女優霊

※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。

レビューを表示する

制作年がだいぶ前、という点を考慮しても、特に感慨が残る映画ではない。逆に「この人、なんで恐怖に引きつった顔してんの？」とか「そこはもっと怖くできただろうに……」と思うシーンが多く、ツッコミどころが満載だ。ストーリーの時制は合ってるが、ホラー表現の時制がおかしい、と思われるところもあり、全体構成の不整合ゆえに「恐怖感」まで気が回らなかった。

最大の瑕疵は、撮影していないはずの映像が写っていて、監督はその映像を以前観たことがあると主張するのだが、実際には「お蔵」になった映画のものであり、その映画には女優の死が絡んでいた、というこの作品の核となるはずのエピソードが、その後の展開にほとんど活かされていないことだ。
お蔵入り映画の〈階段を昇る男の子〉が監督の過去とつながっていくのか……と思って観ていたが、そういうわけでもない。女優の背後に写る少女らしいモノにまつわる因縁が語られるのか、というとそうでもない。では、その少女らしいモノの写り方が恐ろしげなのか、というとただ白塗りの顔に歯の見えない虚ろな口がちょっと不気味なだけ（寺山修司映画の緑魔子の方が不気味だ）。

他にも、主役の女優が事務所と揉めている件がホラーの本筋とは全然関係なかったり、ロケバスの後ろの席に写っている〈白い少女〉が人形にしか見えないとか、川面を流れる血潮から一気に恐怖の撮影現場！……ではなく劇中劇のワンシーンでしたとか、転落死する若い女優の死に方がそれほど異様ではない、など。悪い意味で「予想を裏切る」展開に、次第に腹立たしくなる。それでいて、最後に驚天動地の壮大なオチがあるかといえば、それもない。スカされ続きで、イライラする。

しかも、劇中劇がどうみても面白くなりそうにないのが、さらに残念なところ。

そうなると、ネガティブ感はキャスティングや演出にまで及ぶことになる。新人監督役が柳ユーレイである必然性がまったく感じられないし、制作側の人間の演技が全体的にコソコソしていて陰鬱。そんなところが陰鬱でも怖さには繋がらない。新人監督の演技は意志薄弱にしか見えない。お前、それでよく監督任されたなぁ、という感じ。

この映画がホラーだといえるのは、オモテのホラー表現ではなく、『このままじゃ、この映画が「お蔵」になる』と焦る制作側の恐怖だ。そこに感情移入できれば、確かに恐ろしい。

映画に登場する「本編」の映像が儚く美しい点は、評価できる。そこだけかなぁ、観るべきところは。
「名作」の先入観を持って観るとガッカリするのは間違いない。

冒頭、女優が天井を見上げる場面から嫌〜な雰囲気が出てて良いですねえ、気合い入ってます。
さて、本作で最も怖い部分として、恐らく多くの観客は謎のフィルムと撮影中の映画がリンクする場面を挙げると思います。それは一体何故でしょうか？
僕が考えるに、映画内映画（謎のフィルム）の中に居た幽霊が、映画内（撮影所）に侵食してくる、つまり僕たち現実世界の観客に一歩近づいてくるからでしょう。
現実、映画内、映画内映画と隔てられていたモノが忍び寄ってくる恐怖を無意識に感じ取るということ。

そう考えればラストの笑い声も、こちら側（現実世界）へ飛び込んでくるぞ、という前振りのように思えて中々怖くはありませんか？
ほら、もうすぐあなたのところにも・・・

※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。

レビューを表示する

ネットで怖い映画の話になると、よく紹介される映画です。
とても期待してました★

昔ならではの映像の粗さと、淡々とした話の運びはよかった。
あまりよく知らない俳優陣で、それがかえってリアリティもあったし。

それだけに、幽霊が顔出しした時点でアレレ？ってなっちゃいました。
この時代の技術力ゆえなのでしょうか。
お化けのコスプレした人が出てきたようにしか思えない(笑)

一番大事なところが残念な感じでした。仕方がない、古い映画だものね。

怖い、怖いというんで見てみたのですが
特に怖いというものではないかと。

映像で怖がらせる。とか、雰囲気で怖がらせるといったものでもないです。

怖くなりそうなシーンはあるのですが、幽霊がちらっと出てくるだけで、
ちっとも怖くなく、なんとなく肩透かしを食った気分です。

20年くらい昔の映画なので、当時はこれで怖い印象を持ったんですかね。

ちなみに、自分が怖面白いと思っている国産ホラーは
ノロイと呪怨です。^ ^;

この作品を初めて観たのはたぶんＷＯＷＯＷだったと思うが… 何と言うか…「精神的にジワ〜と来る感じ」がとても怖かった…何故ＤＶＤ化されないんだと不思議（権利の問題？）に思っていたのだが…ついにＤＶＤ化され…久し振りに観たんだが、やっぱり…今観てもかなり怖い…派手な演出はないのだが、とにかく「ゾクゾク」する…

ただ…これでニュープリント＆HDマスターされているらしいのだが…古い素材なのでこれぐらいが限界なのだろうか？ まぁ…これはこれで逆にクリアでないざらついた感じが、不気味な雰囲気があって良いのかもしれないけど…
この時期の作品のＤＶＤ化は、単純に古い素材をダビングしたようなもの（例えば黒沢監督作品「降霊(KOUREI) 」など）が多いので…それに比べれば随分と良いほうか…音声は問題なくかなり良い感じだしね♪

中田監督といえば「リング」がメジャーだが…実はこの作品で注目されて…「リング」を製作したはずだと記憶している。だから個人的には、この作品が今の「Ｊホラー」の原点だと思っている。

追伸・実はさらにこの作品以前、確か中田監督が無名時代に、何かのTV番組用として撮影した「シエラデコブレの幽霊」と言う幻の短編映像があるはずなんですが…これまた知る人ぞ知る超怖映像です(^-^)