美しすぎる母

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1970年代、実際に起きた息子による母親殺しの事件を題材に作られた作品。
貧しい家庭に育ちお金持ちと結婚しなさいと言われ続けたバーバラは、
母の教えの通りに大富豪ブルックスと結婚し、一人息子アントニーを授かる。
明るく社交的なバーバラは、上流階級の暮らしを楽しみながらもその野心は留まることを知らず、
性格が正反対で冷たく暗いブルックスにとってはいつしか憎しみの対象となり、
ブルックスに捨てられアントニーと二人だけの生活となったバーバラは人生を狂わせて行く。

毎日遊んで暮らせる上流階級の暮らしってどうなんだろうって思わされます。
物質的に豊かであってもこの三人家族には何もないというか。
お金も有り余っていれば、時間も有り余ってる彼らは、日々することがなくて逆に息苦しそう・・・

夫に捨てられた後のバーバラはさらに精神的に病んでいってるようにも見えるし、
ブルックスからの愛を失った彼女は、息子アントニーに依存を強めていく。
アントニーも父親からバーバラを相続したっていう通りに、母親の面倒をみています。
監督が言うには、この頃からバーバラは性的なことでしか人間関係を築けなくなっているようで、
それは息子アントニーも例外ではなく、見捨てないでと言わんばかりでした。
子離れしてくれない母親を突き放すこともできず、逃げ場を失ってしまったアントニーに
選択の余地はなく、母親を刺してしまったのは必然なのかもしれません。

アントニーは後にさらに殺人未遂事件を起こし、監獄で自殺を遂げてます。
こんな不幸な人生もあるんですねぇ。お金があっても幸せになるとは限らないし、
とても親とは思えない両親に育てられたアントニーが本当に可哀想でした。
バーバラが精神病患者として、治療を受けていたら結末は変わっていたのかなぁ。
父親も息子のSOSに手を差し伸べてあげていれば、死なずに済んだかもしれないのに。

アントニーを演じたエディ・レッドメインもインタビューで語ってましたが、
ギリシャ悲劇のようなことが現実に母子の間で起こっていたってことが衝撃的です。
人間の成すことは計り知れないなぁと。改めて人間は怖いって思いました。

ジュリアンムーアは好きな女優なので、結構この作品で絶賛されていたような印象もあり、みてみました。
実話だったとは知らず・・・。

息子役のエディ・レッドメインが、ジュリアンに負けじと色気たっぷりで、すごい若手俳優やなぁと、感心してしまいました。
イートン校出身で、ウィリアム王子の友人、バーバリーのモデルもやってた、というほどの、美しいそして存在感ある人です。

アイルランド人俳優の、キリアン・マーフィに少し似ているけど、また違った、独特の魅力がある！キリアンはタイプですが、
彼はそうではないけど、名前と顔は覚えておこう！と思いました。

ある意味、ジュリアンさえをも圧倒していた。（ちょうど真実の行方で、デビューしたエドワードノートンがリチャードギアを
圧倒していたくらいに・・・・）

ジュリアン・ムーアはやはり美しいし、「めぐりあう時間達」でもそうでしたが、繊細で精神が崩れていく危うい女性の役をさせたら上手いので、この母親役も良かったと思います。

貧しい家庭に生まれ、金持ちと結婚する事が幸せになることだと言われて育ってきたため、美貌を武器に望み通り富豪と結婚するのですが、結婚生活ははじめから歯車が噛み合っておらず、上流階級の華やかな生活を望んでいながらも、もともとそのような環境で育ってきたわけでもないからか、上辺だけの付き合いにどこか虚しさを感じ、夫婦が愛情によって結ばれていなかったので、寂しさや虚しさを埋め合わせるために息子を溺愛したのかも知れません。

財産目当ての結婚に成功し、上流階級の仲間入りを果たして優雅な暮らしをしていても、満たされないものを抱えていて、ずっと夫の愛情を得ることもなかった寂しさで精神的に危うさを増していくのですが、自分が何のために生きてるか意味を見出したかったのか、母親と息子の関係は共依存のように見えます。

不安定な母親が心配な息子も、自分自身の人生を上手く生きていくことが出来ずに、危うい方向へ向かっていく、そういう悲しい親子だったのでしょう。
そういう心理描写なんかも演技で良く出ていたので、同性愛や母と息子の関係も描かれていたけど、究極の崩壊まで向かわせてしまった過程を理解できたので、不快感は感じませんでした。

ジュリアン・ムーアも美しいのですが、息子のエディ・レッドメインもほんとに綺麗でした。
透き通るような白い肌もそばかすも、親子役という事では効果があったと思います。

人間にとって幸せとは何か考えさせられ、愛情不足も寂しいし、過剰な愛も寂しさの裏返しだし、愛のバランスって大事なのかなと思いました。

人間ろくなこと考えないんだなぁ。
とどなたか書かれてましたけど、まさにそんな感じ。

実話というから恐ろしいですね。
結末よりも、親子間の問題の方が恐ろしい。おぞましい。

中盤に着てたサマードレスが素敵でした。

いろいろあるものです。どんなに
幸せそうに見える家庭でも・・。
そんな感じの映画です。

私が思うに貧乏からお金持ちに
なった人ってガツガツしてますよね。
元々、お金持ちの人って、どこか
浮世離れしてて、気負ってない
イメージがあります。

正に、この映画も父親と息子が
浮世離れしていて、母親だけが
欲にまみれている。

息子トニー役の子はハマってますね。
どこかで見たなと思ったら、「グッド
シェパード」でマット・デイモンの
息子役してたんです。一度見たら忘れ
られない面立ちなので記憶してました。
ジュリアン・ムーアは相変わらず凄い
演技力。血染めみたいなワンピースが
印象的で人を殺してきたのかと思って
ました（予告編を観た限り・・）

あんなに世界中を渡り歩いて暮らせる
なんて夢のまた夢。ロケーションは
抜群で旅行好きな人にはもってこいの
映画です。