となりのトトロ

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　『グリーンマイル』という些か重い内容の作品の後なのでがらりと雰囲気を変えて『となりのトトロ』とまいりましょう。この作品はちょうど娘の生まれた年なのでちょっと思い入れのある映画です。
　この作品を子供たちに見せるとすぐに真っ黒黒すけとか猫バスとかに夢中になりました。サツキやメイの暮らす一軒家や大楠をはじめとした豊かな自然。そういったものも憧れの眼で見ていたと思います。
　しかし、レヴュアーの世代にとっては、あの風景は昔、父方の祖母の家で見た風景に重なるのです。小さい頃は、ほぼ毎年、盆に墓参りに訪れたものでした。その家の前を流れる用水路は石積みでできており、その隙間に住んでいる蟹を獲ったものでした。いまやその用水路もコンクリートに変わり、蟹の姿を見ることはできません。
　こういう風に書くと若い人は年寄りのノスタルジーと思われるでしょうが、子どものときに肌で感じた水の冷たさや草の匂いというものはやはり忘れがたいものです。といって今、あの頃と同じ環境があったとして、あの暮らしに戻れるかというと「はい」と明確に答えられないのが正直なところです。自然が豊かということは別の側面から見れば暮らしの中に機械が少ないということでもあるからです。
　そういう暮らしははっきり言って不便な暮らしだからです。この作品に出てくる村の人たちは自家用車も持っていません。近くなら歩き、遠くならバスに乗る。猫バスもそうした流れの中から出現した存在です。劇中でサツキが父と連絡をつけるために電話のある家にお邪魔するシーンがありますが、ほとんどの人が携帯を持っている現在では何故と思う子どもの方が多いのではないでしょうか。
　今、サッシで閉ざされた空間で季節の移ろいも関係ないエアコンの風に慣れた身体が夏は暑く、冬は手にひびをつくっていたあの頃に帰るのは不可能ではなくても相当困難なことでしょう。そういう訳で、この作品はレヴュアーにとっては楽しさと同時に物悲しさや一抹の疚しさをも併せ持った映画なのです。

＊ とにかく、キャラクターが魅力的すぎます！何と言っても、トトロがサイコー♪ぶっさいんだか、かわいいんだか…、独得なトトロの表情がいいです！しゃべらない分（時々ほえてるけど…）、豊かな表情で、楽しみや驚き具合を伝えてくれました。なんとも、愛嬌のあるやつです♪
　トトロ以外にも、一度は乗ってみたい猫バス、引っ越しする？まっくろくろすけ、動作がかわいいメイちゃん、元気なサツキちゃん、あったかい父と母…などなど、出てくる登場人物の一人一人に、たっぷりの愛情が感じられました。

　キャラクターだけでなく、ストーリーも素敵でした。何でも無いシーンでも、ワクワクし通しでした。子供から大人まで楽しめる、とても温かい大好きなアニメです。また時を寝かせて、再びトトロに会いたいです。

この作品のよさを一つ一つあげていくとキリがないですが、大人にも子供にも、心の中に、まるでトトロみたいにあったかい大きな何かを残してくれる作品だと思います。

それからこの映画は時代が移ろうとも普遍的に子育てに大切なことを学べるような気がします。

地域の人とふれあいながらみんなで子供を見守る、たすけあう。

そしてそれが当たり前っていう雰囲気とか、核家族であっても、おおらかでやさしくて、子供が精神的に追い詰められない環境とか。


子供との時間があまりもてなくても、会えなくても、子供の話を心をまっさらにして聞いてあげて、その興味の対象に“つきあう”のじゃなく自分も子供のように興味を持ってみることでできる絆のようなもの、これこそ本当の意味での「友達みたいな親子」なんでしょうね。

メイの子供らしさがとても細かく描かれていて、逆にサツキの“しっかりした子”を際立たせています。
でもそのサツキも本当は自分も甘えていたいのに我慢して、お姉ちゃんらしく、お母さんみたいに！と頑張る健気さに涙がジワっとなりました。

やっぱり子供の心に育つ愛は、親や先生や、ほかの大人たちからたくさん注がれてこそ、育つものなんだなぁ・・

子供が大きくなった今では、すっかり「昔の映画」という位置付けだった「トトロ」。

今日、たまのお休みに、ちょっと山手の方にドライブした。
緑がいっぱいで、木々に囲まれて、風が吹いたら”ざわざわ”と音がした。今日、ちょっと暑かったんだけど、木々の中はひんやりと涼しくて、沢山の葉っぱの隙間から見える木漏れ日がキラキラしてた。普通に歩いていると巨大な蜘蛛の巣にひっかかったりして、ちょっと頭を低くしてあるいた。

思い出したのは「トトロ」
姿形だけを見ればちょっと不気味なあのキャラクターがどうしてあんなに愛らしかったのか、どうしてこの物語があんなに暖かく懐かしい気持ちにさせてくれたのか。言葉が思い浮かばずうまく言えないけれど、ここに描かれているのは多分、自然やそして子供や大人の「あるべき姿」ていうよりも「当たり前の姿」なのかも。

もう一度みたいなと思います。

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公開当時、私は10歳で妹は8歳でした。まさにど真ん中な年代で、小学校の授業でもトトロの曲が課題曲だったりしました。

そのときは単に「トトロかわいいっ！」というわくわくした気持ちだけだったのですが、久しぶりに見ると、姉妹がいじらしくて涙がとまりませんでした。
自分でもびっくりするぐらい泣いてしまいました・・・。

私が姉の立場なのでサツキがお母さんを心配して泣いてしまうシーンや、メイを必死に探すシーンは切なくてたまりません。そして、泣いているサツキを見てお母さんの元へ行くことを決心するメイもまた、いじらしくてたまりませんでした。

大人から見た子供の世界は、行動範囲も狭くて小さい世界だけれど、子供の目を通した世界はなんて広いんだろうと、自分も過ごしてきたはずなのに、再認識させられました。
ほんのちょっとした不安、期待、夢、よくも悪くも子供は柔軟に受け止めてしまうところがありますが、その素直さが伝わってきて思い出させてくれるこの作品は本当に素晴らしいと思います。

毎年夏にはTVで放映されますが、いつまでもいつまでも放映して欲しいです。