ブラザーフッド

戦争の悲惨さを伝えるためには、きれいごとでは伝わらない面があると思います。日本は平和憲法を変えようという動きの中、軍隊とは暴力とは何かということを痛烈に考えさせられました。戦争はやはり人殺しです。戦争をすれば軍需産業の株は上がるでしょうが、金儲けの為に人を殺すことを正当化して良いのでしょうか？人類はいつになったら戦争犯罪から解放されるのだろう。朝鮮戦争もそんな昔の話ではないのです。私の息子が、徴兵されあんな虫けらのように殺されたらと、考えるだけでも胸が痛みます。日本の軍隊もかつてはあのように、前途のある若者を洗脳して徴兵し、未来を奪ったのですね。一人一人大切な命、人生をあのような悲惨な人生にしてまう戦争とは犯罪の中でも最も罪が重いものです。

※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。

レビューを表示する

　今まで、戦争の悲惨さ、残酷さを描いた映画は数々ありました。しかし、この映画で描かれた内戦の酷さはまったく別でした。国益や民族、宗教の相違により否応なく対峙される兵士たち、あるいはそれまで親交のあった隣人と対立する戦争…でも、これはチェスの駒のように白黒はっきりと敵味方が分かれるのです。例え、不本意であっても。
　しかし、内戦は、民族も宗教も同じ、国益とは自国の利益ではなく、背後にあるアメリカであったり、中国であったりする。敵も味方も徴兵された地域が南の占領下であったか、北の占領下であったかの違いにすぎません。人々は将棋の駒のように、北朝鮮軍にも、韓国軍にもならされます。しかも、民間人でも色分けされ、厳しい赤狩りの対象になり(当然、北ではブルジョア狩りがなされたことでしょう)、罪なき人々の命が奪われることになったのです。
　そんな混沌の中、肉親の情で行動する兄に涙を禁じえませんでした。朝鮮戦争をそんな兄弟愛に置き換えるなんて、甘いとの批判もあるかもしれませんが、狂気に陥った兄が再び立場を換えて弟のために銃を取るラストには、人は守るべきものがあって初めて生きるのだということを痛烈に訴えかけられました。
　なお、朝鮮戦争の戦闘の経緯は知っておいた方がいいです。北朝鮮の奇襲で始まった戦闘は、当初北が半島の南端まで攻略しますが、アメリカを主力とする国連軍が参戦して、形勢は逆転します。しかし、中国国境まで押し返すと、中国人民軍が参戦して、再び戦闘はこう着状態になります。このときアメリカの司令官マッカーサーが朝鮮での原爆使用を求めて、解任され、停戦状態となりました。ですから、映画の戦闘シーンが長すぎるのではなく、事実が酷いのです。

れんげさんのレビューで一度終結するかと思われた『ブラッド・ダイヤモンド』レビューの波。
ディカプリオは、この映画を広めるのに貢献出来ていると思う。

今日レビューするのはチャン・ドンゴンとウォン・ビンが役者としての骨太さを発揮した映画であり、この二人だからこそこれからも多くの人に見続けられるだろう、という朝鮮戦争を舞台とした兄弟愛の映画『ブラザーフッド』だ。

少し前に『ジャンヌ・ダルク』で戦闘シーンの残酷さを酷評したのだが、この『ブラザー・・』に比べたらそうでもなかったと思ってしまった程、とにかくリアルで息つく暇もなく、これでもか！これでもか！と見せ付けられる。しかし、戦闘シーンが「適度に」作られていたとしたらバランスが取れなくなっていたかもしれないのだ。

戦争は家族だけでなく「人格も奪われる」のだという恐怖を何処から感じるのかと考えるとわかる。チャン・ドンゴンがその「狂気」を見事に演じ切っている。ウォン・ビンも途中で人格が変わるのが見てとれる。

弟を除隊させるために必死で戦う兄の気持ちを汲んであげられない程、彼は幼かった・・・１８歳やそこらで、いきなり戦場に連れて行かれ、理解しなさいと言われても無理だったのだろう。
この兄弟の心のすれ違いが切なさ、やるせなさを感じさせる。

この映画は何度見ても涙が出てしまう。
今回も久し振りに見たが、最初からもう泣いていた・・・。
ウォン・ビンはこの少年っぽさを失わないでいて欲しい役者だし、チャン・ドンゴンは出る映画をもっと選んで欲しい。私はこの『ブラザーフッド』と『チング　−友へ−』の彼が好きだ。

韓国では「兵役」が行なわれている。

まだ終わってはいないのだ。
映画を沢山の人に見て貰えるようにレビューの輪を広げて行く他に、私たちが出来ることって何だろう。



−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

ＪＵＣＥさん、有難うございます。私も楽しみにしてます。

私は日本映画と韓国映画は嫌いです。

日本映画は基本的にテレビドラマとの棲み分けが出来ていない。映画である必要が無い作品が多すぎる。そうかと思えば一部の作品はカンヌ狙いの独りよがりの作品で、両極端過ぎて良質なエンターテイメント作品は滅多に無い。

韓国映画の場合は端的に言ってしつこすぎるからです。

なので韓国映画は韓流が日本で話題になりかけた初期の作品を除いて殆ど見ていません。本作は通常の韓国映画とは毛色の違う作品だったので前々から気になっていました。日本国内で思う程ヒットしなかったと言うのも見る気になった要因の一つです。（私の頭の中では「韓国映画＝おばちゃん映画」と言う図式があるので、ヒットしなかったと言う事はいつものベタベタ・ジメジメ映画では無いのだろうと判断しました。韓国映画が必ずしもそうではないと分ってはいるんですが、どうしても偏見が。ゴメンナサイ。）

結果としては本作も特有のしつこさは感じましたが、それが良い方向に作用したように思います。戦争はあくまで舞台設定の為であり、それ程の書き込みはしていないのだろうと言う事前の予想を見事に裏切る「しつこい」描写は戦争映画としても一級品です。そしてこれまた儒教的要素の非常に強い兄弟愛をしつこい程に貫く事でハードな戦争描写とドラマを両立させています。

脚本にいくつかの甘い点や煮込み不足は散見される物の、韓国映画の力量を見せ付けられた作品でした。

見終わった後は、言葉も出ず…ずしーんと来ました。
あまり、戦争物は見ないのですが大好きなウォンビンと演技派のチャンドンゴンが主役で兄弟役というのでチャレンジ！
弟想いのジンテが弟が徴兵に行くのを追いかけて自分も一緒に行くが…。
戦争によって、引き裂かれていく家族・絆・信頼。ウォンビンの決して汚れる事のない純粋で一途な青年の演技は凄く心打たれました。チャンドンゴンは、本当に上手い。弟を除隊させたい上にみずから危険な任務や功績をあげ、人が変わったように次々と人を殺していく様。
そんな兄を見て、理解が出来ず戸惑い、不信感を持ち、心まで離れていく。
自分の大切な人を守る為に、人はこんなにも強くなれるのか…
テーマが凄く重く、観終わった後に考えさせられるストーリーです。あまりにもリアルな戦争シーンに目を覆いたくなる箇所も度々ありました。
もう３回位号泣しました。家族との別れ・死。
ウォンビンがどうしても出たかったと言っていた作品だけあって
スゴク重みがある映画だと思います。