スキャナー・ダークリー

好きなディック原作の作品ということで、実は発売と同時に購入したのですが…残念ながら出だしの３０分くらいで例のアニメもどきの画面と鬱屈した展開に頭がクラクラしてきて途中で挫折。

このたび、数ヶ月ぶりに取り出して再見し、無事見終えることが出来ました。めでたしめでたし。少し画面から距離を置いて、さらに音声を日本語にして見たのが正解だったらしい。

「ディック作品が好きだ」などと書きながら、実は彼の長編小説は買っても完読した記憶があまりない。「暗闇のスキャナー」も未読です。

彼の長編小説は、読んでいるとなぜか頭がクラクラする。彼の描くどうしようもない絶望的な世界に長時間浸る力が自分にはないようだ。そして、どちらかというと突拍子もないＢ級なアイデアに満ち溢れた短編集が大好きだ。

とはいえ、この作品、見終えてみると、それほど難解でもなく、意外とすっきりツジツマの合ったストーリーになっていることにむしろ驚いた。自分が自分を監視するといういかにもディック的な展開と、ドラッグに侵された脳が生み出す幻覚の中で、現実か非現実か判別不能の結末に至るのではないかと予測していただけにちょっと拍子抜けした感もある。

そして、一番記憶に残っているのはなぜか本筋のストーリーではなく前半に出てくる「自転車の話」と「車の故障に端を発する話」。これは笑えますスた。

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アニメーションに驚き、次は何だかキアヌ・リーブスに似ているなと思って確認するとご本人。『暗闇のスキャナー』というだけで選択したので映画についての予備知識は皆無でスリリングではありました。

案外と原作に忠実に作られています。キアヌ・リーブス主演のSFということで見られた方には辛いかも知れません。
アイデンティティーの崩壊、喪失あるいは希薄化とかそういったものがメインでしょうか。
潜入捜査により他の人格を作り出し演じ、ドラッグによる人格の崩壊。スクランブル・スーツの表現はなかなか良く、多数の人間の表情、声が揺らぐように現れて来ます。相手から全くその者の個性がつかめないのと同時にスーツを着た者のアイデンティティーも揺らぐ感じが出ています。
そして、そのスーツのおかげで潜入操作中の自分をスキャニリングするという喜劇的かつ悪夢的状況が生まれます。このこんがらがったカオス的状況に引き込まれます。ラストは悲痛です。
原作のラストの献辞がエンドロールで流れるのは、大分縮めていたようですが好感が持てました。この献辞でわかるとおり、これは遊び方を間違えた者に対する鎮魂歌でもあります。
特典の中にディックのインタビューが少し出てきます。

さて、評判になったらしい、デジタル・ロトスコープ。
がっかりしたのが最初の方の虫の場面で、虫の動き・描写がやけにいい加減に見えます。もう一箇所、ラストの花の描写も安っぽい感じで、ここはもっと力を入れて欲しかったところです。それ以外はそんなに不満もなく、ドラッグによる現実離れしたトリップ感という意味では効果はあったようですし、面白くもありました。
ただし、僕としては、実写とCGの組み合わせの方がしっくり来たのではないかと思います。膨大な時間と費用をかけてまですることかなのかとの疑問もあります。
アニメーション技術に興味のある方にとってはよろしいんじゃないでしょうか。アニメについての特典映像もあります。

キアヌ・リーブスについては微妙ですが、中身の見えないあるいは見るべき中身のなさという意味では悪くないかと思います。ロバート・ダウニー・jrはとても良かったですね。
ウィノナ・ライダーのドナは僕にとってはかなりのミスキャスト。せめてラスト間際の演技は感情を表に出さずにやって欲しかった。

この監督さんディックが好きなんだろうな、というのは伝わってきます。かなり商業性を犠牲にしているところもあるし。そしてあの時代の悲劇=喜劇、韜晦、諧謔、子供っぽさといった雰囲気が割と出ていていいんですが、この手法への疑問とドナの描写、演技が大変にもの足りないのでまあまあと評価したいと思います。

最後にちょっと驚いたこと、なんと山形浩生氏訳『暗闇のスキャナー』がまるごとpdfで置いてあります。怪しげなとこではなく訳者ご本人のところです。権利関係がどうなっているのか良くわかりませんが、本を最早探すことがきつい状態の僕には嬉しいことでした。映画を見て興味を抱いた方は是非、ttp://cruel.org/books/books.htmlへ（最初の“h”を削っています）。

ええい、長すぎる。ごめんなさい。

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アニメ映像について、ほとんど予備知識が無かった。
なにやら斬新な方法らしい。私はアニメはほとんど見ないのでよくわからないが、普通のアニメとは一味違い確かにめずらしかった。アニメとしてみると実写に近く現実感があるかもしれない。普通の映画に比較してしまうと、動きのぎこちなさや大雑把でディフォルメされた感じが鬱陶しい。CGが発達しているからアニメでなければならない理由は無いように思うし、アップの場面では頭の中で自然に実物に変換していた。
イーサンホークがわりに好きなのでリチャードリンクレーターは何作か観ているけど、色んなものを撮るんですね。

実は途中挫折で観るのをやめてしまったのでストーリーについては書くことが出来ない。途中で止めるなんてことはほとんどないのだが、このところあまりDVDをゆっくり見れる時間が無く飢えているのでちょっとで良いから好きなものが見たかったのだ。にもかかわらずあまり好みで無かったため投げ出した。あくまで個人的理由によるので興味のある未体験者は是非体験してみて下さい。

　冒頭の虫のシーンはいろんな意味で驚愕。実はこの作品最大の見どころなんじゃないかと思ってます。間違えても食事中には鑑賞しないようにお願いします。
　こういう映像に凝った映画は「別に普通に撮ってもよかったんじゃない？」と感じることの方が多かったりするんですが、本作の場合は、このサイバーチックなストーリーにぴったり合っているように思えました。
　キャストもよかったです。ウディ・ハレルソンやウィノナ・ライダーってアメコミ顔ですよね。この映像に映えていたような気がします。他の俳優でもぜひこの手法試してほしいな。

　あと最初から最後までラリりっぱなしのロリー・コクレインは『バッドチューニング』や『エンパイア・レコード』の頃から密かに応援しています！この２作品、内容もとても面白いのですが、今や活躍中の俳優がブレイク前に出演してたりして、そういう意味でもお宝映画です。

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オススメできません。「う〜ん。。。」です。
落書き気味にアニメ化されたキアヌ・リーヴス主演の
麻薬プラス監視社会系潜入捜査どうなるの人間失格映画。
万引きしちゃいました女優ウィノナ・ライダーも大活躍。
これ、お話としてはかなり面白いんです。
あと、ラリってる感じとか、自分を失っていく過程とかも
かなり上手に表現されてると思います。
ってことは、キアヌの演技がイケてるってことです。
上塗りアニメ化されてついに実力が開花したか。
でも作品としてはちょっとというかだいぶキビしいです。。。
大好きなリチャード・リンクレイター監督の作品なので
期待して借りたんですが、
おいしそうなケーキに醤油かけられちゃったみたいな感じで
文字通りいただけません。