腑抜けども、悲しみの愛を見せろ

※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。

レビューを表示する

タイトルもさる事ながら、冒頭のあの事故のシーンはなんですか！？
猫一匹に、あんな大量の血！？まさか！ね・・・？
葬式でのヒソヒソ話で納得だったけど、あの真っ赤なタイヤ痕はむご過ぎる。
究極の勘違い女、澄伽の存在は・・・
ああ、嫌だ嫌だ。あんな家族、欲しくない。
自意識過剰で、自分の良さが分からない奴の目は節穴だ！と思っている。
過去のある出来事で、妹の清深は澄伽から　いびられ続けているけど、澄伽の女優としての才能なんかより、清深の漫画家としての才能の方が前途有望。
この、いじめられっ子キャラの清深は、喘息持ちで弱々しいけど、両親の死にショックを受けつつも、その凄惨な場面を漫画に描こうとしたり、夜中に廊下を這いつくばって覗き見したり、案外食わせ者ですよ。
こんなホラーな家族の中にあって、兄嫁の待子さんは、ちょっとだけほのぼのさせてくれます。
ちょっとだけね。
だって、待子さんが作る人形は、どこかの民族の呪い人形みたいだし、作りながら口ずさむ歌も、ちょっぴり怖い。
天然と言うべきか、人がいいと言うべきか、蹴飛ばされても、麺つゆ引っ掛けられても、あの笑顔は痛いな。
夫に迫る場面は、貞子風で迫力あった。翌朝の膝小僧の擦り傷も。（笑）
残る登場人物は、澄伽たちの腹違いの兄で待子さんの夫。
実は私、この兄を演じている永瀬正敏が苦手です。
何だか怖くて。
待子さんを怒鳴りつけ、蹴飛ばすシーンで、やっぱりこの人嫌だ・・・と思ったのですが、炭焼き小屋での最期に、たまらなく切なくなりました。
ラストの方の漫画のコマの中での事件は、妙に惹かれるシーンでした。
一瞬、そんな悲惨な！と騙されかけましたが、清深の本領発揮。
彼女こそ、したたかで打たれ強い女だったのだ。
残された三人の女たちは、これからどう生きていくのでしょう？
バスの中で澄伽の寝顔を描く清深ですが、その絵に描かれた澄伽の表情は、いつものホラーなタッチではなく、美しく穏やかでしたね・・・

これは面白い映画でした。強烈なブラックなパワーを発散させつつ、え？笑っていいのかな？と確認しながらもとても可笑しく笑いながら観ました。女性たちが揃いも揃って皆強烈。

澄伽（佐藤江梨子）の、私は女優よ！才能あるのよ！という恐ろしい勘違い。本人はその勘違いに気づいていない。彼女までとはいかないけれどだいたい私はキレイ、私はスゴイ、そんな気持ちで生きている女性はきっとたくさんいるに違いない、そんな勘違いは生きるバイタリティにもつながるし、本人は結構幸せだったりする、周りは大いに迷惑なのだけれど。そんな澄伽を見るのは面白いし興味深い。
嫁の待子のキャラも最高。観ていくうちにどんどん、あ、ちょっと変てこりんな人なんだなと気づいていく。空回りパワーの炸裂です。初めてと思われる次の日の腑抜け具合にはもう笑うしかなかった。上手いなぁ、永作さん。
そして大人しかった妹が一番強かったという事実。
あの後、あの姉妹はきっと東京であの調子を続けていく？、待子も田舎で畑仕事をしながらあの夜を思い出したりしながらマイペースに暮らしていくのかしら・・・と勝手に想像してニヤニヤ、変な余韻に浸りました。
女性たちのパワーに押されとびきり静かな永瀬さんの存在感もいいですね。笑っていいのか？かなりブラックですが面白かった。
何故？監督役が明和電機の土佐さん？これも笑えました♪

※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。

レビューを表示する

普段ならスルーしてしまいそうな邦画なんですが、インパクトあるタイトルに目が留まりました。
主演が佐藤江梨子さんとの事で、もしかしてアイドル映画だったらヤだな〜・・なんて思いながら見始めたワケですが、冒頭からタイトルに負けず劣らずのインパクト。最後までスルスルッと見れてしまいました。

結構ブラックですよ。しかし、ところどころに笑えるスパイスをバラ撒いてくれているので、なぜか陰鬱な感じにはなりませんでした。

主人公の澄伽は絵に書いたような（と言うか、書きたくなるような）勘違い女。昔漫画であったような「白鳥麗子」なんかはリアリティに欠ける自己チュー女でしたが、こちらの澄伽は普通にいそうですよ。
でも、和合家の中にいて澄伽だけが特出したキャラと言うワケではなく、みんな少しずつズレてるんですよね。

澄伽の兄を演じるのは永瀬正敏さんで、彼は妹である澄伽に強く出れない何かの理由がある。清深に対しても非常に優しいのだが、妻の待子にだけは辛くあたる。
結局、この兄が１番田舎の純朴青年だったのかもしれない。

待子を演じるのは永作博美さんで、彼女はコインロッカーに捨てられてて孤児院で育ち、孤独のまま恋愛と言うステップを通り過ぎて田舎に嫁いできた・・と言う設定。
結構地味な役柄でしたが、永作さんは男女問わず人気ある女優さんだし凄く可愛いですよね。
こんなに可愛い人が、男に全くモテず宍道の嫁になるってのは少し違和感ありました。演技に関しては主人公の佐藤江梨子さんを食ってしまってるほど、見応えと言うか興味引くキャラで光ってましたが。天然変態キャラと言う感じ。
（コインロッカーで捨てられたから待子？？ブラック効き過ぎ）

原色だらけの家族の中、ひっそりとサナギのように身を潜める清深。
彼女が澄伽の実話を基にしたホラー漫画を描いた事で、姉妹の溝を深めてしまうワケですが、その絵は目を見張るほど素晴らしい。
だって、実在のホラー漫画家である「呪みちるさん」の絵だからです。
清深の漫画がホラー雑誌に載るんですが、私の愛読書であるホラーＭでした（笑）呪みちるさんは、このホラーＭで度々登場する漫画家さんです。ちなみに宣伝しちゃいますが、めっちゃ面白い雑誌ですよ。

ラスト、サナギだった清深は見事に羽ばたこうとする。そのあたり非常に面白かったです。
扇風機の前で見せた澄伽の表情、笑わずにはいられませんでした。この役、小池栄子さんだったらどうだったんでしょうね。

観て良かった。感動と言う言葉が薄っぺらく思えるほどです。
人生に影響を与える一本。

日本の田舎町の一つの家族。がむしゃらに女優を目指す佐藤江梨子。
漫画の才能の有る妹。家長とも言える義兄の永瀬正敏。
最近、嫁いできた嫁の永作博美。

両親が亡くなり帰郷したサトエリを中心に物語は
家族の過去(モノトーン)現在、未来と進んで行きます。

能登の澄み切った青空。青々した水田。
景色はひたすら明るい。

姉の行動をひたすら漫画にする妹。
呪みちるの劇画が凄い。映画の30%を表現する程の
インパクト。

家族の恥を漫画にしなければならない妹の衝動。
義兄を支配して、嫁と本当の夫婦にならないよう
邪魔をする、サトエリ。
けらけら笑いながら、ちゃっかり我を通す嫁の永作博美。

吉田大八監督。凄いです。霧島、部活やめるってよ・・・
より好きです。みなきゃ損するよ。

※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。

レビューを表示する

＊ 前々から、気になっていた映画…、
何にって、もちろん、タイトルに（笑）

　何となく見るのが疲れそうな映画かなと思って、敬遠していた。
　試しに，出だしだけでもと思ったら、そのまま一気に、最後まで見てしまった！！

　最初の予想外のショッキングな出来事（シーン）で釘付けとなり、
その後、「えっ？何？？どう展開していくの？？？」…と、見れば見るほど、引き込まれていった！！

　そして、いったいどんなラストが待っているのだろうかと、期待させるだけさせといて…、
最後の最後に＜ぽか〜ん＞みたいな……（笑）。
　この映画では、ちょっと（いや、かなり？）変わった姉妹が中心で描かれていた。見ている人を振り回すだけ振り回しておいて、結局、兄弟喧嘩だったのかしら？？……みたいな、何とも、不思議な余韻が残った…。
　いったい何だったの？この映画って？？……そう思いつつも、してやられた感じがして、何となく笑えた。

　悲劇のような、サスペンスのような、ホラーのような…見ていくうちに、いろんな雰囲気に変わっていく…、ほんと、よく解んない映画だった。
　最初から最後まで変わらないのは、「いつか、何かが起こるんじゃないか？」という空気……これだけで、最後まで引っ張られていった感じだった。

　登場人物では、みんながみんなハマり役だけれど、一番インパクトがあったのは、永作博美さん…。
　ゴロンゴロンと転がったり、タックルしたり…とにかく、印象に残るシーンが多い（笑）。
　ちなみに、私的には、最後の最後まで、この永作博美さん演じた義姉が、いつか爆発して何かするんじゃないかと思っていました…。
　やたらと出てきた彼女のお手製の不気味な人形も、てっきり呪いの人形かなんかと…（笑）

　それにしても、やっぱり気になるのはタイトルの「腑抜けども、悲しみの愛をみせろ」…。
　タイトルがきっかけで、見た映画でしたが、見終わっても、このタイトルの意味は解りませんでした…。いったい、誰が誰に（複数形だから、どんな人達に対してなのかな？）、言っているセリフなのか？？？
　結局、解らずじまいではありましたが、何とも、インパクトのあるタイトルでした……（笑）。

　とにかく、変わった家族…。
　変わった映画でした……。
　でも、妙に引き込まれる…、よく解んない不思議な魅力のある映画でした♪