太陽 / イッセー尾形
太陽
/アレクサンドル・ソクーロフ
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全体の平均評価点: (5点満点)
(102)
解説・ストーリー
ロシアを代表する映像作家アレクサンドル・ソクーロフ監督が、昭和天皇ヒロヒトに焦点を当て、敗戦直前からマッカーサーとの会見を経て人間宣言を決断するまでを静謐なタッチで描く。1945年8月。疎開した皇后や皇太子らとも離れ、地下の待避壕か唯一残った研究所での生活を送る天皇。敗戦が決定的となる中、御前会議では陸軍大臣が本土決戦の用意あり、と息巻く。それに対して国民に平和を、と願う天皇は降伏を示唆する。空襲の悪夢にうなされ、皇后と皇太子の写真を優しく見つめる天皇。やがて、連合国占領軍総司令官ダグラス・マッカーサーとの会見の日がやってくる…。
ロシアを代表する映像作家アレクサンドル・ソクーロフ監督が、昭和天皇ヒロヒトに焦点を当て、敗戦直前からマッカーサーとの会見を経て人間宣言を決断するまでを静謐なタッチで描く。1945年8月。疎開した皇后や皇太子らとも離れ、地下の待避壕か唯一残った研究所での生活を送る天皇。敗戦が決定的となる中、御前会議では陸軍大臣が本土決戦の用意あり、と息巻く。それに対して国民に平和を、と願う天皇は降伏を示唆する。空襲の悪夢にうなされ、皇后と皇太子の写真を優しく見つめる天皇。やがて、連合国占領軍総司令官ダグラス・マッカーサーとの会見の日がやってくる…。
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「太陽」 の解説・あらすじ・ストーリー
解説・ストーリー
ロシアを代表する映像作家アレクサンドル・ソクーロフ監督が、昭和天皇ヒロヒトに焦点を当て、敗戦直前からマッカーサーとの会見を経て人間宣言を決断するまでを静謐なタッチで描く。1945年8月。疎開した皇后や皇太子らとも離れ、地下の待避壕か唯一残った研究所での生活を送る天皇。敗戦が決定的となる中、御前会議では陸軍大臣が本土決戦の用意あり、と息巻く。それに対して国民に平和を、と願う天皇は降伏を示唆する。空襲の悪夢にうなされ、皇后と皇太子の写真を優しく見つめる天皇。やがて、連合国占領軍総司令官ダグラス・マッカーサーとの会見の日がやってくる…。
「太陽」 の作品情報
「太陽」 のキャスト・出演者/監督・スタッフ
太陽の詳細
収録時間: |
字幕: |
音声: |
115分 |
日本語 |
1:ドルビーデジタル/ステレオ/日・英
|
レイティング: |
記番: |
レンタル開始日: |
|
KWX321 |
2007年03月23日
|
在庫枚数 |
1位登録者: |
2位登録者: |
9枚
|
0人
|
0人
|
太陽の詳細
収録時間: |
字幕: |
音声: |
115分 |
日本語 |
1:ドルビーデジタル/ステレオ/日・英
|
レイティング: |
記番: |
レンタル開始日: |
|
KWX321 |
2007年03月23日
|
在庫枚数 |
1位登録者: |
2位登録者: |
9枚
|
0人
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ユーザーレビュー:102件
いかにも日本的な情緒を見事に描写したロシア人監督に脱帽する
投稿日:2007/04/01
レビュアー:花ちゃん
昭和天皇は歴史的に大変苦難な時代を歩まれたことは充分すぎるほどであっても、私の持つのイメージは、すでにもたらされていた平和と発展を背景に、思慮深く、愛情あふれる家庭に安寧に座されるご老人であり、皇室とは国民に幸福や善のあり方を示される手本のようなご家庭として存在した。
尾形イッセー演じるヒロヒトが、昭和天皇を忠実に模写しているかといえばよくわからない。元々、天皇その人はベールに包まれていたのだから。最初30分、当然あるであろう人間的な部分にライトを当てるためか、「子どものようだ」と評されたように少しすっとぼけており、そのせいで高貴さや清潔感までが失われたのは意図した演出なのか?如何なものだろう。しかし観るに従いマッカーサーとの会談以降の場面では、とても不思議な魅力を感じさせていく。
自分が自分である前に、人間ではなく神だという作られた虚像を自ら犯すことも許されず生きてこられた半生の矛盾。その矛盾への内的戦いを国の戦いの終わりと共に終結なされた。そのときのことにクローズアップし、この映画は撮られている。
そして、人間ヒロヒトを通して、彼の名の下に死んでいった大勢の犠牲者は何のために戦い、一体この戦争は何を土台に起こったのかと問いかける。
神である天皇と結婚生活を送った皇后の夫婦としての距離感、ごく日本的な男女の愛情などをロシア人監督が見事に描写したことに脱帽する。
後半に行くにつれ、重厚感が増し、モノトーンの画面と音楽が効いて来る。
すごい映画だとおもった。
このレビューは気に入りましたか?
8人の会員が気に入ったと投稿しています
敗北を 抱きしめて
ロキュの69日連続レビュー その68
(ネタバレあり)
不思議な映画です。
戦争末期から終戦直後の昭和天皇をモチーフに描いた、しかも外国人ロシア人が描いたフィクション。
それゆえの違和感も多少感じさせるものの、無理解ぶりや決め付けへの拒否感を感じさせない。
むしろそんな人だったのかもと思わせる多面性を持った造形力に感心させられる。
イッセー尾形による昭和天皇人物造型は、「ぎこちない」
そう昭和天皇の話され方もお振る舞いも、それを受ける国民の側も実際どこかぎこちないものでした。
この映画が荘重さ、悲壮感、寂寥感 と おかしみ、滑稽さがないまぜになった不思議な味わいとなっている点が、実際の緊張感にあふれた日本と重なって感じるところです。
カリスマの時代ともいえる20世紀の、第二次大戦期ですが、たとえばヒトラー、スターリン、毛沢東、ルーズベルトらと比べると、実際の昭和天皇は雄弁でもなく威圧感もなく、「専制君主」の一般的なイメージとは違う。
いや玉音が初めて公になったのは終戦を告げる放送であったし、戦前の大元帥の写真から、戦後の全国行幸などで国民に知られるようになった姿も、虚弱な感じであり、外国の精気みなぎる肉食系の暴君像、あるいは強い意志をトップダウンで貫くイメージとはほど遠い。 むしろ真逆のカリスマ像です。
本作、さすがに外国人が描くな、あるいはもはや歴史になったな と思わせるのは、葉巻を吸い、ものを食べて口を動かし、さらには皇后の胸に顔をうずめる昭和天皇の姿を描くところですね。
ご存命中のテレビ中継などではタブーでしょう。
本作はまた何も知らない、わからない子どものようなイノセントな存在としては描いていない。
数ヶ国語を解する知性があり、議論もする。 英語で話す時と自分の研究分野を話す時は饒舌。
無邪気さ、人の良さはあっても、決してわかっていない人とは描いていません。
それにしても話がかみ合わない。侍従たちともマッカーサーとも。 ここのところが興味深い描写です。
本作のラストで、「人間宣言」を録音した技師が自決したとするエピソードはフィクションですが、戦後も昭和天皇は特別の存在でした。 まず1970年代までは確実に議論すらタブー。
嶋中事件とかありますし、いや右翼とか一部の暴力的な政治行動の要因となっただけでなく、天覧試合が歴史に残る伝説の試合になったのだって、長嶋らプレーヤーも観客もみな特別な試合としてテンションが違った・・・たとえば、そういう存在。
いわゆる「裸の王様」とは、見えている姿は裸なのに王様が服を着ているとまわりが信じているフリをすることですが、昭和天皇の場合、そういう人ももちろんいたでしょうが、ほんとに神様、至上の存在と信じる国民がいた。 それがカリスマというものでしょう。 感じない人にはわからない。
国の中心にいたカリスマだからこそ、あれだけの犠牲をともなった戦争ゆえに、憎悪も含め反発や批判の対象となる。
しかしながら一個人を凝視しながら、一個人を越えた関係性、日本人の「構造」を可視化させたという点で、外国人の作品であることが驚きでした。
いや、むしろ外国人だからか。
皇太子20歳で病弱の大正天皇に代わって摂政となり、さらに天皇となられてからも戦争と軍部台頭の困難な時代が続き、44歳で終戦。
その同じ人物が天皇に在位し続けた国が、驚異の復興と経済発展・平和な43年間の時代を築いた。
これはやはり謎だと考えさせられる今日一日でした。
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7人の会員が気に入ったと投稿しています
投稿日:2007/07/06
レビュアー:ぴぐぽぐ
ロシアの監督というのにびっくり。
確かにこのテーマは日本人には映画にすることは難しかったでしょうね。
よふかしさんはじめお歴々の方がたの素晴らしいレビューがあるので、これは自分の忘備録として書きましょう。
とにかくこのような映画を自分が見るということも、こんなにレヴューがあるということもびっくりです。
神として見られていた人が人間へというのは、ものすごいことですね。誰にもわからないことでしょう。
この映画が全くの真実ではないとしても、きっとかなりの部分がきちんと調べられて作られているのだと思います。
淡々としてぼそぼそとしてともすると眠くなりそうな暗いどんよりした画面が続きますが、どうしてこんなにひきつけられて、見てしまうんでしょうか。続けて二回見てしまいました。
ただ、どうしてもイッセー尾形の演技が過剰に思えて仕方なかったです。あの口のもぐもぐがどうしてもいや。あんなに下品にしなくてもよかったんじゃないかな。歯をむき出しにして、歯茎まで見えるほど、あれはやりすぎ・・・・実際は、お年をとられてからの事だと思います。
わけもわからず、小さい頃天皇さまお車だというのでみんなで沿道に並んで旗を振った思い出があります。
思えばあれがはじめての有名人を見た思い出。
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7人の会員が気に入ったと投稿しています
日本人として興味深い作品。
※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。
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きゅいいいいん、きゅるきゅるきゅる。
滑舌が悪くて早口だったりぼそぼそだったりするので、音量を50にして見た。
背後に音楽は無く、チューニングを合わせるときのような音がかぶさっている。それが、いい感じだった。
事実がどうだったかは、本人にしか知るすべがないけれど、ロシアの制作でよくもまあ、こんなに作り込んだなと感心した。日本人には、まだ、生々しくて作れないけど。細かな部分やアイデアは恐らく、イッセーさんによるものだと思う。イッセーさんの一人芝居を見に行ったことがあるけど、やり過ぎ感のある部分は、彼自身の一人芝居のときのテンション。でも、いやな感じはしない。だけど、天皇にイッセーさんをキャスティングした時点で、やっぱり制作側のセンスはすごいなと思う。どういう観点で彼を選んできたのだろう。他の役者さんも、六平さん意外はしっくりきた。
人間宣言をする手前で、ドアの開け方に戸惑っている姿があって、ああ、このひとは、こんな年齢になるまで、ドアひとつ自分の手で開けたことがないのかと愕然とした。つくづく、わたしはそういうおうちに生まれてこなくてよかったと思う。まあ、ありえないけれど。自分の話したことがすべて書き残されるのも、失言王のわたしには考えられない。ふうん、ほんとに大変。
平成19年ということは、彼が亡くなって19年。これも、よおく考えると、自分、あるいは、自分の家族が亡くなって何年ってことが、いろんな書類に載り、携帯に表示され、日常で使われる。これも奇妙だ。人生が、奇妙に送られる。自分の意思は、ほとんど介在できない。
ほんのすこーしだけ、桃井さんが唐突に登場し、わずかなシーンなのに、すごく印象に残る。視線の中に含まれるものが、いろんな色合いを持っていて、このひとって、
ほんとにすごい女優さんだと改めて実感。以前、桃井さんとイッセーさんが、古い日本家屋の畳の間で、だらりと並んで座って対談しているのがあって、ふたりの間に流れる、私たちにしか分かんないものねーっていう感覚がすごくかっこよかった。お芝居をずっとやってきたふたりにしか分かり合えないもの、がそこにあって、大人な関係がなんともうらやましかった。そんなふたりがおなじスクリーンに揃うこともうれしい作品。
かすかに残っている、わたしの中の、実際の天皇のイメージと、重なり合う部分、初めて知る部分があり、興味深くみれた。まだまだ先があると思って見ていたら、エンドロールでびっくりしたけれど。
ソクーロフ監督がどういう気持ちでこれを撮ったのか、どうしてこれを撮ろうと思ったのか、気になる。
衣装は、YAB-YUMのメニーボタンシリーズを見ているようで、おもしろかった。
このレビューは気に入りましたか?
7人の会員が気に入ったと投稿しています
自己嫌悪
投稿日:2007/04/22
レビュアー:ひきむすび
彼はいくつの言葉を口にしたことだろう。
言葉にならなかった言葉、奥底にしまいこんでしまった思い。
「神」であろうとする故に
己とあるべき姿との狭間で引き裂かれている男。
彼は何を求めていただろう。
人民の平和。人民の豊かな暮らし。無謀な戦争を止めさせること。
それ以前に思いのたけを日の本にさらけ出してしまいたかったことだろう。
天皇ヒロヒトその人を ここまで愛情をもって作品にしたことに
何と言っても驚かされます。日本人にこそ このような作品を
作ってもらいたいという思いと逆に 全くの第三者が描いた人物像だからこそ
説得力のある作品になったことは言うまでもありません。
こよなく愛した「完璧な魚」ナマズが 東京上空を泳ぎまわる空想は
彼の絶望の深さを現していました。ところがこれが美しいんです。
瓦礫の街も焼け爛れる東京も美しい。このことに自己嫌悪してしまいました。
このレビューは気に入りましたか?
7人の会員が気に入ったと投稿しています
ユーザーレビュー
いかにも日本的な情緒を見事に描写したロシア人監督に脱帽する
投稿日
2007/04/01
レビュアー
花ちゃん
昭和天皇は歴史的に大変苦難な時代を歩まれたことは充分すぎるほどであっても、私の持つのイメージは、すでにもたらされていた平和と発展を背景に、思慮深く、愛情あふれる家庭に安寧に座されるご老人であり、皇室とは国民に幸福や善のあり方を示される手本のようなご家庭として存在した。
尾形イッセー演じるヒロヒトが、昭和天皇を忠実に模写しているかといえばよくわからない。元々、天皇その人はベールに包まれていたのだから。最初30分、当然あるであろう人間的な部分にライトを当てるためか、「子どものようだ」と評されたように少しすっとぼけており、そのせいで高貴さや清潔感までが失われたのは意図した演出なのか?如何なものだろう。しかし観るに従いマッカーサーとの会談以降の場面では、とても不思議な魅力を感じさせていく。
自分が自分である前に、人間ではなく神だという作られた虚像を自ら犯すことも許されず生きてこられた半生の矛盾。その矛盾への内的戦いを国の戦いの終わりと共に終結なされた。そのときのことにクローズアップし、この映画は撮られている。
そして、人間ヒロヒトを通して、彼の名の下に死んでいった大勢の犠牲者は何のために戦い、一体この戦争は何を土台に起こったのかと問いかける。
神である天皇と結婚生活を送った皇后の夫婦としての距離感、ごく日本的な男女の愛情などをロシア人監督が見事に描写したことに脱帽する。
後半に行くにつれ、重厚感が増し、モノトーンの画面と音楽が効いて来る。
すごい映画だとおもった。
敗北を 抱きしめて
投稿日
2011/08/15
レビュアー
ロキュータス
ロキュの69日連続レビュー その68
(ネタバレあり)
不思議な映画です。
戦争末期から終戦直後の昭和天皇をモチーフに描いた、しかも外国人ロシア人が描いたフィクション。
それゆえの違和感も多少感じさせるものの、無理解ぶりや決め付けへの拒否感を感じさせない。
むしろそんな人だったのかもと思わせる多面性を持った造形力に感心させられる。
イッセー尾形による昭和天皇人物造型は、「ぎこちない」
そう昭和天皇の話され方もお振る舞いも、それを受ける国民の側も実際どこかぎこちないものでした。
この映画が荘重さ、悲壮感、寂寥感 と おかしみ、滑稽さがないまぜになった不思議な味わいとなっている点が、実際の緊張感にあふれた日本と重なって感じるところです。
カリスマの時代ともいえる20世紀の、第二次大戦期ですが、たとえばヒトラー、スターリン、毛沢東、ルーズベルトらと比べると、実際の昭和天皇は雄弁でもなく威圧感もなく、「専制君主」の一般的なイメージとは違う。
いや玉音が初めて公になったのは終戦を告げる放送であったし、戦前の大元帥の写真から、戦後の全国行幸などで国民に知られるようになった姿も、虚弱な感じであり、外国の精気みなぎる肉食系の暴君像、あるいは強い意志をトップダウンで貫くイメージとはほど遠い。 むしろ真逆のカリスマ像です。
本作、さすがに外国人が描くな、あるいはもはや歴史になったな と思わせるのは、葉巻を吸い、ものを食べて口を動かし、さらには皇后の胸に顔をうずめる昭和天皇の姿を描くところですね。
ご存命中のテレビ中継などではタブーでしょう。
本作はまた何も知らない、わからない子どものようなイノセントな存在としては描いていない。
数ヶ国語を解する知性があり、議論もする。 英語で話す時と自分の研究分野を話す時は饒舌。
無邪気さ、人の良さはあっても、決してわかっていない人とは描いていません。
それにしても話がかみ合わない。侍従たちともマッカーサーとも。 ここのところが興味深い描写です。
本作のラストで、「人間宣言」を録音した技師が自決したとするエピソードはフィクションですが、戦後も昭和天皇は特別の存在でした。 まず1970年代までは確実に議論すらタブー。
嶋中事件とかありますし、いや右翼とか一部の暴力的な政治行動の要因となっただけでなく、天覧試合が歴史に残る伝説の試合になったのだって、長嶋らプレーヤーも観客もみな特別な試合としてテンションが違った・・・たとえば、そういう存在。
いわゆる「裸の王様」とは、見えている姿は裸なのに王様が服を着ているとまわりが信じているフリをすることですが、昭和天皇の場合、そういう人ももちろんいたでしょうが、ほんとに神様、至上の存在と信じる国民がいた。 それがカリスマというものでしょう。 感じない人にはわからない。
国の中心にいたカリスマだからこそ、あれだけの犠牲をともなった戦争ゆえに、憎悪も含め反発や批判の対象となる。
しかしながら一個人を凝視しながら、一個人を越えた関係性、日本人の「構造」を可視化させたという点で、外国人の作品であることが驚きでした。
いや、むしろ外国人だからか。
皇太子20歳で病弱の大正天皇に代わって摂政となり、さらに天皇となられてからも戦争と軍部台頭の困難な時代が続き、44歳で終戦。
その同じ人物が天皇に在位し続けた国が、驚異の復興と経済発展・平和な43年間の時代を築いた。
これはやはり謎だと考えさせられる今日一日でした。
投稿日
2007/07/06
レビュアー
ぴぐぽぐ
ロシアの監督というのにびっくり。
確かにこのテーマは日本人には映画にすることは難しかったでしょうね。
よふかしさんはじめお歴々の方がたの素晴らしいレビューがあるので、これは自分の忘備録として書きましょう。
とにかくこのような映画を自分が見るということも、こんなにレヴューがあるということもびっくりです。
神として見られていた人が人間へというのは、ものすごいことですね。誰にもわからないことでしょう。
この映画が全くの真実ではないとしても、きっとかなりの部分がきちんと調べられて作られているのだと思います。
淡々としてぼそぼそとしてともすると眠くなりそうな暗いどんよりした画面が続きますが、どうしてこんなにひきつけられて、見てしまうんでしょうか。続けて二回見てしまいました。
ただ、どうしてもイッセー尾形の演技が過剰に思えて仕方なかったです。あの口のもぐもぐがどうしてもいや。あんなに下品にしなくてもよかったんじゃないかな。歯をむき出しにして、歯茎まで見えるほど、あれはやりすぎ・・・・実際は、お年をとられてからの事だと思います。
わけもわからず、小さい頃天皇さまお車だというのでみんなで沿道に並んで旗を振った思い出があります。
思えばあれがはじめての有名人を見た思い出。
日本人として興味深い作品。
投稿日
2007/06/29
レビュアー
真
※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。
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きゅいいいいん、きゅるきゅるきゅる。
滑舌が悪くて早口だったりぼそぼそだったりするので、音量を50にして見た。
背後に音楽は無く、チューニングを合わせるときのような音がかぶさっている。それが、いい感じだった。
事実がどうだったかは、本人にしか知るすべがないけれど、ロシアの制作でよくもまあ、こんなに作り込んだなと感心した。日本人には、まだ、生々しくて作れないけど。細かな部分やアイデアは恐らく、イッセーさんによるものだと思う。イッセーさんの一人芝居を見に行ったことがあるけど、やり過ぎ感のある部分は、彼自身の一人芝居のときのテンション。でも、いやな感じはしない。だけど、天皇にイッセーさんをキャスティングした時点で、やっぱり制作側のセンスはすごいなと思う。どういう観点で彼を選んできたのだろう。他の役者さんも、六平さん意外はしっくりきた。
人間宣言をする手前で、ドアの開け方に戸惑っている姿があって、ああ、このひとは、こんな年齢になるまで、ドアひとつ自分の手で開けたことがないのかと愕然とした。つくづく、わたしはそういうおうちに生まれてこなくてよかったと思う。まあ、ありえないけれど。自分の話したことがすべて書き残されるのも、失言王のわたしには考えられない。ふうん、ほんとに大変。
平成19年ということは、彼が亡くなって19年。これも、よおく考えると、自分、あるいは、自分の家族が亡くなって何年ってことが、いろんな書類に載り、携帯に表示され、日常で使われる。これも奇妙だ。人生が、奇妙に送られる。自分の意思は、ほとんど介在できない。
ほんのすこーしだけ、桃井さんが唐突に登場し、わずかなシーンなのに、すごく印象に残る。視線の中に含まれるものが、いろんな色合いを持っていて、このひとって、
ほんとにすごい女優さんだと改めて実感。以前、桃井さんとイッセーさんが、古い日本家屋の畳の間で、だらりと並んで座って対談しているのがあって、ふたりの間に流れる、私たちにしか分かんないものねーっていう感覚がすごくかっこよかった。お芝居をずっとやってきたふたりにしか分かり合えないもの、がそこにあって、大人な関係がなんともうらやましかった。そんなふたりがおなじスクリーンに揃うこともうれしい作品。
かすかに残っている、わたしの中の、実際の天皇のイメージと、重なり合う部分、初めて知る部分があり、興味深くみれた。まだまだ先があると思って見ていたら、エンドロールでびっくりしたけれど。
ソクーロフ監督がどういう気持ちでこれを撮ったのか、どうしてこれを撮ろうと思ったのか、気になる。
衣装は、YAB-YUMのメニーボタンシリーズを見ているようで、おもしろかった。
自己嫌悪
投稿日
2007/04/22
レビュアー
ひきむすび
彼はいくつの言葉を口にしたことだろう。
言葉にならなかった言葉、奥底にしまいこんでしまった思い。
「神」であろうとする故に
己とあるべき姿との狭間で引き裂かれている男。
彼は何を求めていただろう。
人民の平和。人民の豊かな暮らし。無謀な戦争を止めさせること。
それ以前に思いのたけを日の本にさらけ出してしまいたかったことだろう。
天皇ヒロヒトその人を ここまで愛情をもって作品にしたことに
何と言っても驚かされます。日本人にこそ このような作品を
作ってもらいたいという思いと逆に 全くの第三者が描いた人物像だからこそ
説得力のある作品になったことは言うまでもありません。
こよなく愛した「完璧な魚」ナマズが 東京上空を泳ぎまわる空想は
彼の絶望の深さを現していました。ところがこれが美しいんです。
瓦礫の街も焼け爛れる東京も美しい。このことに自己嫌悪してしまいました。
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