宗方姉妹

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​小津にしては珍しくメロドラマだった。
若い頃好き同士だった二人、田代（上原謙）と節子（田中絹代）は、田代に意気地がなく結婚出来ずにいた。

現在、節子の旦那三村（山村聡）は仕事をなくしクサクサしていた。
おまけに、どうやら、節子の日記を読み節子が田代のことを好きだったこと知り節子に邪険な態度を取るようになった。
拍車を掛けたのは、節子が経営するバーの運転資金を田代に頼ったことを知ったことだった。
自棄になった三村は別れ話を切り出す。
毛頭、そんな気はなかった節子は田代との仲を疑われたことで逆になじる。
逆上した三村は節子を何度もぶった。
さすがに節子も別れる決心をする。
田代と節子が今後の相談をしている場へ酔った三村が現れる。
そして、「やっとダムを造るやりがいのある大きな仕事が決まった」と言う。
しかし、それは、惨めな境遇に陥った男の哀しい作り話だったようだ。
その晩、雨でずぶ濡れなって家に帰った三村は心臓発作であっけなく事切れる。
それも、自然な心臓発作だったのか疑わしかった。
自分の人生に三村が暗い影を残して去った為、節子は田代との幸せを描けず田代との結婚を断念する。

気丈な人妻役は田中絹代にどんぴしゃだった。
物語をかき回す狂言回し役のやんちゃな妹満里子を高峰秀子が達者に演じていた。

だが、古臭い長女節子と新しがりの次女満里子との言い合いの中で出た
「本当に新しいものは古くなっても古びないもの」というセリフに引っ掛かった。
確かに、新しければ良いというものでもない。
だが、本当に新しいものは古びないではなく、普遍的価値のあるものが古びないのではないだろうか。
いや。
普遍的価値のあるものこそ本当に新しいと言いたかったのか。
いずれにせよ、例えメロドラマであっても小津作品は深い。​

独特な間がたまらなくスクリーンに向かって独り言をマイペースでつぶやいているような笠智衆は相変わらず最高だが
それ以外の役者の会話にも不思議な間があり　次何言うんだか想像できない

前半と後半で軸がぶれており　急展開すぎる面が多々あり話が落ちていない　何をいいたかったんだろうか?
例えば笠智衆が後半いつの間にか死んだことになってしまっており　全く出てこない(のでファンとしては寂しい)　
一応医者のコメントの伏線が前半にあるにはあるが　前触れは皆無
また田中絹代と上原謙のバランスが悪い　まるで姉と弟のよう
高峯秀子のが年齢が高くてひたすらMで悲惨なお姉さん役だったら　このお転婆妹役よりはまっていたと思う

上原謙って加山雄三の父親だったんだ　1950年っていうと62年前か...
こういう感じの男性　今沢山いますね　

レビューがまだないがわるくない映画。1950年製作の白黒。

田中絹代(当時40歳位)、高峰秀子(同26歳位)、上原謙(同40歳位)といった美男美女を見るだけでも価値あり。

田中と高峰は姉妹。田中絹代が古き時代の日本女性像を演じ切る。夫・山村聰との夫婦げんかでも、
田中のことばづかいのきれいさに驚く。今やありえないが、こういう時代もあったのかと思う。
高峰(妹)の田中(姉)に対することばづかいも同様。　　対照的に、高峰のハイカラさが印象的でもある。

上原謙は田中絹代のかつての恋人。上原は加山雄三の父だが、さすがに水もしたたる二枚目だ。
田中絹代のよろしからぬ夫役として山村聰がすごみのある演技をしている。

小津作品の中で、評価が微妙みたいですが、確かに見た後、不思議にバランスが悪いような感じがします。だからといって平凡な作品では無く、非凡です。ただ観た後強く印象に残るのが、山村聡演じる、学者らしいが、仕事につかず、鬱屈して田中絹代の姉に辛く当たる夫だったり、（そんな時の男の卑怯さが、良く出ていて、身につまされました）、高峰秀子演じる妹が、そんな義兄に対して、苦々しく思っている時の表情や態度、それと好対照な立派な上原謙演じる姉の元恋人の前でのあっけらかんとした明るさ（デコちゃんファンとしては、苦笑したり、爆笑したり、必見かも）だったりと、作品世界としては、田中絹代と上原謙の二人のシーンが、綺麗だけれどやや弱い印象を受けました。