ブロークン・アロー

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ジョン・ウーのアクションが好きな方なら、二丁拳銃とか、激流に巻き込まれたり、動いてる列車上での戦いやらで息もつかず２時間が過ぎます。
トラボルタの悪役もいい感じ。
わたしは、公開当時、クリスチャン・スレイターのファンでしたが、彼のファンには物足りない感じかな。
アクションはすごいし、見せ場は多いけど、映画のおもしろみはすべて、トラボルタです。

これまたどうしようもないＢ級映画（爆発シーンには相当お金をかけているようですが）で、それを面白がって最後までテンション下げずに見届けたわたくしも、どうしようもないＢ級鑑賞者であります。
しかしながらこの映画、見終わって心にザラッとした違和感が残る。意図せずして（あるいは意図しての批判もあるかも）、核が世界中に拡散し核兵器がありふれたものになってしまった現代という時代の恐怖を表しているのかもしれません。
そもそもホンモノの核弾頭（これも実弾といっていいのか）をステルス機に積んで訓練しているのも怖いし、核兵器の紛失を意味する「ブロークン・アロー」なんて暗号があること自体が驚きでした。
その核弾頭運搬訓練中、いろいろ心に鬱屈をかかえたパイロット、ジョン・トラボルタが核弾頭を強奪、ユタの砂漠に落下させます。待ち受けていた仲間とともに、それを大都市に向けて運搬、同時に「２億５千万ドル（安すぎないか？）よこさなければ爆発させる。町は壊滅するぞ」と脅します。
それを阻止すべく活躍するのが、一緒に操縦していたクリスチャン・スレイターとたまたま砂漠に居合わせた「公園監視員」！サマンサ・マシス、ステルス機、ヘリコプター、トラック、ゴムボート、列車を乗り継いでの激しいアクション、合間にはさまれる地下坑道アドベンチャー、大爆発、お約束のアクション映画の展開ではあります。
ただ常に中心に核弾頭があることで、核兵器＝人類滅亡と刷り込まれた者としては、背中に氷を押しつけられたような気分が続くのです。
「博士の異常な愛情」にしても「合衆国最後の日」にしても、核兵器の使用がもたらすであろう最終的な破滅を前にしたこの全身が冷たくなる感じ、と真剣に向き合っていたように思います。
それにひきかえ本作は、核を単なるスリルの引き立て役としてしか見ていませんし、放射能については楽観的すぎるし、「合衆国最後の日」の２０年前より核兵器についての危機感が薄れていると、危惧せずにはいられませんでした。
そもそもペンタゴンの幹部からして「今どき核弾頭なんてＢＭＷ２台分で買えるのになぜ盗むんだ？」なんて言っています。
ただしジョン・トラボルタが核弾頭を愛おしそうに撫でるあの手つき、恍惚と見つめるまなざし、ここはとてもよかった。彼にとって核弾頭を抱いていることは神になったと同じこと、ちょうど「太陽を盗んだ男」の沢田研二のように、狂った全能感に酔い痴れていました。
核をめぐる危機は、国と国との戦争にそれが使われるかどうかより、狂気の犯罪者、テロリスト、犯罪集団の手にわたった時の方がかくだんに大きいですね。こちらの方が可能性も断然高いし。
核弾頭をたくさん持ってはいても内部で一発突きつけられればどうしようもできない大国の滑稽さも含めて、意外と風刺精神が隠されているのかもしれませんよ。

　始まりから30〜40分は「24」みたいな感じで、大型ステルス戦闘機と核弾頭を使ってスリル満点に進んだが、途中からは全く大味な西部劇スタイルでアクションが展開し、最後はただ切れたオオバカ男とのタイマンで幕切れ。今時観ても仕方がない作品かな。
　トラボルタの悪役は中々の味が出ていた。クリスチャン・スレイターの魅力は自分には殆ど分らなかった。


※レーティングは、A+,A,A-＞B+,B,B-＞C+,C,C- の9段階。

ブロークン・アロー（１９９５年アメリカ、カラー１０９分）
次から次へとノンストップ・アクション！！
関西流にいえば、‘ツッコミどころ満載’なんですが、まあ映画ですからね。
むずかしいことを云わずに、‘お気楽’に楽しみましょう．．．ってことです。

２０年近く前に観た記憶はあるのですが、ストーリーは完全に忘れてました。
でも再見後すぐに甦ってきました。ユタ州の広大な砂漠（国立公園）で繰り広げられるアクション。
しかも、核弾頭が２基も盗まれたというからただ事じゃありません。
ジョン・トラボルタが完全な「イカレた悪役」を演じています。しかも楽しそうに。
ステルス戦闘機のベテランパイロト、ディーキンス少佐の役です。

その相棒であり、後輩のヘイル大尉役がクリスチャン・スレーター。
冒頭のシーンで、２人はボクシングの打ち合いをやるのですが、このシーンでは２人の関係は至極普通に見えます。（少なくとも吾輩はそう感じました）
ところが何かの会話の際、トラボルタの目が異様に光り、本性を現すのです。

国立公園の女性監視員テリー役で、サマンサ・マシスが登場しますが、大活躍です。
クリスチャン・スレーターとの意気もピッタリで、何度も窮地を脱します。
サマンサは、故リバー・フェニックスが最後に愛した女性として知られてますね。
９４年「若草物語」、９５年「アメリカン・プレジデント」の演技も印象深いですが、やはり本作は彼女の代表作といっていいでしょう。
サマンサの母親は名女優のビビ・ベシュですね。

後半は貨物列車を舞台に、更なるアクションが続きます。ヘリも登場します。

直球勝負のベタ・アクション！　ストレス発散にもってこいの映画です。（．．．ストレスが溜まっているワケじゃないんですが／笑）

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　この作品はジョン・ウーのハリウッド進出第２弾ですが、『ハード・ターゲット』の頃よりアメリカでの映画作りにも慣れた感じで、出来もぐっとよくなっていると思いました。
　主役は空軍大尉ヘイル（クリスチャン・スレイター）ですが、この作品の成功の鍵は何といっても敵役の空軍少佐ヴィクター（ジョン・トラボルタ）の悪の魅力に負うところ大だと思います。
　核兵器の実弾を搭載したステルス爆撃機での訓練任務を命じられた二人の空軍将校、しかし、機長のヴィクターは爆撃機ごと核を奪取してアメリカ政府を脅迫しようとしていたのだった。射殺されそうになったのを辛くもかわしたヘイルだったが、ヴィクターに強制的に射出座席で機外へ放り出されてしまう。しかし、そのせいで爆撃機も墜落し、落下した核弾頭を巡ってヘイルとヴィクターの闘いが始まる。
　といったところがざっとしたあらすじです。『ウインドトーカーズ』でも出演していたクリスチャン・スレーターが本作では主演していますが、どうもトラボルタの人非人の演技に喰われてしまっています。『ショーシャンクの空に』で小心なくせに悪辣な刑務所所長を演じたボブ・ガントンがこの強奪計画のスポンサーとして出てきますが、トラボルタに煩く詰め寄った挙句、あっさりと殺されてしまいます。
　本作でのトラボルタは本当に楽しそうに悪人を演じています。廃坑で核兵器の一つを爆発させたり（あそこで電磁パルスが発生するのは本当はちょっとおかしいのですが。）何の躊躇もない行動でクリスチャン・スレイターを追い回します。でも、妙に愛嬌があるのが不思議ですが、やはり最後はやられてしまいます。
　とにかくしつこいクリスチャン・スレイターとユーモアを湛えながら悪事を働くジョン・トラボルタとの駆け引きとぶつかり合いが物語を盛り上げています。理屈抜きで楽しめる作品です。