おと・な・り

お隣さんが 珈琲豆を挽く音まで聞こえるって、
どんだけ壁が薄いアパートなんでしょうか？（笑）

それにしても、じらしますね（笑）

ひとりで居るときの顔、これが好きな相手は、何が起こっても、どんな経験があっても、ずっと好きでいるような気がする。
でも、ひとりで居るときの顔って、見る機会ってない。
想像だけ。
この映画のキャッチフレーズは、「初めて好きになったのは、あなたの生きている音でした」
相手の、ひとり暮らしの生活音が好きであれば、ずっと好きでいられるのじゃないかな。

古いアパートって、いい。
住むと、暑くて寒くて、雑音はうるさくて、大変な部分はあるのだけど、
たくさんの人の人生の一部を感じると、ちょっとうれしいときもある。
1人暮らしも長いので、1人暮らしの部屋のシーンを見るのも好き。

コーヒー豆を挽く音
キーホルダーの音
ドアチャイムの音
鼻唄
フランス語

気持ちのいい音

実際には、生活音は美しい音ばかりじゃないし、
隣人なんて、アホな若者か、うるさい外国人とかの確立のほうが高いし、
自分のタイミングに合わない音をたてられて嫌な思いをしたり、
第一、美しい若い男女、という確率も高くない。
そのうえ、そんなシチュエーションなんて、
映画ならでは、なのだけどね。

熊澤尚人監督だったのを観終わって気づいたのだけど、、「ニライカナイ〜」は、まぁまぁ、「虹の女神」は青臭さが好きでした。
きれいな男だ、としか認識のなかった岡田准一くんのファンになりそう。
麻生久美子の透明感もぴったり。
ある人が悪意として現れるシーンが、ちょっと馴染みにくい（唐突）かな、と思ったし、
谷村美月のうるさい役がウザすぎる、とか、
シンゴってヤツが甘すぎる、とか、
若干気になるところもあったけれど、なんか、とてもよかった。
うん、よかった。

それぞれの作品に、作り手を知らないのに心を動かされる。
ひとりで泣いていたから、壁を挟んで、そっと唄ってなぐさめる。
なんて素敵。
そういう静かな愛情に、何だかとてもジーンとしてしまった。
（私、疲れてるな……）

恋愛映画は得意ではないけれど、
運命の出逢いなんて、この世にはないと思っている私なのに、
ちゃ〜んともどかしい思いをし、
ちゃ〜んとドキドキしてしまった。
観終わった後、「わぁ…！」と思って、ニッコリ「いいじゃん」とつぶやいた。
たくさんの映画を観ているのに、そんなふうに言える映画って、そんなにはない。
エンドロールも素敵で、終わる瞬間まで、観ている間ずっと幸せな時間を過ごしました。

　予告編に誘われて借りました。
　一言で言うなら、岡田准一、麻生久美子さんのファンなら大満足、そうでないなら、中だるみ覚悟で観る事になると思います。
　お互いに仕事でモヤモヤしてる事を延々と見せられて、麻生久美子さんはいいとして、岡田准一の方はいらいらする、はっきりしろや！と言いたくなる。しかも、友達の彼女に土下座する場面があるんだけど、おいおい、その程度で土下座するんじゃねえよ、みっともない！て思ってしまう。
　ただ、最後の30分ほどから、いい感じの展開になってきて、そこは面白かった。
　麻生久美子さんという人は魅力的だけれど、彼女のファンの方々、ごめんなさい。この方、ものすごく写真写りいいですね。

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妙に登場人物を突き放したような演出をする映画だなと思っていた、途中ヒロインに小説の創作のために近づいてきたコンビニの店員が音と運命についての話をするが、そこでこの映画のことがやっとわかってきた、コーヒー豆の音や鼻歌、フランス語の練習の会話の声、そういう目には見えないつながりののなかに運命のような神秘的なものがあるということを伝えたかったのだ、実際コンビニの店員の美しい片思いはいんちきだし、花屋の男性店員の彼女の病気も嘘だった、一見美しそうにみえる人間関係が実は中身が空っぽだというのは、今のネットで繋がっているような関係をよく表していると思う、だからラストの出会いが真実のような余韻を残す。

どこか古い感じのする映画。
ここまでわざとらしいすれ違いは、「君の名は」とか「愛染かつら」の時代まで遡らないとお目にかかれない。

今の東京。季節は冬のようだが、郷里にはコスモスが咲いているので秋らしい。

郷里といっても、東京の隣あたりの県から出てきた彼ら二人は、偶然、アパートの隣同士になった。
中学の同級生だった。育ちも感性も似ているのだろう。

その対極に、大阪弁丸出しの美月や、地方出身の作家志望の男を出してきたのだろう。

内気で、自信がなくて、傷つくのが恐くて、自己主張が苦手。３０という年も気持ちを焦らせる。
どこにでもいるような似た者同士が、お互いの顔も知らず、アパートの薄い壁越しに相手を思いやっているうちに、うすうす惹かれあっている事を自分でも気付かないという、かなり遅鈍な二人の設定に、いささか無理がある感は否めない。

特に後半、同窓会の誘いの電話あたりで、声で気づかせなくて、何で「おとなり」というタイトルなのか？
基調音なんて「音」にこだわっていながら、ラストシーンのために、テーマそのものを潰してしまっている。しつこいすれ違いシーンもその一つ。

パープルローズさんがおっしゃるように、美男美女の組み合わせだから何とか見られるが、この二人がお笑い芸人だったらこのドラマ成り立つだろうかと、途中で思ったのも事実。

何度も出てくる”はっぴいえんど”の「風をあつめて」がこの映画の基調音です。作詞は松本隆氏。

「風街詩人」と言われた松本隆氏の世界と似たような空気感を出そうとしたのかもしれません。

エンディングの”ハッピーエンド”を声だけで表している演出も一応「あり」でしょうが、お世話になった「風をあつめて」をちゃんと流す方が礼儀だと思います。

（蛇足）
松本隆氏のことは、「松田聖子論」（小倉千賀子：著）（朝日文芸文庫）が面白い。この映画のテーマ解説としても読めます。