恋愛睡眠のすすめ

これ、あれでしょ？

恋愛初期段階に誰もが陥る素頓狂ワールドだ！
ガエル君のは激しくはた迷惑で、社会人として
ダメだけど、お馬で空飛ぶくらいはみんなしてるよ。

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夢の中ど飛ぶシーンのあの空気の粘り、閉塞感、遠近の感じが見事だと思った。
私は空を飛ぶ夢はたいていあんなふうに重たい空気の中を泳いでゆくから、ちょっと息苦しいくらいだった。
自分と背景がまじりあったり遠くから見下ろしたり、そこを通過する時間がねじれたり。
エターナル・サンシャインの悪夢の感じをもっとおもちゃ箱みたいにして、色彩も質感も可愛らしくつくられていた。

夢の感覚をここまで再現できるなんて天才だなぁ、と思う。
昔あまりにも毎日強烈な夢をみるからいつか自分の夢をCGとかにできたらいいなぁと思っていた。
それを、ミシェル・ゴンドリーは実写版で、だもの。

夢のインパクトに比して実際のキャラクターがとてもほんとうらしい曖昧さで描かれている。
夢のシーンの強さにひっぱられてなにか別のところの期待をしていたんだな。はじめのうちはこの主人公の性格がとらえづらかったのだけれど、だけどおわってみるとそれが良かったのだろうと考えるようになった。

なまいきシャルロットは大人になったなぁ。
はじめ、ゾーイ役の子がシャルロットだと思ってしまった。
私の感触ではシャルロットはあんなとんがりかたをどこかに含んで成長するはずだった。
でも実際はなんとやわらかに、淡いままなんだろうか。艶のある淡さは、抜けた淡さになった。
時間を感じる。
どこに、どんなふうに、なにを置いてきたのか。
最後のシーンのやさしい手に、ああ、だからこんなにもあたたかなんだな、と思ったら、彼女のほかの作品も観たくなった。


フェルトやセロファンやコットンや、卵のケース。
クラフト紙、色とりどりの銅線。
鮮やかで可愛い作品でした。

奇作、といっては失礼ですが、私は好きです。
夢の世界と現実世界の交差がおもしろい。段ボールの車（これを運転しているのは、ちょっと無理がありましたが）、フェルトでつくったような電話、セロファンの水、全てがかわいい。一秒のタイムマシンとか、奇想天外な発明品が出てきますけど、ものすごく凝っているから（見た目はこの上なくチープですが）、そこだけ見ていても楽しめます。

主人公のステファンは全然やる気がないし、ほとんどオフィスには来ないのに、上司は首にしないんですね。あの二人の関係も面白い。クラブで鉢合わせするシーンは笑いました。「パンクなんだ」、ってそんなオチでいいのかというぐらい、適当で面白かったです。

あったかい映画だなぁと思いました。現実逃避の結果が、こんな夢だったら私も入ってみたいわなんて思ってしまった。

ガエル・ガルシア・ベルナルの情けないけどかわいい姿に、女性ファンが増えること間違いなしではないでしょうか。

　ＢＳで録画しておいたものを鑑賞。

　最初は眠くてしょーがなくて、主人公みたいな自我肥大の妄想男はちょっと勘弁だったし、やたら手作り感いっぱいなのも「どーだ、このぬくもり」的なうっとうしさを感じてこりゃダメかもと思ったんだけど、最後の最後ロフトの夢でやられた。あの白い船、フェルトをかがった刺繍糸のステッチ！ブランケットステッチに萌えてしまうのは小学生の頃の甘酸っぱい記憶が呼び覚まされるせいか。うう〜む、わたしゃここへ来てようやくティム・バートンの縫い目フェチが理解できたよ（笑）。恐ろしいことに子供の頃「趣味は手芸」と公言していた自分。赤面。そんなラブリーな少女がその後「精神異常者の集い」を踊り狂う青春期を迎えようとは誰が想像しただろう。

　ともかく。あのラストでザワッと鳥肌が立ってちょっと鼻の奥がツンとなって、それまで明らかに退屈してたのが自分の感情の大どんでん返しにビックリして、「こりゃ、一体なんなんだ？」と、そのままもう１回観直してしまった。

　２回目を観て感じたことは、これはあくまでも個人的な印象だけど、ミシェル・ゴンドリーは映像表現という手法（＝映画）をそのまま主題にしている感じがして、その辺がちょっとゴダールっぽいなって気がしたのですね。映画愛というか創造愛（？）を作品に注ぎ込むやり方、姿勢がそんな風に感じられる。これは次作「僕らのミライへ逆回転」（08）にも受け継がれているんじゃないかと。本作では全篇に繰り広げられる主人公の「夢」の世界を、様々な質感のモーション（＝動き）で見せる（試す？）ことに心血が注がれている（笑）。カレルゼマン的な幻想世界やクローネンバーグみたいな機械と生物の融合、ノスタルジックなストップモーション・アニメにＢ級犯罪映画仕様etc・・・とまぁ実にカラフル。とにかく、遊べるだけ遊んでやれってな悪ふざけがエンエンと続く。かと思えば「現実」の世界でも１分タイムマシンのリズミカルな編集なんて、物語をほんのちょっぴり解体するというミニマムな反逆をやってのけている。ガエル君となまいきシャルロットの無意味な会話、眼鏡の後ろを触ると体の一部みたいでしょとか自分もmy老眼鏡でやってみたが訳分からん、そういうヘンテコな空気も即興的に思えてヌーヴェルヴァーグ風に見えた。

　そして２回目もラストで鳥肌アゲイン。全く質感違うけどアルベール・ラモリスの「白い馬」（53）を思い出してしまった。ん〜、この余韻はちょっと泣きたくなる。手触りから想起される心地良さが心に響くっていうのも、自分の映画体験においてこれまで無かったかもなぁ。う〜む、実に不思議な作品だ。ふにゅ。

夢ってとてもファンタスティック。
夢の中では誰もがファンタジスタ。
気持ちよい夢を観た後は、誰かにそれを話したい。
話したい、話したい。
だけど学校へ行くまでの間に。
誰かに教える前に。
正確な輪郭が失われてしまう。
ファンタジスタである自分が作り上げた唯一無二のファンタジーは、一番良かった時の輪郭じゃなくなっていく。
出来たてホカホカじゃなくなってしまう。
そうじゃない。
こういうんじゃない。
ここはもっとこんな感じだったような・・・
匂いや。
光や。
肌触りや。
味や。
五感で感じること。
時には六感まで働いて感じていたことが、上手く伝えられない。
そして、結局他人の夢の話を聞いたところで。
絶対に最高の状態では感じとれない。
夢ってそういうもんだと思う。
自分にだけ与えられた、とても孤独なプレゼントだ。
自分すらも受け取れないことが多い、孤独なプレゼントだ。
だからミシェル・ゴンドリーの夢の素晴らしさを全部理解できっこない。
出来るわけがない。
わかったふりも無理だし。
奇想天外な世界観は可愛らしく、ラヴリーな雰囲気。
少しの寂しさを常に画面に漂わせているのも好きだった。
兎に角、アイテムがステキ。
ガエルもシャルロットも良かった。
一番好きなのはオープニングの楽しそうなガエル君。
ステファン・テレビのシーンはどれも好き。
それとあのタイムマシン。

観終わったあとの気持ちも、朝目覚めたときと似ていた。
あれ？夢観たっけな？
面白い夢だったような・・・・
つまらなかったような・・・
というか夢観たのか？

フランス映画なのに英語とスペイン語も飛び交って忙しい・・・・・