裏切りのサーカス

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今回もまたDVD観まくりの正月休みでしたが、偶然（と言うか私がそのテの作品に引き寄せられてしまうのか）「二重スパイ」モノを3本も立て続けに観てしまいました。本作の他は「顔のないスパイ」（1911年、リチャード・ギア主演）と「アメリカを売った男」（2007年、クリス・クーパー主演）でしたが、「二重」スパイというのは「一重」（何かニュアンスがヘンなので、「シングル」と呼びますか。「顔のない…」は原題が「ダブル」ですし）に比べて主人公のスパイのキャラは遥かに「複雑」にならざるを得ないので、「ドラマ」としては「面白い」のが普通です。但し、「ドラマ」部分に主眼を置くので「アクション」はどうしても地味になりますし、「演技派」俳優を起用するので「見た目」とか「アクション」だけを売りにしている（しか能のない）俳優は起用されない傾向にあります（アンジェリーナ・ジョリー主演の「ソルト」が素晴らしいのは「アクションも出来る」演技派のアンジーなればこそ、の「（二重なのに）スパイ・アクション」だったからですね）。「顔のない…」にリチャード・ギアが起用されたのは、遂に彼も「演技派」と目されるようになった、ということですかね？（笑）オハナシのほうは「二重（ダブル）」を意識し過ぎたのか「観客を」騙すトリックを使って「どんでん返し」を狙ったのが裏目に出て、作品自体が安っぽくなっちゃった感じですね。結局リチャード「らしい」映画になっちゃうのは何故なんだろ？（笑）
「アメリカを…」は正に「二重スパイ」モノの典型で、主人公（クリス・クーパー）と彼の正体を暴こうとする捜査側（ライアン・フィリップ、ローラ・リニー）の息詰まる駆け引きの応酬がほとんど「舞台劇」のように「ドラマ」を形成していて「アクション」も「ミステリー」も一切無い。クリスの演技力は流石ですし、久し振りに観たライアンもなかなか上手でした。惜しむらくはこのオハナシ「実話」なんだそうで、最後に判明する「二重スパイ」の「動機」があまりにも「現実」的過ぎて（実話だから当然なんだけど）ガッカリでした。
そしてこの「裏切りのサーカス」は「スパイ小説の名手」ジョン・ル・カレ（フランス名前ですがレッキとした英国人作家で、MI6に勤務した経験があるそうです。「寒い国から来たスパイ」とか何作かは学生時代に読んでますし、映画化された「ロシア・ハウス」「テイラー・オブ・パナマ」は観ています）原作の「ティンカー（鋳掛屋）、テイラー（仕立屋）、ソルジャー（兵士）、スパイ」というちょっと変わったタイトル（「ティンカー」等はスパイの「コードネーム」です）の小説（1974年刊行）をトーマス・アルフレッドソンというスウェーデン人の監督がゲイリー・オールドマン、コリン・ファース、ジョン・ハートなど英国人の「名優」ばかりを使って2011年に映画化したものです。これは大変面白かった。原作は読んでませんが「フィクション」としてしっかりしていて「作り話」でありながら「リアリティ」を追求する姿勢がありありと感じられるし、その原作を映画化するに際して製作者、監督、役者の一人一人に原作への「リスペクト」が感じられる。良い映画だと思いました。一つだけ文句つけるとすれば、かなり登場人物が多いのに「本名」「コードネーム」「呼び名」などが説明無しに飛び交うし、現実と回想場面がこれも説明無しに度々交錯するんで（きっと原作に忠実に撮ってるんでしょう。「意図的に」観客を混乱させている、という感じはしませんでした）、短いエピソードなど誰の、いつの時点のオハナシなのか混乱して筋が追えなくなることがしばしばあった点ですね。小説なら中断して少し戻って読み直すことも可能ですが、映画は待ってくれないですからねぇ（笑）。
ジョン・ル・カレ自身が「製作総指揮」に名を連ねてるんで、まだ御存命（映画製作時80歳）と知ってビックリしましたが、懐かしくて嬉しかったです。

う〜ん……多分、むずかしいんだろな、
頭悪いからな、
あんまり頭使いたくないしな、
という消極的な意識で観に行ったら、やっぱり全然ダメでした。
静かなので、緊迫感があるのかないのか、よくわからない。
「ぼくのエリ」の監督なことを知っていたのだけど、全体的に物静かで、観る側に考えさせるような展開は、監督らしいのかもしれない。

二重スパイの話だし、数か国がからむし、登場人物も多いし、事件もいくつも起きる。
時間軸もごちゃごちゃしてるし、頭が元気じゃないとほんとに難しい。
ブダペストの事件が結局よくわからないまま終わってしまいました。
すいません。頭悪いので。
ゲイリー・オールドマン、老けたなー、でも、だからこそ、その顔だけですごい濃い味があるなー、とは思った。
英国のいい役者がいっぱい出てます。

この映画も評価は割れているようですね。
わかんないのもやや悔しいので、もう1回観ようかなー……？と、今、考え中です。

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　イギリスの諜報部員の中にソ連の内通者がいるぞって探る話。

　派手なことは一切起こらず、冷戦時代の冷たい空気がビシッと充満して、登場人物の疑心暗鬼を描いていました。
　たくさんの登場人物の名前と顔を一致させて、しかも名前も本名だったりあだ名で呼ばれたりして混乱倍増しました。更にはパーティーの回想やウィッチクラフト作戦やら覚えることが多くて、それを把握するだけで大変な映画でした。

　大きなうねりもなく、スパイ活動としては機密書類をカバンに入れるかとか万引きみたいなことをしてるくらい。
　イギリス諜報機関のサーカスという組織の裏切り者を見つけるというメインの話とソ連に捕まって拷問を受けて現在は教師をやっている男とソ連の女性スパイに恋をしたスパイの話がサブストーリーで描かれていきます。

　登場人物の多さだったり情報量だったりを考えると120分ちょいにまとめたのはスゴイと思いますが、もう少し見せ場山場なりを作って興味の持続を持たせてほしい映画でした。

評価は高い作品だそうですが、まぁ、なんとなく評価されているのも分からんでもない作品でしたが、わたし的には面白くなかったです。なんの話やねん、というモヤモヤした部分がかなりの長い間続いていくんですね。最終的にはまぁ、まとまっていくんですが、だからといって「？」って感じです。こんなに長くする話なんだろうかと思うし、ストーリーは単純なんですよ。

で、始めの方に「裏切り者」がいる、という話がチラホラでてくるんですが、そこに出てくる役者で、もう答えが分かってしまうんですね。全員渋い役者だし、配役は悪くないんだろうけど、でもやっぱり、名前でわかっちゃうんです。で、その役者がなぜに？という部分や、それでも世に分からんようにしていくような部分があれば面白いのですが、それもなく淡々と・・・

うん、やっぱり面白くないわ。まぁ、確かにね、こういう映画もあっていいと思うんですよ、ドッカンドッカンばかりが映画ではないですから。でもね、だからといって静かな感じだけでいいんかっていうとそれはちゃうよなぁ、と思った次第です。

ジョン・ル・カレ原作の作品は、６５年「寒い国から帰ったスパイ」（マーティン・リット監督）、９０年「ロシア・ハウス」（フレッド・スケピシ監督）があり、両作品とも観ています。　が、作品の難解度は本作が数段高く、公開前から報道されていたとおり、１度の鑑賞で９０％以上の理解は到底無理でした。（一般的に、９０％以上の理解なら、作品の評価もできる）　結果、約１か月の間隔をおいて再鑑賞した具合です。
まず登場人物の多さに加え、名前の呼び方が複数出てくる点。単に組織幹部たちの呼称だけでなく、ファミリーネームやファーストネームの呼び方など、バラバラに出てくるので、最初はかなり混乱．．．
そして‘場面’の繋ぎの複雑さ、です。　これは逆に作品の面白さ、ひいては格調の高さにもつながっている感じもしますが．．．
一方、ストーリーそのものは複雑ではありません。　誰が二重スパイなのか？　珍しく（？）、キャストのメンバーをみてすぐ予想し、予想どおりの結果でした。
サーカス(英国諜報部）のリーダー、コントロールに扮したジョン・ハートは英国の重鎮俳優で、７１年「１０番街の殺人」、７８年「ミッドナイトエクスプレス」、７９年「エイリアン」などで強い印象を残しました。そうそう、８０年「エレファントマン」に扮していたのも彼です。
１９８０年代の東西冷戦下では、まさに本作にもっともよく出てくる言葉‘もぐら（二重スパイ）’の存在は珍しくなかったのかもしれません。　コントロールは、その‘もぐら’を突き止める為、工作員ジム・プリドー（マーク・ストロング）をブダペストに派遣するのですが、ジムが撃たれて失敗に終わります。（この冒頭、ブダペストのカフェでの銃撃場面の撮影は実に見事です）
その責任をとる形で、コントロールと彼の右腕のジョージ・スマイリー（ゲイリー・オールドマン）は組織を去ります。　その後、コントロールは謎の死を遂げます（誰が、どうやって？　この描写はないままです）。　組織を引退したスマイリーですが、レイコン次官（サイモン・マクバーニー）から再び声がかかり、スマイリーは部下のピーター・ギラム（ベネディクト・カンバーバッチ）を指名し、共に‘もぐら’を摘発するため調査を開始するのです。
標的（容疑者）は、組織幹部のティンカー(鍵師）ことパーシー・アレリン（トビー・ジョーンズ）、テイラー（仕立屋）ことビル・ヘイドン（コリン・ファース）、ソルジャー（兵士）ことロイ・ブランド（キアラン・ハインズ）、プアマン（貧者）ことトビー・エスタヘイス（デヴィッド・デンシック）の４人。それぞれ一癖も二癖もある人物です。　スマイリーは、元サーカスのメンバー、コニー・サックス（キャシー・バーク）や、リッキー・ター（トム・ハーディ）の証言を集めながら、容疑者を洗いあげていくのです。
オーバー・アクションもどんでん返しもありませんが、‘静かなる緊張感’によって見ごたえ十分です。