ハッスル＆フロウ

かつての仲間で今は大成功したスキニー・ブラックにデモ・テープ持参で自分を売り込もうとする主人公Ｄジェイ。この二人の再会シーンだけでも人生が凝縮されている。そう断定しても過言ではない。実に見応えのある数分である。

人生を捨てていた人間が、目的を持つとなんと違ってくることか。
そして一見普通にまともに生きてきた人間も、夢をもう一度持つことで、どんどん変わってくる。
その過程に引き込まれました。

みんなで曲を作っていくところが、ほんとに手に汗握る感じでぐいぐい引き込まれていきます。

白人の売春婦をやっていた女の子の変わり方が嬉しかった。

ただかなり汚い言葉が出てくるので、子供には向きません。
同じ夢は必ず叶うよ！みたいなものなら、子供には「遠い空の向こうに」かな。

ブラック・ミュージック好きだからか、この映画は、ただただ涙でした。70年代ブラック・ムーヴィー風のオープニングでもう涙目（バックは、バディ・ガイ！）、クラブのオヤジがアイザック・ヘイズで驚きの涙、モダンなゴスペルに主人公とともに感動の涙、立ち直るきっかけとなった楽器がカシオのキーボードで共感の涙、買い直してもやっぱり安物のキーボードから、意外にも野太く、ざらざらしたベース音が出てきて、感心の涙。古いサンプラーをポンポン叩きながら名曲ができるプロセスに反省の涙（やっぱり機材の問題じゃないのね）、カシオのキーボードが捨てられずに大事に使われていることが確認できる画面でついに号泣。ヒップホップの現実面を代表する悪役（Ludacris、本物は雰囲気が違う！）がボコボコにされて嬉し涙。ラストに、甘いなあ〜と思いつつ、でも幸福感に包まれて涙。

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下町でヤクと売春稼業の男Ｄジェイ。同じ町で同じ稼業出身のスターが戻ってくる。
顔見知りなら自分の夢を助けてくれるかもしれない！
淡い夢を持ち、仲間とデモテープをつくる。オンボロアパートのオンボロ機械で。
それでも夢はかつての若い気持ちを呼び覚まし今の生活の荒廃を忘れさせてくれる。
さあ、このまま成り上がり爽快なイケイケドンドン！のストーリーかと思った。

やってきたスターはＤジェイの顔なんて覚えてもいない。そのときの失望、取入ろうとする卑屈さや開き直っての駆け引きは見所で、なんだか応援したくなります。
そして更にもっとどん底に落っことされちゃうのです。
いや、予想に反してもはやこれまでか、、、と思ったところで静かに浮上する。
娼婦や妊婦もやればできるところを見せてくれます。役者も魅力的で構成が上手いと思いました。

レビュアーの皆様がおすすめしていたので、予備知識なしに見てみました。
わからない・・、なんでこの作品はこんなに評価が高いんだろう？
自分のセンスに自信をなくしました。

監督は「ブラック・スネーク・モーン」の人なのですねえ。
黒人監督だと思い込んでたら白人なのでびっくり。

音楽、特にラップなどの場合、英語がわからなければ字幕では良さがなかなかわかりにくいのではないかと思いました。
もちろん、良い映画はそれを超えてでも伝わってくるものがあるのでしょうが、私にはこれで成功したら簡単すぎやしないか？と思われてなりませんでした。

ノラ役の子は、「ブギー・ナイツ」のヘザー・グラハムを彷彿させて好演。
「ノット・ア・ガール」でブリちゃんの友達役をやってた人かー。

テレンス・ハワードは、このあと「ブレイブ・ワン」「ハンティング・パーティー」「奇跡のシンフォニー」「アイアンマン」と立て続けに話題作に出演。
どれも気になる映画なので、彼を見る楽しみが増えました。