２５時

収監前の２５時間、あなたなら何をして過ごしますか？
これをドキュメントのように描いているこの作品。
作りこみすぎず、かといってつまらない日常というわけでもなく、誰かの実話を映画化しているかのようでした。そこにスパイク・リー流の味付けがあちこち。異色の作品です。

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ネタバレなので、観てない人は読まないでください。

あの原作の難しいエンディングをどう映像化するのか期待して観ました。
さすがスパイク・リー、うまく再現しています。
結局どちらを選ぶのかわからないエンディングを、そのまま観客にゆだねていて、ここをどちらを選んだかわかるエンディングにしていたらぶちこわしでした。
そこはうまく処理していてよかったと思います。
しかし一点だけ原作と違う部分があります。
ここが非常に残念でした。
映画ではナチュレルと再会して結婚しますが、原作では酒場の娘（ナチュレルみたいにきれいじゃない子）と結婚します。
父親とすら一生会わない覚悟なのに、ガールフレンドなんか呼び寄せるわけがありません。
そこが非現実的で、まあ、「少しは女性客にもアピールするように」とかいう映画会社の要求をのんだのかもしれません。
モンティの空想なのか現実なのかさだかではないものの、過去を一切絶った生活を新しい土地ではじめ、そして年老いたとき、「もしかすると私の人生はありえないものだったのかもしれないんだよ」と孫たちに語るという話なので、「一切を」絶ってないとおかしいんです。
愛しい人々との縁を一切を絶つという犠牲の上に得られる新しい人生、すべてをリセットしたいというモンティの空想（？）、それがあのラストなわけで、「ここでナチュレル出しちゃだめ！」と叫んでしましました。
脚本も原作と同じベニオフなので、そんなことはじゅうじゅう承知の上の妥協だったんだとは思いますが、最近の映画会社は「観客はこういうのを求めている」という発想で映画を作り、逆にはずしていることが多いと思います。
全体に演技もいいし、すばらしい映画にまとまっていますが、そこが残念です。
あと、あえて言うなら原作のモンティは超ハンサムという設定なので、せめてノートンにひげをそってもらいたかったかなと。超美形だからこそ刑務所に行きたくないし、スラッタリーに「殴ってくれ！」と言うわけなのですが、ちょっとノートンは……。演技はうまいですし、魅力はありますけど、超美形の俳優さんでやってもおもしろかったかなと思います。でもそうすると演技力が足りないんでしょうか。
あとグラウンドゼロはいらない、正直。原作にはないし、物語と関係ないのだから単なるイメージとして使ってほしくない。必然性がない。

映像がくっきりと深く、鮮やかに、濃い。
こういう『我が街』的な物語は
もっと盛んに作られるべきだろう。
麻薬の売人収監前夜の、旧友との再会。
再会のくだりは『ミスティック・リバー』を連想させたが、
実際、映画としては、こちらの方が上質であると
言わざるを得ない。

エドワード・ノートンよ、
『ラリー・フリント』の時のなまっちろい
あのフニャフニャ坊っちゃん振りから、
『アメリカンヒストリーＸ』でムキムキ兄さんに豹変し、
どうなることやらと思っていたら、
犬を連れて沈鬱に街路を歩く姿には、にじみ出る情感が光った。

ヤンキースの帽子を被った中年太りの高校教師も、
ミニチュア・アメリカン・ハピネスという感じで
一向に冴えず、物悲しく、
破滅ににじり寄る保守的な狼狽振りが、
実に沁みた。
株のディーラーをしているもう一人の幼友達も
正直すぎる普通人ぽさで胸に迫る。

『ＮＹ』、『ニューヨーカー』
愛郷心もなく、呪詛も途切れ、
喪失の眼差しで「街」を見る。
この映画が秀逸なのは、
恐らくスパイク・リーの「眼」が
混乱の人種の坩堝へ
しっかりと行き届いてからなのである。
結末の「父の空想」も美しい物語であった。
見るべし。

『アメリカン・ヒストリーＸ』の彼とかぶって見えました。哀愁漂うワル。刑務所に入るというのはやはり深刻なものです。重い重い、とても重苦しい作品です。でも心情の表現が素晴らしいです。
犬いいですねえ。「人生で最高の出来事は死にかけた犬を助けたこと」…犬キャラが立っているのでおすすめです。

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全く個人的な意見ですが、モンティを眺める父親の目に、ニューヨークを眺めるスパイク・リーの目を感じた。傷付き、誤った道を歩み、でも誰にも本気で止めてもらえなかった哀れな、けれど何よりも愛しい息子。それを後悔しても嘆いても、一度きりの人生なんだから、再生への希望を抱こう。最期は不覚にも感動してしまって、自分の住む街こんな風に愛せることに、うらやましさすら感じてしまった。そしてこの重くて暗い内容を、一流のエンターテイメントに仕上げた演出はさすが！　ノートン、上手いんだな〜　ナチュレルの心情も、いいんだな〜　あんなにモンティを愛していて、足を洗ってほしいと思っているけど、贅沢に慣れた自分が、貧しくなってもモンティを愛せるのか不安で、そんな自分にちょっと嫌気がさしている感じが、とても良く出ていた。友人二人も上手いんだな〜　会話もいいんだな〜　英語が理解出来たら、もっと楽しかったんだろうな、残念。モンティがドイルに言う、「こいつを助けた事は、俺の人生の中でも 最も素晴らしい事だ。だからこいつの命に責任を持たなくてはいけない」みたいな台詞、ジ〜ンと来ました。