ソーシャル・ネットワーク

チュニジアやエジプトの政変で市民結束の大きな役割を果たしたことから改めて大きな関心を集めるFacebook。
世界中で5億人の登録者を擁する巨大なネットワークである。
mixiなど他のSNSとの大きな違いは匿名でないこと。
この映画は、その巨大サイトの起動と創始者たちのすったもんだを、事実を元に描いている。
そもそものスタートはハーバード大学内の排他的な出会い系のようなものだったらしい。
なるほど、名門大学の学生と、彼等と知り合いたい女の子達を繋ぐには匿名性は不要だ。
自分の所属校や経歴、容姿を誇りたい若者達にとってこそFacebookは魅力的なツールなのであって
私のようなコンプレックスだらけの日本人には向いていないような気がする。

しかし、そんなFacebookに縁のない私にも、映画は見ごたえがあった。
冒頭の学生カップルの会話シーンはちょっとした驚きだ。
ただ座って会話しているだけなのに、早口な上に二人の話題も気持ちも噛み合ってなくて
目まぐるしく切り替わる落ち着きのないカット、エリカ同様にイライラしてくる。
速いテンポについていくためには観客も注意力を強いられ、同時に、マークというキャラクターがくっきり浮かび上がる。
恋人さえも「レベルの低い人間」と見下す尊大な天才だが
人の気持ちを推し量るやさしさを持ち合わせず、表情も乏しい。
自信過剰の一方ではモテないことにコンプレックスを持ち、エリートの集まる名門クラブに入会したがっている。
友達になりたくない、嫌な奴だ。
しかし、恋人に酷い暴言を吐いてふられたのに、彼には何故彼女がそんな態度を取るのか理解できていない。
人の痛みが分からない、コミュニケーション能力を欠いた未熟な若者。
天才的なプログラマーとして5億人のユーザーを繋ぐネットワークを生み出し億万長者となりながら、
恋人も、たったひとりの友人の心も繋ぎとめることができなかった、一人の若者の孤独が紐解かれていく。

2003年、マークがエリカに振られたところから始まり、Facebookを立ち上げ成功を納めるまでの顛末と
その後、共同創設者で親友だったはずのエドアルドに起こされた訴訟と
アイデアを盗用されたと双子のウィンクルボス兄弟に起こされた訴訟
最初は現在と過去がいったりきたりの構成が少しややこしいが、状況はすぐに飲み込め、
輝かしい成功であるはずのシーンに流れる不穏なBGMが、事の成り行きを予感させる。

最初から最後までマークは表情に乏しいが、
彼がいかに天才であっても、プログラムをする以外にはあまり注意を払えない子供っぽい人間なのがよくわかる。
最後に自分には「好感度」が欠けていることを知ったとき、少しだけ彼は落ち着いて大人びたように見えた。
それでもたぶん彼は何も変わらず、
彼の創り上げたネットワークで実際に結ばれる幾多の人々をよそに、ひとり孤独にディスプレーを見続けるのだろう。

これぞデビット・フィンチャーといった、独特の映像センスの洪水
ここ！っていう所だけにピントを合わせた、被写界深度を極限に浅く設定した取り方は
その撮影法だけに留まらず、映画全体の展開や描き方にも言える事かもしれません・・・

一人の億万長者のサクセスストーリー
ただ、その成功への道のりを描くというよりも
彼が気付かぬうちに払ってきた犠牲や
ここだけは譲れないというプライドと、それを守る為に犯した裏切り
そういう側面に深く入り込んでいるのが
自分でも不思議なくらいの胸の高鳴りを感じさせるのかもしれない

主人公マーク(ジェシー・アイゼンバーグ)は
イヤな奴だけど、悪い奴じゃない
世界中の人々をあっという間に結びつけてしまった人物
結果として、彼の手元に残った彼自身の人との繋がりは・・・

なんでもないような冒頭の会話が、全ての始まりであり
そして、マークの人生に、映画全体に、心地よく重くのしかかっている
前に前に突き進んでいるように見えて、実はずっと引きずっている
これが最後に、マークへのエールとも取れる形で幕を下ろしている所に
またまたジーンと熱くなります♪

マークが果たしてホントに成功者と言えるのか
それは観る人それぞれの心の中に依るところですが
彼の成功の土台となる、恋愛と友情の数々を
映像と音楽とセリフの三位一体で描いた
紛れもない傑作です☆

若き天才プログラマー、マークの野望と栄光の裏側を描く物語、ぱっと見はそう
受け取れるのですが、マークのサイト立ち上げの原動力となったのは、冒頭の
いさかいのシーンに集約されており、ラストで明確に示されます。

やけに細かく切り返す冒頭のカット（100以上のカット数とのこと）、そこに
込められたただならぬ監督の熱の入り方、マークが矢継ぎ早に言葉を繰り出す
シーンに、彼の頭脳の明晰さと偏執狂じみた性格をくどいぐらいに表現しています。
それは狂騒的な物語の進め方で惑わされはするが、一転物静かなラストで
がっちり回収してストンと落としてくれます。結局はマークの恋バナだったと、
巨万の富と名声を得ようともマークは寂しかったのだと、回りくどく紆余曲折し、
それと気づかぬうちに鑑賞者にテーマを植え付け納得させる物語ですね。
あわせて表現されていたのはSNSで築かれた関係の希薄性でしょうか。うわべだけ
の関係の脆さや危うさなどが、マークを取り巻く人物像で示されていたと感じました。
コミュニケーション・ツールも結局は使いようで、上手く使えば良好な関係を結べる
のですが、誰しもが陥りそうな現代社会のちょっとした亀裂を垣間見た気になりました。

物語は時間軸を前後し多くの人物名が錯綜するので、ややこし感を覚えました。
少しコメディ色も入れ、多くの狂騒的なシーンでの大音響のBGMがせわしないのですが、
デジタル世代のライフスタイルを表現するのにはぴったりだったと思います。
暗部をべったりと黒で塗りつぶさず、暗褐色から漆黒への微妙なグラデーションを
用いる、いつも通りのフィンチャーは闇の写し方は今作も抜群で、それを意識してか
夜のシーンが多かったような気がします。
多くの方が本作の感想に言葉の応酬に迫力があったと書かれてますが、物語で語られる
セリフにはあまり多くの意味はありません。登場人物が言葉を発する時の状況や表情に
注意を払うべきで、映像がセリフ以上のことを補っていたと感じました。
フィンチャーはやはり映像を優先する作家で、セリフは補完的なものでしかないのです。
本作には音響効果を今までに以上に最大限に用いていたのですが、セリフもまた音響の
一部でしかなく、デジタル世代の人格を表現するうえでのギミックとしての役割しか
なかったと思うのです。
そのため本作には、小手先の芸当に夢中になるのではなく前作で魅せた感性を刺激する
映像美をもっと見たかったと思ったのでした。

観終わった直後にもう1回観ねばと感じ、私は基本ケチでビデオで再確認する予定
でしたが、色々と私用で忙しいので過去の記述に手を加えてお茶を濁します。★３＋

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有名なフェイスブックの創始者の物語。
アメリカ的なコンピュータおたくが、
アメリカ的な階級社会を背景に、のし上がっていく様を、
象徴的に描いている。

そういう意味で、興味深いといえば、そうなのだが、
映画として、面白いかといわれると、非常に微妙。

ただ、現代を象徴する話であるし、
現代の発明が、突飛なものというよりは、
アイデアの産物と、それを実現化する、コンピュータ技術で、
達成できることを、ある程度は、表現できており、
その意味で、興味深い話だとは思う。

あとは、アメリカらしい、階級社会の話と、
出し抜き合戦のファイナンスを含めた話と、
いろんな意味で、アメリカを象徴した話になっている点で、
評価できると思う。

Facebookの生い立ちと、創始者の人物像を知る事が出来る映画です。

空気の読めないオタク創始者。
成功してるから空気は読めなくても、世間の流れは読めてるのか？
にしてもドロドロしてますね。正直引くわ！！
Facebookに興味がある人は見てもいいかもしれませんが、
全く興味無い人にとってはどうなんでしょうか…

私は…
最近Facebook始めたけど、その生い立ちのドロドロさ加減に引いてしまい、止めようかと思いました。