パラサイト　半地下の家族

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アジア初のアカデミー賞受賞作
韓国映画も今までわりと観てきましたがアカデミー作品賞を取る映画かというと、私は微妙
もちろん、韓国映画あるあるがいっぱいで展開も飽きさせず、とても面白かったです
この時代、Netflix配信の映画が何本かノミネートされてるのも、昔からの映画ファンとしては疑問も残ります

スピルバーグ監督のように劇場上映作品だけにするべきという意見と
スコセッシ監督のように劇場、配信含めて全ての映画が対象にするべきという、別れる意見がある中、
反対派の票が流れたのかなとも思いました
けれど韓国のエンタメに注いだ熱意と努力が認められたことは
韓国ものを多く観てきた私にとっては嬉しいのは事実です

この映画で対照的に描かれる貧富の差
建築家が手がけたお洒落な家に住む家族と半地下の狭い家に住む失業中の家族

いきなりのパク・ソジュンさんのカメオ登場にお〜っとなりました
自分の代わりに金持ちの家の家庭教師をして欲しいと頼まれて、
大学生と偽ってそこでアルバイトすることになる長男のキム・ギウ（チェ・ウシク）
まだ小さな弟が落ち着きがなく、家庭教師も長続きしないという母親パク・ヨンギュ（チョ・ヨジョン）からの悩みを聞いた彼は、嘘をつき、妹キム・ギジョン（パク・ソダム）を紹介します
何の疑いも持たず、家に迎え入れ、彼らの言葉を信じて
妹をダソンの美術家庭教師、父親も夫の運転手、母親までも家政婦として雇ってしまうのです

キム家族にとっては、ホント金づる・・・酷い詐欺師集団です

金持ち家族がキャンプに出かけた夜、キム家族たちは留守をいいことにやりたい放題
そして予想外の事件が起こってしまいます
もう、この辺は心臓バクバク、やばかったです
さらにその後の惨劇へと続いていくのです

豪雨で半地下の家に流れ込む下水
そんな時でも豪邸では優雅な誕生日パーティが開催されている
こんな光景を目にすると、自分の人生って何のためにあるのかと思ってしまうよね
長年染みついた匂いは自分では気づかない
それを第3者によって嫌悪感を持って否定された時、こんなにも人を爆発させてしまうのか・・・

「パラサイト　半地下の家族」（2019年、韓国、カラー、132分）。監督はポン・ジュノ（1969生）。
「キム」家の４人（全員失業中）と「息子の友人」１人、裕福な「パク」家の４人と家政婦夫婦２人の11人の集団劇で、個々の性格付けと演技が素晴らしく、先の読めないブラック・コメディ調で進み、最後に驚く結末が用意されている。ボン・ジュノとハン・チンウォンの共同オリジナル脚本。
「キム・ギテク」（ソン・ガンホ）、妻「チュンスク」（チャン・ヘジン）、息子「ギウ」（チェ・ウシク）、娘「ギジョン（パク・ソダム）一家は、天井の低い狭い半地下のアパートに住む。楽天的で仕事が続かず妻に頭が上がらぬ夫、ハンマー投げ元メダリストで頭脳が高速回転する妻、大学浪人の優しい息子、美大浪人でデザイナー志望の娘──証書偽造の裏技あり。友人で名門大学生「ミニョク」（パク・ソジュン）がきて、自分の留学中、英語家庭教師の代行を「ギウ」に頼む。生徒はＩＴ企業社長で温厚な「パク・ドンイク」（イ・ソンギュン）の高校生の娘「ダヘ」（チョン・ギュソ）。妹「ギジョン」が兄の名門大の入学証書を偽造。「ギウ」の指導ぶりを見た婦人「ヨンギョ」（チョ・ヨジョン）は簡単に信用し、娘の家庭教師を許可。「ダヘ」は「ギウ」に魅かれる。「ダヘ」の幼い弟「ダソン」（チョン・ヒョンジュン）は影のある少年。母「ヨンギョ」は息子には絵の家庭教師をつけたい。渡りに舟。「ギジョン」は自分の入学証書を偽造し、「ダソン」の絵画教師になる。「パク」家の運転手に送られる途中、一計案じた彼女は自分の下着を車に残し途中で降車する。翌日、運転手は馘首。代わりに「ギテク」が雇われる。最後は、家政婦「ムングァン」（イ・ジョンウン）を追い出し、母「チュンスク」が代わる番だった。こうして、「キム」家４人は、「パク」家への「パラサイト」に成功。が、幼い「ダソン」だけ、本来別々の家に住む４人の同じ臭いに気づく。「半地下」の臭い。元・家政婦「ムングァン」と秘密の夫「オ・グンセ」（パク・ミョンフン）の「逆襲」が始まる。ここまでがドラマの半分。後半はミステリ、ホラーの要素も入ってくる。
「キム」家の、特に女二人の逞しさ。「半地下」から始まり、やがて「パラサイト」というテーマが出現し、次第に二つが一体になっていく。何という脚本の巧みだろう。

悪くはないけど、アカデミーってほどの映画でもない。格差社会を描いてる割には、浅い感じもある。あの年のハリウッドは不作の年だったんだなぁと（色々あって「ジョーカー」には与えられないし）。それにしても…韓国の底辺社会のあの部屋とトイレは…ないわ…。

空気感がない。是枝作品のほうが芸術性が高い。これがアカデミー作品賞とは同賞の権威も地に落ちたものだ。

本作を観終わったとき、村上春樹の小説「ノルウェイの森」を思い出した。
もちろん、本作とは似ても似つかぬ作品ではあるが、なにか通じるものを感じたのだ。

　　死は生の対極にあるのものではない

生の果てに死が存在しているのではなく、生の中にポッカリと穴を開けた死が、生の周辺に死が、死は生の一部でもあるのだと主人公を通してたびたび語っていたのが印象的な小説だった。

パラサイトという映画、自分の鑑賞スケールだと5分の4までがどうでもいいようなありふれたコメディ。

が、残り5分の1で大きく物語が転調する。

物語は金持ちと貧乏人の共生から始まり、互いに何かを与え、与えられ、持ちつ、持たれつという共生関係が成り立っていた。

ところが、そのバランスが崩れた瞬間、共生は寄生へと変貌する。

一見、コメディの先に取ってつけたようにも思えるほどの真逆の物語が現れる。

宿主を食い殺す寄生の物語だ。

寄生の物語は明らかに共生の対極にある物語ではなく、延長線にあるものでもない。

共生のなかで息を殺して潜んでいた物語。

しかしそれが表層に出てくるには、ある種のカタリスト（触媒）が必要となるはずだ。
一気に化学反応を起こすためのカタリストが。

そのカタリストとは何なのか。

そんな問いかけを投げかけてくるような作品だった。