ウィンターズ・ボーン

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最近やたらと名前を聞くジェニファー・ローレンスという女優の出世作だというので借りてみました。タイトルからして「寒々しい」ので、きっと私向きでは無いと予想はしてましたが、予想をはるかに上回る「寒々しさ」でビックリしました。普通ならレビュー書かないんですが、ここまで寒々しいのは何故か、をちょっと分析してみたくなりました（笑）。

「現代アメリカの田舎」を舞台にした作品（小説、映画）は結構たくさんあって、私もいくつか観てレビューを書いた記憶があります（「フレッシュ・アンド・ボーン」（1993年、スティーヴ・クローヴス監督、メグ・ライアン、ジェームズ・カーン他）「ハイ・ロー・カントリー」（1998年、スティーヴン・フリアーズ監督、パトリシア・アークェット、ウディ・ハレルソン他）等々）。ジョニー・デップの「ギルバート・グレイプ」なんかも同じ部類に入ると思いますが、全てスゴく「寒々しい」んです。そしてそれはとにかく「貧しいから」であるように見える。しかし「現代アメリカの田舎」の貧しさは日本やヨーロッパやアジアの、つまり「アメリカ以外の」田舎の貧しさとは本質的に違うように私には思えるし、同じアメリカでも「都会」の貧しさとも違う気がする。「都会」のエラく貧しい貧民街とかのオハナシもあるけど「田舎」と違って「閉塞感」が無いからあまり「寒々しい」感じはしない。イザとなったら「出ていける」し、ちょっと場所を換えれば「チャンス」に溢れている、という「幻想」こそ「アメリカ」そのものだという気がするんだけど、「田舎」は違う。この「閉塞感」は彼らの「劣等感」に起因しているように私には思える。物理的に（移動手段が無いとか先祖の墓があるとか）「出ていけない」んじゃなくて彼らは「出て行こうとしない」んです。何故かと言うと、彼らは「失敗者」だからです。外に出て行って「成功者」を見て、自分たちの「失敗」を「確認」するのが嫌なんだと思う。元々彼ら（の先祖、と言っても高々2，3代前の祖父ちゃんか曾祖父ちゃんですが）は「成功」（カリフォルニアで金鉱掘り当てる）の夢に破れて、または西海岸まで辿りつけずに途中の場所に居ついてしまった「他所者」なんですね。「貧乏」というのは「相対的」なもので、世の中には「裕福な」成功者もいる（ことを知っている）から「貧乏」が存在するんで、ほんとに明日の食い物に困るような貧乏人は「現代のアメリカ」にはそんなにいないし、本作に登場する人々もそういう「本物の」貧乏人じゃない。彼らが「寒々しい」のはつまり「貧乏」だからじゃなくて、「失敗者」の劣等感に凝り固まった「暗い」顔をしているからだと私には思える。彼らが過剰に固執する「掟」が無理で無意味で不自然なのも、深い理由があって長年の歴史を潜り抜けて定着したという「重み」が全然感じられないからですね。ただの「経済的野心の挫折による劣等感」に根差している、という意味では実に「アメリカ」らしいとも言えるのですが。
ジェニファー・ローレンス。本作だけで評価するのは可哀そうなんで保留ですね。上手いのかもしれないけど、この役は上手く演じれば演じるほど女優（女性）としての魅力は減退すると私には思えます。「強く逞しい」のは構わないけど、「他者」や「周囲」への怒りを貯め込んで表情が暗く醜く変貌して行く少女、なんて如何なる「フィクション」にも「不要」だというのが私の「映画」哲学（と言うほど立派なモンじゃありませんが）ですから（笑）。

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舞台は、真冬の米ミズーリ州の山村。17歳の少女リー(ジェニファー・ローレンス)は、弟とまだ幼い妹そして病気の母の面倒を見ながら日々暮らしている。
父は麻薬で逮捕されたあと保釈金を支払い出所したらしいが、その後、消息不明になった。ある日、父がその支払いに家や土地を担保にしたことを知る。
保安官に、このままでは家を立ち退かなくてはいけないと言われる。父を探すため、親戚や知人を尋ねるが、皆口を閉ざす。いったいなぜなのか・・・。
食料も僅かになりマキも残り少なくなった。弟妹に獲物を獲るため銃の使い方を教える。弟にリスの捌き方を実践しやらせる。それを煮込んでシチューにする。
この山村ではウサギや鹿の肉が重要な食料なのです。家族が生きるためにすべきことをリーはしっかりと理解し頑張っているのです。
村の人々がリーに冷たくするのは、父のせいなのか・・・。その後、父が村の掟を破ったことを知る。そして、殺されたことも・・・。
父の死んだ証拠が欲しいリー、それがないと家や土地を取られてしまうのです。父の骨が見つかればいいのだが・・・。ラストはとても穏やかなシーン。

☆孤立した真冬の山村なので、太陽の陽射しが少なく最初から最後までずーっと暗い状態でした。
世間から閉ざされた村で家族を養う17歳の少女そして冷酷な村人達・・・とストーリーも暗かったです。
17歳の少女が家族を守るために頑張る姿に応援し、そして感動しました。。。

Poor White Trush(ゴミ屑白人）の社会の生活を描いた映画だ。南部に多い白人最下層のことだ。彼等は独特の「掟」を持ちこの映画の場合は共同で違法薬物の製造という生業に従事している。
主人公の女の子は「掟」を破って消えた父親の行方を探し求める。しかし一方で父親が「掟」を破ったことを恥じ共同体の仲間に捜索の助けを求める。身を守るために作った共同体の結びつきはかくも強い。
１７歳の女の子の精神的な強さには舌を巻く。この強さの源は貧しさだけが原因ではなくアメリカ人の中央政府の干渉を嫌い自分の力で生きていくという考えを体現しているようにだ。
中央政府には国として最低限の事すなわち軍事、警察、契約の履行の保障だけを求めるLeave us aloneの思想の根源を見たような気がする。
このような人々の多くが映画のように経済的問題から軍隊に応募しイラク、アフガンに派兵されるというのは皮肉である。
今米国で問題の健康保険で非保険者が４７００万人もいる原因の一つにこの思想があり。保険料を払って政府に守ってもらうなんてまっぴらなのだ。
画面も汚く金もかかっていない映画だが主人公の強情で素朴な顔を見るだけでも価値があった。

評価７４点（１００点満点）
心を病み廃人同様になつた母親と幼い妹弟を抱えて全てを切り盛りする１７歳の少女リーの背負った荷物の重さは計り知れない。
舞台はミズリー州の貧しい山間部地帯、そこには都会の華やかさや喧騒はどこにもない。父親は消息不明のまま、ドラッグディーラーの罪で起訴されている父親は保釈金の不足分として家や山林を担保にしているという。父親が裁判に出頭しなかった場合、住んでいる場所も追い出されてしまうという更に過酷な宣告、ともかく父親の行くへを探さなくてはならない。
親戚や周りの人々は父親の話になると明らかに拒否反応を示す。どうも父親は地域の掟に背く行為をしたようなのだが、この特殊地域の実情がちよっと判りずらいところ。
あちこち訪ね歩くリーに対しての反応は冷たいものばかりか父親のことについてこれ以上詮索するなという圧力まで受けてしまう。血をわけた父親だから探しているのではない、このままではリー自身が背負った荷物におしつぶされ、家族は本当に路頭に迷うことになる。
事情を知っていると思える地域の長老に接触しようとするリーを待っていたのは罵声とリンチ、あまりにも理不尽すぎる現実に耐えようとするリー、そして衝撃のラストへと進んでゆく。
でも最後にちよっと小さな希望の光が見えてきてなんとなくホツとするのが救い。ドラッグ漬になつている叔父ティアドロップも実はいい奴なのかも。
この過酷な運命を背負いそれでもけなげに家族を守ろうとする少女リーを演じているジェニファー・ローレンスの好演は秀逸。

これは辛かったなー・・・・・

アメリカの貧困層を描く作品も多々あれど、
これ、17歳の少女が
病気の母、幼い兄弟を抱えながら
絶望と闘う・・・・

っていうか、闘わざるを得ない・・・

どん底を這い回る少女の物語って感じ。

なにがどん底かって
上記のとおり母・兄弟を抱えながら
とある犯罪に絡んで裁判に出頭を求められた父が失踪
その失踪した父が家や土地（森？）を担保に入れてたっていう・・・。
父が裁判に現れなければ住む所を失い
路頭に迷う。

ここで、親族やイイ人が現れて
手を差し伸べてもよさそうなのですが、
周囲は冷たかったり、イヤなヤツだらけ。
リンチされちゃって少女はズタボロになったりもする。
父の行方は誰も話したがらない。
一体どーなってんだ・・・

でも・・・・

自分だけじゃないから生きなきゃいけない。

逃げることもできない。

観ていて「誰か手を差し伸べてー！」って
言いたくなってしまいます。

それだけでなく、失踪した父の行方を捜すにつれ
どうやら父は死んでいるかもしれない
ということまで判明。

ってことで、父の真相を探るサスペンスのような
展開も織り交ぜ
暗く・静かな映画ながら最後まで全くもって
目が離せませんでした。

一応少女は笑顔でしたが
この先の暗雲のたち込めっぷりはハンパ無いです。

この少女はどれだけ苦労して生きていくのだろうか。

「フローズンリバー」と並べて評されるのも判る気がします。
ただ、こちらは少女ですからね・・・・
余計に辛さが伝わってきますね。

重たいけど観て損は無いと思います♪