あるいは裏切りという名の犬

　ＢＩＮさんのレビューとコメント欄の楽しげなおしゃべりに惹かれて観てみました。

　映画って恋愛と一緒で、相性なんざんすねぇ〜。
見た目も中身もちゃんとした誠実なお相手でもなんかピンとこない、これは相手のせいではなく、ただただ相性が悪いということだと私は思います。

　ノワール作品がなんだか自分は体質に合わないようで、ぜんぜん沁みこんでこない。
　男臭い物語ってホントにダメなんだなぁと改めて実感。いや、なんだかとっても損してる気分ではあります。アンテナにひっかからないって、自分の感度が悪いせいでしょう、そういうのって・・・悔しいですッ！！！（ザブングル風に）

　仲間だとか、先輩後輩だとか、ダーティな報復合戦だとかっていう体育会系テイストでもう置いてけぼりなんですね。中１の途中で部活動を辞めて以来ずっと帰宅部だったヘタレな自分としては。しかもそれって美術部だし。新設の部で１年生ばっかりの入部当時は楽しかったのに、２学期から入ってきた２年生グループがアニメ部にしちゃったんだもん・・・。まぁ、そんな話はどーでもよろしいのですが。

　そうなんだよなぁ、なんか簡単に人をボコボコにしちゃう、イイ側もワルイ側も、「敵」とみなした相手に対しては容赦ないっていう世界に、どうしても自分の感性がついて行かないんだよなぁ。

　ダニエル・オートゥイユもジェラール・ドパルデューも、確かにカッコイイですよ。熟成されて男臭さが匂い立ってますもん。お互いに方向は違えど「オレ道」まっしぐらな「生き方」は一緒。

　あ、そうか、これが私はダメなんだ。まっすぐに自分の道を突き進むタフな人に、距離感どぉ〜んと１００ｍくらい感じてしまう。タフって苦手。フラジャイルなものに惹かれるのですね、はかなさとか、繊細さとか。うむ、我ながら邪魔くさい奴だな。

　あ〜、せっかくＢＩＮさん家の「お酒談義」に入れてもらおうと思ってたんだけど。そうですねぇ、フランスだし、ボルドーのこってりフルボディのワインってことにしようかなぁ。カベルネとメルローのガチンコなお味でどうでしょ。私はトーゼン繊細なピノ派ですが・・・？！

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　フランスを代表する二大俳優の競演。そして意味深な邦題。
　どういうわけか『インファナル・アフェア』のような、主人公２人のガチンコ話だと思い込んでしまっていて、「いつ、どんでん返しが起こるのかな？」とわくわくしたまま、そのまま映画が終了しました。
　・・・ええ、勝手に思い込んでいた私が悪いんです。
　でも、何のひねりもなさ過ぎませんか？
　この悪役にジェラール・ドパルデューを使う意味あったんでしょうか？確かに主人公との禍根はあったにしろ、人間的には特に深みもない役柄ですよ。対決っていえるような構図もないし。。
　「あー、すっかり騙された！！」という爽快感を期待していたのですが、違う意味で騙されたような気がしました。
　それとも、もはやこの２人はフランスを代表する俳優じゃなくなったのかしら？・・いずれにせよ、とっても残念です。

うーん。シリアスです。
うーん。男の臭いがぷんぷんします（しかも中年）
うーん。女友達と見に行けるかな？（私は見たけどね）
うーん。盛り上がりどころが、映画ファンとじゃないと分からないところがありま。（笑）

私は好きですけどね。
皮肉がいいよ。

と、いうことで、見る人を選びます。見たい人も選びます。
私は、好きだぞ。この渋い人たちの葛藤と、いがみ合いと、譲れぬプライドとか云々。

淡々と展開するとこが、またいい。

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邦題に惹かれて何気に借りた作品。「犬」という言葉には他人の秘密をかぎまわって報告する、スパイ、また人をののしる意味があるそうで、「あるいは」と接続詞ではじまるタイトルは意味ありげでなかなか面白い。

人間関係や繋がりが、台詞のみでしか伝えていないので最初は関係図を頭に描けるまで多少時間がかかった。
出世欲、金、正義・悪、友情・愛情、様々な思いが渦巻くが甘い感情が一切なく男臭さが漂う、真実だけが正しいことではない、と感じさせる。
淡々と綴られる物語に、くたびれたオヤジ（シツレイ…笑）の出演者たちのこくが混ざり合って、私はなかなか面白く観れました。

観ている最中、ハリウッドならロバート・デニーロなんだろうなぁ、と思っていたら、本当にロバート・デニーロでリメイクされるのですね(笑)ベタだなぁ。

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たまにはハードボイルドタッチで、オヤジ臭いのもいいです。
さすがフランス、オヤジ臭さもコロンの匂いですから。
渋いよおふたりさん。
ダニエル・オートゥイユとジェラール・ドパルデュー、２人の出演作幾つも観ているけど、この作品の２人が一番良かったくらい。

前半はストーリーがなかなか読めない。
なんでこの２人の間に花火パチパチ散ってるんだ？
オイオイ自分に惚れ惚れしてんじゃないよ。
このへんでもうご馳走様かと思っていましたが・・
昔一人の女をめぐって恋の鞘当があったのか・・
レオの妻を見て分かりました。いい女じゃないですか。
この女があいつを蹴ってレオを選んだってこと、これは生涯心の中では煮え湯を飲まされた気分でしょう。たかが女ひとりのことじゃないです。女ひとりで気持ちの在り処ガラリと変わりますよ、ってことで。

もう単なる意地の張り合いではないです。
女で負けた男は権力の頂点を目指すことで、女に代わる価値を見つけあの男を見返そうとする。
権力と正義。秤の両方に載せるには格好の材料ですね。
前半の回りくどさは、スピードと緊張の本番までの前菜。

ドニ・クランの最期の遠吠え。
『ゼア・ウイル・ビー・ブラッド』で、ダニエルがH.W.に向かって叫ぶシーンと同じですね。
ダニエル・オートゥイユ格好良すぎ。
ここまでいけばご立派。

アメリカではこんないい匂いのオヤジ映画、とても撮れないでしょう。やれるとしたらチャールズ・ブロンソン位しかいないね。と思ったらもうリメイク話があるんですね。
えっ！あの人とあの人で・・。すぐ勘違いするんだから。

付録：レオとドニの警視、『メルシィ！人生』ではおバカなオヤジで共演してましたね。