならではかなと。
男は見栄やら地位やら色んな損得で行動を制限しちゃいますからね。情けない…(^^;

そんな中、中立な立場で物申す重要な役割が、マーク・ウォールバーグ演じる元CIA交渉人チェイス。
ドンパチも笑いも無い珍しい役を忠実に演じています。

緊迫した雰囲気もしっかり、強い母親を演じたミシェル・ウィリアムズが『グレイテスト・ショーマン』とは違ったテイストでいい感じです。
綺麗なのですが、普通に見える雰囲気が凄いです。
とはいえ、抜群の存在感を見せるのは、守銭奴ゲティ3世を演じるクリストファー・プラマーでしょう!!
よく語られるケヴィン・スペイシーの代役話ですが、プラナーで正解だったんじゃないでしょうか。

“金”に囚われ、人間不信ながらも、実は“愛”を求めていたのでは？寂しき億万長者ゲティ。
どうしても欲しかった絵画を胸に“愛”を感じながら旅立つことが出来たのでしょうか…

さすがに若い人がこの映画見ても、ケチ臭いとか、マフィア怖ぇとか、耳痛ぇとかしか残らないかも。

リドリー・スコット監督って事で鑑賞してみました。
良くも悪くも凝縮された人間臭さをプンプン感じた映画でした。

スリルがあった

実話ベースストーリです。
wikiを見ると、いろいろと脚色されているようなので、
人物観があっているのかは微妙です。
映画を見るに、大富豪でありながら現実主義であった人なんでしょうか。
プライドが高すぎて人に親切にできないというか、素直じゃないというか。
そういう性格が裏にあったのかもしれません。

映画としては、実話ベースなので突拍子もない展開は無いですが、
展開も早くそこそこ楽しめた。
日本でいうところの３億円事件のようなものだと思うのですが、
映画ならもっとエンタメ寄りにしてほしいと思いました。