オトシモノ

　ホラー描写は凄く面白かったです。人が電車に轢かれていくところとか、地下のゾンビがわらわら出てくるところとか。お化けが人を引きずりこむところも、ちゃんとホラー映画になっております。その点は確かに良かったです。
　その反面、役者の芝居となるとテレビっぽくなってしまうのが苦しいところ。例えば、沢尻エリカと若槻千夏が携帯電話で話す麗しい友情の場面があるのですが、画面を割って両方見せる演出がテレビっぽくていやですね。分かりやすけりゃいいというもんでもないでしょう。画面がアレでは友情も薄っぺらくなってしまいます。画面が説明過多なんですよね。
　小栗旬の顔が二重映し、三重映しになったり。そんな場面もいかにも「この人は変なもの見たんで心が動揺しておりますよ」と絵で説明しすぎていて、こっちの想像力はどんどん萎えていきます。板尾が死んでいる場面なんて、血で「見た」とか壁に書いてあって、「そこまで説明すんのかい！」と突っ込みたくなります。これは吉本流のお笑いなんでしょうか？
　例えば黒沢清の「ＬＯＦＴ」などは分かりにくいといわれていますが、分かりやすくしてごまかしていないところが偉いと思います。それに比べ、「オトシモノ」はとっても分かりやすいのですが、ゴマカシが目立ちます。分かりやすい絵にしてしまって、「確かにこの展開はムチャだけど、説明したからいいでしょ？」みたいな。
　分かりやすさで犠牲にされているのはやっぱりドラマなんじゃないでしょうか。期待しすぎたのでがっかりしたのかも知れません。
　まあＪホラーとしては中ぐらい（いや、中の下かな？）の出来ではないでしょうか。
　それにしても、沢尻エリカと並ぶと若槻千夏が妙にゴツくてブサイク顔に見えてしまうのが可笑しいです。テレビなんかで見るとカワイイんですけどね。沢尻エリカもなんか表情が変でした。


　この後、猛烈にネタバレしております。
　この映画、片目の杉本彩が出てくるあたりから、驚異の展開になっていきますよね。ラスト、杉本彩があの赤ん坊だったとか、沢尻エリカの妹だけなぜか助かるとか、小栗旬がトンネル爆破するとか、もうムチャクチャです。よく考えたらトンネル爆破してもあの路線がなくなるわけではないし、どうせ復旧されると考えるのが普通じゃないでしょうか。沢尻エリカも爆破のニュース見て、「もう終わったのよ」なんて言ってるし。変に説明しなければ見てびっくりのトンデモ映画になってもっと面白かったのにね。

※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。

レビューを表示する

　とんだヒロイモノだと思ったのは、それほど期待してみたわけではないからかもしれないが、そこそこ面白かったのは事実です。ただ、今まで見たホラー映画の部分部分をちょっとずつもってきてしまったのではないかというところはあります。影がでてくるところは、呪怨だし、長い髪の女は、リング（ただしこれはホラーの定番化しているので、しかたないか）、行方不明もしくは死んだと思っていたものが帰ってくるけれど、すでに元の人間とは違っているのは、「雨の町」か「ペットセメタリー」など、地下のあけてはならない遺跡の話は、「ミズチ」かな。「返して」って言われて、それを返せば、のろいはとけるともっていくところは、やはりリングの影響か。電車のトンネルの地下と言うのは、「零時〜分」（何分か忘れた）なんてのもありました。
　けっしてけなしているのではありません。私はこの映画は面白かったと思っているのですから。特に沢尻エリカは、清純派スタイルがとてもかわいかったので、そこだけでもよかったと思います。もっと、地味な展開の映画と思っていたら、後半は、ゾンビ（？）の群れがワラワラ出れくるのには意外な思いでした。ちょっと親しくなった不良っぽい若槻千夏とすんごい友情で結ばれてしまうのは、すごく短絡的とは思うものの、昔ながらの定番の展開で、なんだかお約束すぎる描写ではありました。筋が強引という点はありますが、ミズチや、サイレンよりはよかったと思います。

※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。

レビューを表示する

Ｊホラーは全く眼中にない時期があって、今頃鑑賞しました。
俳優陣のラインナップが面白いですね。
皆さん、ホラーとはあまり無縁の方ばかりのようで。

さて、本作はいわゆる怪談系から始まり、最期は予想外の展開を迎えます。
途中、『呪怨』や貞子系演出も見られ、『またかよ』感もあるのですが、クライマックスは別方向へ。
私的には、この選択は嬉しい限り。
伝奇臭プンプンで、諸星大二郎ワールドにも似た世界が出現します。
現実感から離れるというマイナス要因もあるのですが、私のようにダーク・ファンタジー色を求めるファンには絶大な効果を発揮。
こういうのを奨励しないと、Ｊホラーの世界は拡がりませんよ、きっと。

ところどころに友情をフィーチャし、お涙頂戴的なシーンが入っていますが、これはリトル・シラケ。
クサ過ぎます。
幽霊メイクは及第点。
地獄の亡者どもの描写もナカナカで、ホラー部分は予想以上の出来。

今まで最高の落とし物を拾ったのは1万４０００円入り財布！真面目に交番へ届けるも、運転免許証が入っていたので即、解決！２千円謝礼ゲット！

※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。

レビューを表示する

まず優等生で家族思いの主人公奈々に沢尻エリカ、奈々の幼い妹範子に「受験の神様」「女王の教室」の野村涼乃、心臓病で入院中の奈々の母親に浅田美代子。この家族、住まいは豪邸だがなぜか父親の姿はなく、奈々は母親の入院がきっかけなのかホームセンターのバイトを始め、留学をあきらめ就職を決意している。
ホームで”オトシモノ”を拾ったことから巻き込まれるのが範子の同級生タカシ君（牧野春）。狭い団地で母親（広岡由里子）と二人暮し、公文とかもやってたらしい。タカシ君が拾った”オトシモノ”は直後に範子にも拾われる。

奈々の同級生で範子らとは別な”オトシモノ”を彼氏（北村栄基）によこされたことから巻き込まれる頭の悪そうなギャル香苗に若槻千夏、香苗のグループにはヤマンバのあじゃもいる。

職業柄怪奇現象を目撃し巻き込まれる電車の運転手久我に小栗旬、上司に斉木しげる。その同僚で密かに事件の真相を追う拾得物係に板尾創路。ずっと後になって怪奇現象の被害者として参戦する謎の女に杉本彩。

・・・って、ざっと書き出してみただけでたいそう充実したキャストにまず驚かされるし、冒頭15分くらいは怖いしわくわくもさせられる。謎の黒ずくめの女の映り方もいいし、現象も小技が利いてて怖いし、子役も充実、別角度から関わり始める小栗旬には一瞬不安がよぎるけど、拾得物係の板尾創路登場でいやいや待てよという気分にさせられもする。何より沢尻エリカがきれい。難を言えば若槻千夏なんだけど、まー何とかやり過ごせそうだ。

これは結構アタリかもしれない！とかなりの期待度を持って見ていくうちに話は妙な方向へ。キツめのホラーで始まったのになぜか不遇な優等生奈々と実は更正希望の香苗の友情話に傾いたり、意外な人物に意外な過去があったり、地下に眠ってたのが意外すぎるモノだったりで、スタッフロールが流れる頃にはなぜか、いやー杉本彩よかったよねぇ！月影先生みたいでとか、あじゃよかったよーとか、ピンポンするしないよりかさーこの時間だったらもう始発動いてね？とか、ヒントがそのたびぼたぼた落ちてきてわかりやすっ！とか、いやそこじゃないだろう^^；とツッコミまくりなんだけど、深夜にかかったらまた見る気がする（笑）てか、多分見る。

あ、特殊メイクと造形は最後の最後までかなりイケてると思います。・・・・なのに、なぜ（笑）「1303号室」や「着信アリFinal」のときも思ったけど、この手の邦画ホラーって脱線し始めたとき誰か手を上げて止めたり修正したりはできないのか？^^；非常にもったいない１本でした。