ヴィタール

　物は書きよう、映画は撮りよう、ということでしょう。
　どのような作品なのかは、公式ホームページなどに詳しく載っていますが、ひとつ重要なことは、決して特異な世界を描いたものではないということです。
　誰だって、ものすごく愛しいと感じる誰かがいて、もし彼（彼女）が死んでしまうような状況になったら、その人の亡骸を単なる物体として扱うことはきっと無理だと思います。仮にその亡骸を解剖しなければならなくなったとしたら、きっととても丁寧に、そしてとても愛しく思いながら、接するはずです。たとえ、他のすべての人（作品中では他の医学生）が、それをただの物体として扱っていたとしても。愛しいと感じるその亡骸について、少しでも多くのことを知りたい、その思いから、解剖にのめり込んだとしても、それは特別なことではないように思います。
　身近なひと、自分にとってとても愛しい誰かが亡くなってしまうという経験をしたことがある人なら、この作品の主人公の気持ちは痛いほどよく理解出来るのではないかと思います。とても普通の感覚の作品です。

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　ラスト近辺の”向こう側の世界”で「もうずっと、こっちに居てもいい」と言った高木（浅野）が振り返ると、そこに涼子（柄本奈美）は居なかった。高木の献身的な愛ある解剖によりこの世への思い残しが無くなった、すなわち成仏したということかな。
　最初と最後の煙突シーンが何の比喩なのか分らなかった。同級生吉本（KIKI）が高木のどこらへんに惚れたのか分らない。涼子の両親との生前の関係が良好だったのかどうかも不明だったり、消化不良な点は多いが、解剖実習のリアルさと一心不乱な姿、夢と現実を彷徨う演出など惹かれる所も多い。好き嫌いが大きく分かれそうな作品だ。
　浅野と柄本奈美が魅力的だった。柄本のダンスはインパクト大。


※レーティングは、A+,A,A-＞B+,B,B-＞C+,C,C- の9段階。

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コワいと感じちゃいけないんだけど
やはり死体はコワい
そしてお部屋もコワい

浅野さん出演作を網羅中ですが
なぜだろう、彼は死体とかと接する役が多いよぉな。。。

記憶喪失の彼のところへ
解剖実習の場に彼女があらわれる

次第に記憶を取り戻していくうちに
現実の解剖と記憶とのふれあいに彼はのめりこんでいく

特殊技術をもったスタッフがいることで
皮膚、筋肉、皮。。。リアルすぎて恐怖でギブアップしかけた
バキバキとアバラなど解体していくものなんだと初めて知った
お医者さんってすごいんだと実感できた

実習シーンがホラーだらけだったら最後まで観れなかったけど
ご遺体に白い袋を何回も被せるシーン、
実習終了後に床掃除。。。ならぬ水遊び？に興じる様など
不思議なんだけど違和感もなく観てしまった
解剖について、知らなかったコトがいっぱい知れた

愛するモノを失ってしまったところへ
カラダがあわられる不可思議な世界

カタチはどうであれ
愛するモノを弔うまでのキモチは同じだと感じた

イキテルうちにシアワセであってほしかったなぁ

いわゆる「芸術作品」だと思います。
気楽に楽しめる「娯楽作品」とは違い、作品を見ている間中、緊張感を持ち続けることを強いられます。
その緊張感はいやではありませんが、見終わったとき、ホッとしました。
現代音楽の不協和音に似てます。

鬼才、塚本晋也監督作。
個性派、浅野忠信主演。
ってなわけで期待大でみましたけど、まぁまぁかな。
“人体解剖”をモチーフに、人間の肉体と精神についてうやむやに描いた映画ｗ
うやむやってところが逃げだ。
しかし精神世界と現実世界というテーマは後に悪夢探偵でも扱っているので興味深いかも。