２００１年宇宙の旅

作中に起こる事象の意味は、映画より先に完成していた小説版で説明されている。

この映画がすごいのは、その用意された回答を飛び越えて、観客の様々な解釈を生み出したことだ。
それにも増してキューブリックがすごいのは、そうなることを見越して、この映画を作ったことだ。

キューブリックの鬼才には感服です。映像美と想像力には脱帽です。しかし・・・退屈で死にそうです。
私は耐えられず途中でＺｚｚｚ。「未知との遭遇」の時と一緒でした。旦那は最後まで見てたらしい。ある意味凄すぎる〜
まあ４２年前にこんな映画を製作してしまう監督は、やはり天才ですね。でも・・・物語は、もうちょっとあったほうがいいと思いました。

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　名作映画と呼ばれるものには、どこか根本に「倫理」あって、人間ってこうだ、こうあるべきだとの、制作者の思想や感情が、あからさまにであれ、控えめであれ伝わるものだけれど、本作には何もない。道具を与えられれば人殺しをするヒトの習性は、猿の時代が宇宙船の時代になっても受け継がれているのかと疑問を示し、ハルの反乱で人工知能に支配されるのは危険性だぞと、一応言ってみせてはいる。「神」の感覚表現らしき「モノリス」もなかなか思わせぶりではある。

　でもそういう倫理的・哲学的なテーマなどあまり考えなくてもよいと、私は思う。ここでのキューブリックは完全に遊びに熱中する子どもである。空想に浸りきり興奮し前後不覚になっている。余人に真似のできないのは、自分の空想を完璧な美しさで視覚化したことである。子どもだからひどくわがままで、何でも自分の思い通りにしなければ気がすまない。依頼した作曲家の作品を一言の断りもなく、リヒャルト・シュトラウスやギョルギイ・リゲッティーに変えてしまう暴挙など、とても社会性のある大人のふるまいとは思えない。
　でも、だからこそ完成した人間的な熱や湿度の一切ない純粋なイマジネーション世界。そこでは直接感覚が刺激される快楽と喜びがあふれ、無のなかに放り出されたような絶対の自由感を味わえる。ある意味、これは麻薬によるこの世の外への、まやかしの旅行かと、考えたりもする。（もちろん経験はないです）
　翌年の「イージーライダー」なんかよりはるかに洗練されかつ強力な「ドラッグ映画」であると、私は確信している。これを特選とした文部省（現文科省）は粋だね。

　麻薬、麻薬というのもなんだから、映像について少し。
キューブリックの一点透視図法へのこだわりには驚く。建物を映すとき必ず天井を入れてパースペクティブをことさら強調する。椅子の配置なども考え抜かれている。写真家の眼ですね。月で例のモノリスを背景にしてみんなで記念写真を撮る場面など、写真家らしいユーモアもある。
　色では白もいいが黒の深さと美しさには今さらながら圧倒された。白いポットが漆黒の宇宙空間に浮かび、黄色い宇宙服が泳ぐところなど、何度見ても息を止めてしまう。早くいいテレビが買いたい。黒がキレイってのにしようかしら。

　お話の解釈についてはネットにさまざまな記事がある。面白かったのは、ヒトザルの骨と宇宙船までがひとつながりの文明、もちろん現在もその過程、で木星の惑星でモノリスに遭遇してからのボーマン船長が体験、脳内を駆け巡るイメージが、新しい段階の「文明」であるとするもの。これまでの人間の感覚・思考では捕らえられない未知の領域。映画を見てわからなくて当然です。
　しかし子宮内の胎児と地球を同じ大きさでドーンと画面に並べ、「ツァラトゥストラはかく語りき」を大音量で響かせるラスト、「超人」の誕生を示唆していると見えなくもない。
　淀川長治さんのように慎ましくモノリスを輪廻、あるいは人間の業の象徴と考えることも可能です。解釈は自由。映画は遊びですから。

先日、大好きな俳優のロイシャイダーが亡くなりました。
残念です。
で、先日「２０１０」を観直ししたついでにまた
２００１を観ました。

やっぱり、凡人（自分）には分からないことばかりですが
引きつける何かが異様に強いのでしょうね。
観る人を選ぶかも知れませんが、あの時代に
これだけのクオリティーを実現したことは
賞賛に十分に値すると思うのですが。

モノリス・・・

何だったんでしょうか？
2010を観るとモノリスは物体としてではなく
人間の自我に潜む己のアイデンティティーを
再確認せよとのメッセージではないかと思いました。

如何様にもとれる作りはいつまでも飽きさせない。

今の映画に少なくなったそんな能動的な映画だからこそ
飽きがこない、名作として残った理由かも知れませんね。

単調だからつまらない・・・

映画にはそれが当てはまらない。

それが嬉しい。

1968年　アメリカ、イギリス合作映画
原題：2001: A　SPACE ODYSSEY
監督：タンリー・キューブリック

「観よう観よう」と呪文の様に唱えていた私でしたが、所々睡魔に襲われながらもIntermissionが入る程の大作を今回ようやく鑑賞しました。
本作は「人類の夜明け」、「木星使節」、「木星 そして無限の宇宙の彼方」の三部から成る作品ですが、ストーリー云々より体感する映画だと思います。
早い話「考えるより感じろ」と言った感じ。そう思わせた最初のシーンが原始時代の「人類の明け」で猿が骨を放り投げると、その骨が宙に舞い映像が未来へと移行し宇宙船になるシーン。テーマ曲はもちろんの事、壮大な宇宙空間で流れる“美しき青きドナウ”が映像と見事にべストマッチしている。実際に映画館でこの迫力を体感したかった。
序盤、驚くべきは台詞の少なさで、始まって22分間は全く台詞がありません。猿の声と映像と音楽のみで進みます。その台詞の少なさから見ても視覚と聴覚で捉える作品だと感じたのです。ただ、ストーリーがない訳ではなく、アメリカの宇宙飛行士が木星探査中に月で発掘されたある謎の物体を極秘で調査することで、18ヶ月後ディスカバリー号の船長のデヴィッド・ボーマンが史上最高の人工知能のHAL（ハル）9000型コンピューターと心理戦を繰り広げる事になるのは興味深かったです。特にHALがボーマンとプールの会話で唇を読むシーンはスリル満点だった。ボーマンの旅は未来の自分に会いに行ったのか、それとも・・。
あまり難しい事は考えず、私は映画のスケールを感じられた事で“よし”とします。

今回ディスカバリー号の船長デビッド・ポーマンを演じたキア・デュリアを確認したくて鑑賞しましたが、「バニーレイクは行方不明」のスティーブン・レイク役が強烈な印象だったので、時々スティーブンのあの表情がチラついてしまいました。(笑)
本作が作られたのは1968年、という事は昭和43年です。民間人が月に行かれるなんて夢のまた夢だったのに今は民間人でも月に行かれる時代。さて次なる目標は何なのだろう？