キッズ・オールライト

何度かくすくす笑ったのは確かだけど、つまらない作品だった。
　映画の最初の方で、せわしない切り返し（会話する人物を交互に撮る）が続いて、しかもそれぞれのショットに力がないので、うんざりしてしまう。五分で時計を観たのは久しぶりだった。この作り手の映画的な演出力がないことは見て取れたが、たまにいい部分がないわけではない。たとえば、マーク・ラファロが自分の精子提供によってできたふたりの子供と初めて会う瞬間。やや引き気味でとらえられた三人の、沈黙の気まずい瞬間があって、微妙な空気が流れるところなんか、ちょっとにんまりしてしまう。でもすぐに単調な切り返しに戻っていくから、興が冷めてしまうのだ。もっと自信をもてばいいのに、とスクリーンに向かってつぶやく。
　脚本はダメダメだ。これではマーク・ラファロの役柄は、「家族の絆」を確認するだけの道具でしかない。彼が序盤、穏やかでとてもいい感じのキャラクターであったからこそ、余計そう思うのだ。ジュリアン・ムーアの手のひら返しも呆気にとられるが、騒動の種をまいた（いやまかれた？）娘や息子の馬鹿さにもうんざりしてしまう。ラストの大学の寮での新生活など、ほとんど無意味なシーンだ。
　アル中で怒鳴ってばかりのアネット・ベニングも、最後に反省の欠片も見えないので、魅力なしのキャラクターになった。
　とにかく、振り回され利用されただけのマーク・ラファロが可哀そうとしか思えないのに、しかし画面では「家族の絆」を歌いあげている。あほかいな。
　こういうカップルが現実に増えているから、あるいはリアリティがあるから、こういう作品の需要もあるのでしょうが、結論ありきの映画ではつまらないですね。15点　
　ちなみにオリジナル・バージョンって、ちょっとえぐいところが増えているそうですが、それは女性同士のセックスの場面とかですかね？　あまり興味ないのでいいやー

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クスクス笑えるところもあるけれど、家族の絆を描いた真面目な映画。私は好きです。

ニック（アネット・ベニング）とジュール（ジュリアン・ムーア）はレズビアンのカップル。
１８歳の娘ジョニ（アリスちゃんことミア・ワシコウスカ）と１５歳の息子レイザー（「テラビシアにかける橋」のジョシュ・ハッチャーソン）は、精子バンクから匿名の提供を受けて生まれた子供。
生物学上の父親の存在が気になるふたりは、親に内緒で父親ポール（マーク・ラファロ）に接触する。
そしてポールの登場で、平穏だった家族のバランスが崩れてしまう。

日ごろは心の奥底にしまっている配偶者への不満や、思春期を迎えた子供たちの反抗は、両親がレズビアンという、いわゆる特殊な環境でなくても、どこの家庭にもある問題です。そして、それはちょっとしたきっかけで表面化するけれど、それを乗り越えることによって家族の絆が深まるというのも、同じだと思います。

生物学上の父親に会いたいといいだしたのは、弟のレイザーの方。
レイザーには素行の悪い友だちがいるのですが、ニックとジュールは日ごろから「なぜあんな子とつき合うのか？」と不満に思っています。この友だちのことは初め余計なような気がしたのですが、レイザーは彼の行動を見て、自分がどれほど両親に愛され、大切にされ、きちんと育てられてきたのかを実感するのですね。

アネット・ベニングもいいけれど、ジュリアン・ムーアもすごかったです。この人、肩や背中のそばかすがすごいんだけど、それを隠しもせず、体当たりのベッドシーンです。

突然子供の存在が明らかになり戸惑うポールだけど、急に家庭の暖かさを求めて、自分の家庭を持てるのではないかと期待したり、ここでも男は勝手だなあ。

いろいろあったけど家族の絆は深まり、姉のジョニが進学のため家を離れるラスト。
なにがあっても「キッズ・オールライト」子供たちは大丈夫、そんなラストがよかったです。

同性愛のカップルとその子供たちの心の成長のドラマです。
ファミリードラマとして変わっているのは同性愛カップルだということ。
子供たちもママたちと呼んでいます。
医者のニック（アネット・ベニングス）が生んだ娘ジョニ。
そろそろ自分の仕事を始めたいと思っているジュールズ（ジュリアン・ムーア）が生んだ息子レイザー。
ここではジュールズが主婦役というわけでしょう。
そして二人は同じ精子から生まれているので、異母兄弟というわけですね。
そこに精子を提供した気のいいポール（マーク・ラファエロ）がファミリーの中に入ってきたことによって
微妙に崩れていく家族の均衡を絶妙な空気感で描いていきます。

アネット、ジュリアン、この二人のベテラン女優の安定感のある演技は言うまでもなく、
ジョニ役のミア・ワシコウスカの透明感がすごくいいです。
口うるさく厳しいニックへの反抗心からか、ポールへ近づいていこうとするジョニ。
父親を求める気持ちが何なのか自分でもよく理解出来ない様子のレイザー。
家族が出来たような気持ちの高揚を抑えきれないポール。
結局一番このポールがとばっちりを受けたようなことになって可哀そうでしたが・・

いろいろな事があっても、家族でいられる、絆がある限り。
そしてそこに愛があるのなら、どんな形でも子供たちは大丈夫なのです。
そういうメッセージをこの映画から受け取ることが出来ました。

それにしても、近年ジュリアン・ムーアが出る作品には必ずといっていいほど
彼女のサービスシーンがありますね。
別にあそこまで見せる必要がこのドラマにあるのかしら？っていうときも裸体を惜しげなくさらす彼女は
女優魂あっぱれなんでしょうな。

オープニングで何度も登場する、クレヨンで描いたようなＬｉｓａ　Ｃｈｏｌｏｄｅｎｃｏ（リサ・チョロデンコ）の文字がまず印象的で、
すげぇ可愛い。って思いました。
ちょっと口に出してみたい名前ですよね、リサ・チョロデンコ。

おそらく、みなさんと同じことしか言えないというか、それでレビューを書きそびれたままにしていたのですが、
ほんとに”ひょんなファミリーと思いきや、実はどこにでも存在するファミリー”のある日常を描いていて、思い当たる節がいくつもあったというのが正直な感想。
ほんとに、ひとつひとつの課題がリアルで、環境がどうあれ心次第なんだなって。


わたし、マーク・ラファロすきですねー（笑）

一般的に普通じゃない家族構成なれど。
実は普遍的な絆を持っている家族の物語。
両親が女。
そんな家庭で育った二人の姉弟。
精子提供で命を授かった二人の姉弟。
そして女だらけの両親。
一見ナーバスになってもおかしくない初期設定。
だけどこの家庭にあるのは、「男と女の両親、二人の子供」って設定の家族と変わらない悩み。
親の期待に応えることに窮屈さを感じている姉。
繊細で言葉少ない弟。
やっぱりどちらもティーンの代表的な悩み方って感じで日々を重ねている。
女だらけの両親も、知らぬ間に忍び寄る嫌な距離、慣れ、に気づかないフリをして蓋をして。
そういうどこにでもありそうな、誰にでもありそうな悩みを抱えて日々を重ねていく。
そこに訪れる出来事。
それは骨折と同じなのかもしれない。
骨が折れる。
不自由が生じる。
今まで出来ていたことが出来なくなる。
出来ないから気づく。
出来ていたことの幸せに。
当たり前の喜びに。
骨折しないにこしたことはないかもしれない。
でも、骨折もわるくないのかも。
一度折れた骨は再びつながる。
一度折れた場所は、前より強くなってつながる。
つながったら大丈夫。
今までよりも大丈夫。

精子提供者である「父親」への接し方。
やっぱり女子はグイグイくる。
男子は少しずつしか距離を縮められない。
設定は変わってても、やはり中身はオーソドックス。
そのうちこの設定すら珍しくない時代が訪れるんでしょうか・・・
もう来てる？

マーク・ラファロ、こういうの多くない？←イメージ
最初っから「距離感おかしい！」って思ってたよ。
近いから・・・・