その夜の侍

その夜の侍

妻をひき逃げで殺された男がひき逃げした男に復讐する。
殺す予告とカウントダウンまでの周囲の人達の数日を描く！

75点 シリアスコメディーとして判断しました。謎

シリアスなのか笑なのか微妙なタッチが魅力かも。また人を殺すのは思っていたよりも難しいなーと感じました。

ツッコミ点。
お見合いするシーンがあるがそもそも、こんな変わった男紹介しないと思った。店もありえないチョイスかと。

見所。
ホテトルの安藤サクラのふてぶてしさ最高！ラブホのやり取りが面白すぎる。

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サイコパスや心理学を、興味本位でカジったことある人にはとても面白い作品ではないでしょうか。
全く心理学に興味がない人は、意味不明だし、ありえない内容。

本格的に心理学を学んでる人が観たらどうなのでしょう。
映画の作品としては楽しめるとは思います。


サイコパスを意識したのか、
あるいはサイコパスが引き起こしたであろう、凶悪事件の主犯がモデルになっているのでしょう。
木島がとてもサイコパス（良心がない人）の性質を出してるんです。

人を車ではねた直後、焦っている小林へ向けた言葉
「今日、どっかんち、鯖味噌かな〜　鯖味噌のにおいがする」

いいですね。彼にとっては、人を車ではねた事もどっかの家のご飯も同列なんです。

さっきまで灯油かぶせて火をつけていじめた相手に対し、飽きた後は、
彼を自転車の後ろに乗せて一緒に遊びに出ちゃう。ここで、木島の方が自転車をこいでるというのがまたいい。
彼は別に誰かを支配したいわけでもない。そもそもそんなに人に執着しない。

今思ったことをやれ、退屈をしのげればそれでいいんです。
遊びに出かけようと思った時にたまたま目の前に、さっき自分がいじめてた人がいただけ。
自分が相手に対してやってたことなんてどうでもいいんです。

酷いことをされながらも、木島へ惹きつけられる人々。
サイコパスの一番質の悪いところですね。
翻弄されながらも、離れられなくなっていく部類がいるんです。

小林の木島の事に対する表現
「あいつがわからないんです。」
良心がない人がいるって事を知らないなら、分かる訳ありません。
普通の人として考えると、木島の行動は腑に落ちないことばかりです。

中村が木島へ言った言葉
「君はなんとなく生きる。　この物語は、最初から君に関係ない話だった。」
木島の性質を理解しているのがすごい分かる言葉です。

中村は、木島がこんなサイコパス的な奴ではなく、ただの悪者だったら、
復讐（自分を殺させて死刑にする）を果たしたでしょう。
苦しめることができ、意味があります。

でも、そんなことを木島に対してやっても全く意味がないんです。
死刑になっても、木島にとってはどっかの家のご飯と同列。
死を恐れてはいるみたいですが、死刑執行されるまでは、
苦しみ悩むことなく、なんとなく生きちゃうんですもの。

木島に対して何かすることは無意味であり、
この物語に彼は関係ないことに気づいたんです。

そして埋められたはずの順一が現れたことに対して、何の反応もない木島。
木島にとっては順一が生きていようがいまいが、もう興味はない。
小林が自分の命令に従って、埋めたのか逆らったのかにも興味がない。

携帯での誰かからのカラオケの誘いに乗り、中村達を残し、木島の立ち去り方の表現もいい。
「う〜ん、なんか、もういいみたいだねこの人達。カラオケ呼ばれてるし、行ってこよ〜」
てな感じ。

包丁でもみ合ってたことも、カラオケに行くことも同列なんです。


サイコパスの存在を知らない人にとっては、木島はただの悪魔で非現実的な人物。
そしてなぜか逃げれるのに木島から離れない、木島の被害者達の行動も意味不明でしょう。


最後に、中村が木島の性質を理解した結果復讐をやめ、
前へ進みだしたのが素晴らしいですね。

妻をひき逃げされ、反省もしない加害者に復讐するべく付きまとう被害者の夫。

何かに憑かれた形相であるく夫を堺雅人が怪演。
また、加害者のくずっぷりが胸糞悪いぐらいに上手い山田孝之。

この間、起こった、兵庫のリンチ殺人の加害者を思わせました。
暴力で人を支配するってこういうことなのか、というクズを、山田孝之がこれまた怪演

この2人で、はてしなく暗い映画が見ごたえのあるものになっていました。

『あの女が飛び出したせいで、オレの人生、狂わされてたまるか』
もし殺人を犯した犯人がこんなこと思ってるなら、全員即死刑ですな。

一言、謝ってくれたら、とか被害者遺族も思うのですが、こんなクズにひき殺されて、でも前を向いて生きていくけじめをつけられた、、加害者と向き合うことで（向き合ってないけど、こんな男への憎しみだけで人生、終わると、亡くなった妻も残念がるよな）吹っ切れるものもあるのかもしれない。
ただ、『普通の会話』が出来る幸せというものに気付かされる映画でした。

グローブを同僚に渡して歩いていく境雅人の後姿に、泣いてしまったのは私だけでしょうか。。

演技畑出身監督という事で実力派をそろえた演技を観る映画。
演技を魅せるというコンセプトに忠実で面白い。
難を言えば物語自体が演劇のお話で映画的な盛り上がりがなく、
映画でも役者だよりになってしまったことが勿体ない。
カットのつなぎやカメラの動き、配置でもっと助けられたのではないかと思う。
人が勝手に孤独になっていく様を何気なく救うという、
細かな癒しが救いとなる映画なのに、その細やかさをおおげさに演出しないところが、
他の映画と一線を画す。けれども幅広く評価はされない原因。
好きな役者が出ているのならばお勧めできる。

両俳優の演技に脱帽
山田氏は特に憎たらしい役だったね
内容は☆１だがあまりにも名優ぶりに☆１アップ
が
内容も含め演出のしつこさ
なぜここで一緒にいるの？
と突っ込みたくなる人間模様
ラストの虚しさ
大嫌いです（笑）