ストロベリーショートケイクス

「音声が聞き取れない。」邦画でよく陥る状況ですが、こんな理由で鑑賞を止めた経験は初めてです。
ＤＶＤ機は比較的新しいので、初め、テレビがいかれたかと思って音声やコードをチェックしました。
問題無いので次に、他のディスクを挿入してみてＤＶＤをチェック。それでも、無問題。
「そうだ、きっと、このディスクが不良なんだ。クレームだな。」と思いながらもレビューを読む。
ありました…音声クレームが、いっぱい…

これにまともにレビュー書いてる皆さんは、映画館で見た方かヘッドフォンで鑑賞してる皆さんでしょうか？
こんな形で、不満が渦巻いたり、余計な作業をさせる作品を巷間レンタルしている事に疑問を感じます。
人気が高く非常に借りにくい作品ですが、今後レンタルされる方は、注意が必要ですよ。
書かずには居られない久々のレビューになりました。

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久し振りに愛おしいと思える邦画に出会えた気がする。
観るならこれは絶対ひとりで観たいと思っていた。
だからこうしてひとりで観れてやっぱり良かった。
「そんなところまで見せるの？というところまで
土足で踏み込んでしまっている。」そう気づく頃には
私はもう彼女たちの一部になっていた。
過ぎていく日常の中では交わされる言葉もつぶやくグチも
テレビの音量にすればこんなものかもしれないなぁ。
「え？聞こえなかった」音量上げて聞きなおす。
「なんだそんなことか」時計のアラームがうるさい。音量戻す。
台詞全部を拾えないことすら肯定させようとしているのかな。
でも私は全てを拾った。リモコンで。その作業が私をよりいっそう引き込んだ。入り込ませた。そこにキャメラなど無いかのように、ただ自分で在りつづける彼女たち。仕草ひとつ、溜息ひとつこわいくらい無防備で痛々しい。この映画が「リアルかどうか」は観る人がそれぞれ決めればいいと思っているし、「これはこうっていう確定」も取り敢えずいらないけれど、私はすごく近くに感じたし同時に愛おしさが込みあげてきたなぁ。
アタシあんたのこと嫌いだった。　別れ際そう言い笑って握手をする２人のシーンは、簡単には忘れないと思った。

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観る人の性別、年齢、生き方によって見方が変わってくる作品だと思いました。人生も半ばを過ぎた平凡な男としては衝撃的な場面もあって刺激的でした。
秋代は個人的に好きですね。お客に「チェンジしますか」と語る場面が妙に悲しげで、ニヒルさが漂う魅力的な女性だと思います。いつも棺桶で眠るなんて死を絶えず意識している感じがしました。本当に好きな男には実にシャイで、彼の汗がついたタオルを嗅ぐシーンに彼女の一途さを感じました。実家から送ってきたと嘘をついてスーパーのトマトを持って彼の部屋へ行ったり、彼が恋人といるのが分かってトマトを投げ捨てるなど、純でウブな所もあり、可愛そうで観ていられませんでした。好きな男に抱かれた後の至福の顔や、最後に好きだと告白する場面には胸が熱くなりました。死ぬのではないかと心配しましたが、ラストの明るい表情をみてホッとしました。
ちひろは一番周りに多そうなタイプですね。好きな男の前では可愛くシャイで、ずっと彼のそばにいたいと願う所は確かに可愛かった。また自分で作ったシナリオ通りに進めていく、観ため以上にしたたかな所もある女性ですね。ただ、彼氏に会えない寂しさを別な男で紛らすところなど、現代女性の危うさも感じられました。今は普通なの？
塔子は、弱さを決して他人に見せようとはしない健気な女性ですね。彼女にとってはイラストを描く事は身を削る事のように思えて創造的な仕事の大変さがよく分かりました。４人の中では一番大人だと思いましたが、崩れだしたら一番、危ないかもしれないとも思いました。
一人の女性にスポットを当てるのではなく、４人の女性のそれぞれに迫るこの手の手法も悪くないなと思いました。タイプの違う女性の姿は女性の様々な面を見せてくれ、考えさせられました。

独断オススメ度　８６　　　秋代の今後を見守りたい度　９７

池脇千鶴がいいですねー　ほんとにいいです。何度も観たくなる映画です。

’ジョゼと虎と魚たち’という映画で池脇千鶴の体当たり演技に感動したので、彼女の出演作品を総なめしてたら、この作品にめぐり合いました。
本作品でも女優としての存在感を示してくれたと思います。

全編を通じて、４人の女性の荒唐無稽ではない、少し特殊だけれど十分リアリティーのある設定で淡々と且つリズミカルにストーリーは展開します。
ドラマ性はないんですけれど、４人の生き様を描きながら、女であることの切なさを訴求してます。

小津安二郎が戦前の社会的には人格をスら与えられないケースのあった女性に、これからは人間として社会性を与える口火をきるというテーマで、原節子を主人公にした作品群を残してます。
反対にこの作品は社会的には女性が一人で生きていかなければならなくなった時代で、男性に依存するべき部分が欠落している女性を切々と描いてるように感じました。

勿論、男性も女性も社会的に自己満足している人も居ればそうでない人もいるわけですから、女性だけの問題ではないのかもしれません。
ただ私は男としてはそういう課題は太古の昔から宿命として与えられていて、女性の場合は長い間、一人で生きていることを要求されてきた事例は
マイノリティーだったのが、現代社会ではそうでもなくなったということが背景として上げられるのではないかと感じます。

少し、映画品評では大袈裟になりすぎたかもしれません。私はこの映画を見て、いい映画だなと思う反面、非常に思い十字架を背負った女性が累々と出てきてるんだよというおぞましさを感じます。