魂萌え！

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田中哲司とトヨエツ目当てに観ましたが。。。
もちろん、二人ともとっても素敵でいいキャラなんですが
それ以上に、風吹ジュンさん演じる主人公にとても共感しました。
どのシーンもとてもリアルで敏子の家の間取りや雰囲気は
まるで自分の実家のようで、あくまでも専業主婦としての女性の
妻であり母親である感情や立ち居振る舞いが、細やかにそして
リアルにリアルに描かれていました。唯一、風吹ジュンさんが
５９歳の設定にしてはチョッと綺麗過ぎるかな？って思ったけど
入浴シーンのセミヌードで熟女な感じが良く出ててよかったし、
妙に安心したとゆ〜か。。。
どの登場人物もとても人間臭くて、あの阪本監督がよくここまで
５０代のおばさんの心理や表情をうまく表現出来たなぁって
関心してしまいました。世代こそ違いますが、一人の女性として
年齢を重ねていくこと、生きていくことにささやかなエールを送ってもらえたみたいで、最後のシーンではじんわりと感動が込み上げてきました。。。

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　原作ファンなのですが、阪本順治監督で映画化というので期待してました。
　結果、大満足。もちろん映画ならではの演出はありながら、とても原作の世界を忠実に描いているという印象を持ちました。特に、寺尾聰のキャスティングには脱帽。いかにも善き夫という印象で、まさか１０年間も二重生活を続けられる人に見えませんからね。

　いやはや。女のプライド、だと思いました。
　家庭を守るのが、女の価値を決めた時代。いわばそのトップを走っていた敏子。そんな彼女を時代遅れだ、無能だ、と誰が批判できるでしょう。
　彼女と愛人・昭子との対決は見応えがありました。ずっと日陰で生きてきて正妻に噛みつきたい昭子の弱さも理解できますが、私はこの“プライド”の差で敏子に軍配をあげたいと思いました。こうありたい、と思いました。

　そしてこの作品を観ると、いつまでも“私”はきっと“私”なんだろうな、と思います。きっと何歳になっても。
　考えてみれば、１０年前の私にとっての今の私の年齢は「もう新しいことをチャレンジできない」年齢でした。でも全然そんなことはない。体力的には少し落ちたけど（涙）、気持ち的にはあまり変わってないんですよね。
　だからこそ、いつまでも元気でいたいとつくづく思いました。元気でいれば、きっと何歳になっても敏子のようなチャレンジができるはずです。
　年を経ることをそんなに怯えることはないんだという勇気をくれる作品です。

さすがに北野たけしの映画賞やキネマ旬報のベスト１０に入っているだけに見ごたえのある映画でした。とくに突然夫をなくした
六十ちょっと前の妻の心の動きを憎いまでに描き出している。
圧倒的に同時代の女性の共感を得ているようで妻なども「なぜ
ここがわからないの！男ってほんと無神経」などと完全に感情
移入しきっている様子。
例えば愛人（三田佳子）が自宅に来る場面で黒いストッキングから赤いぺティキュアがすけて見えるショットで主人公がまた
怒りがこみあげてくるところなど「どうして？」と言ったら
上のような反応でした。
原作とは多少違いはあるが省略、追加した場面もそれなりに
面白く監督の意図も感じられる。
映画の亡くなった夫役は寺尾聡だがいい人過ぎる。

ＮＨＫのドラマでは、子供達との遺産相続の問題など、もっと細かく描かれていましたが、映画では妻としての立場、女としての意地、一人の人間として、これからどう生きるのかに重点を置いて描かれていたと思います。
もし夫にこんな凄い過去があるなんて知らずに、死なれたとしたら・・突然死なれて、あっという間に老いがきて、子供達は身勝手に遺産の使い道を算段する。
子供達の身勝手さに腹が立っても、結局、巻き込まれて孫の世話をしながら、ささやかな趣味を持って生きていくのが精一杯。
どこの家庭でもあり得そうな出来事を、夫の隠された過去を投げかけることによって、妻でもなく女でもなく一人の人間としての生き方を解いたまさに魂萌える作品です。

最初、定年退職した夫と夫に尽くした妻のシーンを見て、「ああ、理想的なカップル。いいなあ。」と思った。

しかしその優しいステキな夫は、突然死んでしまう。
そしてわかった夫の仕打ち。
大切に育てたはずの子供たちもとうてい母のことを考えているとは思えない。

その絶望の中で真実を探しながら自分自身もいろいろな人と出あい別れる。

林隆三も寺尾聡も風吹ジュンも今陽子もみーんな老けちゃったけど魅力的だ。

老年に一歩ずつ近づいていく主人公の主婦だが、遠い世界の話という映画ではなく隣のおばさんの話のような、とても近いものを感じた。