レイルウェイ　運命の旅路

評価７９点(１００点満点)
戦争のトラウマからいつまでも解放されないイギリスの退役軍人エリック・ローマスク、せつかく恋をして結婚した妻パトリシアにも決して過去の屈辱的な記憶を語ろうとはしない。
1940年のシンガポール、日本軍の捕虜となった鉄道好きの青年将校エリックはタイに送られ過酷な鉄道建設作業に従事させられる。
奴隷のように扱われ「生き恥を晒すぐらいなら何故死なない」と罵声を浴びせられる、鉄道好きのエリックは地図を描いたり、部品を集めてラジオをつくり祖国の情報を集めて戦争の経緯を知ろうとする。
それが憲兵隊の知るところとなり、自ら名乗り出たエリックはスパイ容疑で連行され連日激しい拷問を受ける。
この事実が40年経った今もエリックに悪夢を見させ、時には自身も制御できない行動をとったりする要因となっているのだ。
戦争という異常な環境は人々の心に生涯癒えない傷跡を残すものなのだろう。
エリックが忘れることのできない人物、当時の若き憲兵隊員永瀬がタイに留まってガイドをしている記事を読んだエリックは永瀬と対決すべくタイへ向かう。
終盤のシーンは本作の見所、苦しみを与えた男と与えられた男、復讐の日を夢見てきたエリック、どんなかたちで報復すればよいのか。
息づまるような二人の対峙シーンが続く。
しかし二人とも立場こそ違え共に戦争の後遺症に悩む戦争の犠牲者であることは間違いのないところであろう。
「憎しみはいつか終わらせなければならない」の言葉は重く印象的。
この後日談がサラリとスーパーで語られるところはなかなか巧みな演出と言える。

史実に基づいて日本兵の残虐を映像にしただけの映画。

史実を知ることは必要ですが、この映画は不愉快になるだけで、人に何かを伝えられていないと感じます

第2次世界大戦時、日本軍の捕虜となり鉄道建設を強要された英国兵士と日本人通訳らの実話を映画化したドラマ。
日本人として戦時中とは言え、こう言う行為があった事は知っていても見ると心が痛みます。

拷問を受けて当時の通訳（永瀬）を憎んでいたエリックは今も現地で語り部として生きている事を知る。

過去のトラウマが蘇り愛する人と上手く生きて行く事が出来ないエリックは永瀬を訪ねる。

永瀬もまた当時の事が重石となり語り継ぐ事で償おうをしていた。
生きていた二人が再会し憎しみを乗り越えてお互いを理解する。

日本軍のやった事は重大に受け止め、ローマクスと長瀬隆が和解したのは善かった
が、映画としては中途半端。
実在の人物を描いているので、描けなかった部分が有るのかもしれないが、
描かれた内容では、長瀬隆はローマスクがそれ程追い詰めたいと思う相手に
思えない。
フィンレイの自殺も取って付けたようだし、妻パティは普通の人。
役者さんたちはいいのに、ただ単に、長瀬とローマスクの再開と和解を大げさな話
にしたとしか見れない。
30分のドキュメンタリーか5分のニュースで十分。

こんな事を描くならフィクションでいいから、戦争犯罪の追及をのがれた人物を
戦後に、闇から闇へ葬った物語を見てみたい。